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オオバコ  作者: 清浄
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四つ葉ドールその3

目を覚ますと僕はフカフカなベッドで寝かされていた。


あまりの気持ち良さに二度寝しようとしたが、違和感を覚え布団を捲り起きあがろうとすると全身が悲鳴をあげた。


それでも、知らないベッドというのは心が落ち着くものでもない。


僕はゆっくりとそのまま起き上がる。

辺りを見渡した。


屋根裏部屋?倉庫?知らないベッド?頭の中で複数の疑問が浮かんだ。


「ケホッケホッ…ホコリ…息が」


ここはどこだろう。最後の記憶では岸辺にいたはずだ…


「あれ、僕の服の袖ってこんなんじゃなかったような」



「お…起きたようだな…」


遠くで声が聞こえた。野太い声に震えた…。



いや、でもいい人なはずだ。


…そのはず


ギシギシと鳴る階段。


階段が鳴る。近づく度に震えを感じる

心臓の鼓動が早くなるのを感じる。

鼓動の音が耳にまで届くんじゃないだろうか?

…上手く息が出来ない



ギシ…



ギシギシ…


僕は辺りを見渡して隠れる場所を探した。

幸い倉庫代わりに使われているようで隠れる場所は多そうだ


僕は身体を動かして速やかに隠れようとした。



「ひゃい⁉︎」



ボサボサな短髪、髭面の男の顔がこちらをみていた。眉間に皺を寄せ、顔は強面といったところだろうか。少し彫りが深い

…蛮族…というワードが頭の中を走った。

顔がデカい。破屋の君と名乗った彼女の倍はあるのではないか?


肌は白く、髪の色は青色だった。


心臓が止まると思うほど怖かった。

身体がビクビクと震えた。



「ひゃぅ…!はっ…ん…!」




「おい、大丈夫か!!過呼吸かっ!?」



今までひょっこり顔だけしか出していなかったが、その全容が少しづつわかる。


骨太の大男、袖のない服装は筋肉を見せつけるためなのだろうか?

やたらと筋肉は発達している。

太ももが生えてるんじゃないのかというほどに極太だった。


身長は1.9mから2m近いだろうか?


体重だけで考えたら、僕の倍以上…いや倍では済まされないだろう。



「ひゅぅー…ひゅう…ふー…ふー…ふぅ?」


「おい本当に大丈夫か?喘息持ちだったか?」


「い…いや、お構いなく…多分そうじゃない」


「落ちついたところで質問いいか?」


「どうぞ…」


「なんで、坊主は岸辺に倒れていたんだ?」


「怖かったのに無理矢理、こっちまで流されたから?」


「捨て子…か?親は子供になんて事しやがる」


「いや…親とかはいなかったし…」


「孤児かなんかか?」


「いや違うかな…うーん、自分でもよくわからない」


「じゃあいい、質問変えるぞ。坊主はなんてあだ名で呼ばれてた?」



「木偶の坊?」


「ふざけた野郎だ。こんな小さな子どもになんていう…」


「いや、そのあだ名をつけた人はすごい僕を可愛がってくれたよ?お金だってくれたし」


男はワナワナと震えて怒りを表している。

話の行き違いがあるのをそこで感じたが…


質問責めのおかげで、切り返すタイミングが掴めなかった。


ただ次の質問のせいで、僕は訂正することすら頭の中からふっ飛んでしまった。




「坊主…毛が生えてないのはそのせいか?」



「毛が生えてない…!?」




「何だ知らなかったのか?鏡、確か…この場所に使ってなかった鏡があったはず…」


男は屋根裏で荷物を漁り始める。


手こずっているのか。辺りにホコリが舞う。


「おっと…あったあった…ほら見てみな。ツルっ禿げだろ」


僕は鏡をみた。

均整のとれた顔だちからは、作り物のような違和感を覚える。


…髪がない…そのショックな出来事に呆然としていた。


髪は生えてくるのだろうか?


…眉毛もない…。まつ毛もない…






いや冷静に考えたら…何とかなるか?

眉毛は描けばいいか。

あとつけまつげ


んで…ヅラを買わなくてはならない。



みんなと違うっていうと友だち作りに支障がでる。



「ん…まぁいっか」


「ずいぶん、前向きな奴だな」



華奢な体躯、中性的なこの見た目でこのおじさんは僕を坊主と呼んだので多分僕は男なのだろう。


男は強くなきゃ



「女にとって、髪は命だろうに…」



訂正…どうやらこの鏡に映ってる奴は女みたいだ。




「うわわぁぁーん、あんまりだぁぁぁー」


どうやら女性にとって髪は命らしい。

禿げ禿げこんなの嫌ーだ!





「でけー声で騒ぐなっつーんだよ全く。近所迷惑だろうが」





そこからの記憶は曖昧だ。

布団に小一時間潜っていたような気もする。


気がついたら、食卓の長椅子に座らされていた。


まぶたが腫れぼったい


何もやる気が起きない



…なのに、お腹と背中はくっつきそうだ。


長椅子には足がつかなかった。


ぶんぶんと足を振り回しながら、やるせなさを感じる。


と、次の瞬間…



「っ!?痛ったー。足が…爪が」


どうやら机の脚を蹴飛ばしたようだった。

長机に置かれていた箸や、調味料らしきものが床に散乱した。


幸い調味料らしきものは、ビンに入っていたし割れなかったので事なきを得た。


床に散らばった4組の箸が遠めにみえた。


「あ……あし…あっ…良かった。爪割れてない。それに爪は普通にあってよかった」


目の前の小さな安堵感…。


そうだ歯はっ…。

いや、それはある。なかったら1番に違和感を感じたはずだ。


自分が得体の知れない物になってしまったかのように不安を覚えた。



よくよく考えたら、髪がないからまぁいっかで流してしまうのはサイコな考え方なのでは?



人形なのか、人間なのか…。心は揺れ動く。


複数の記憶から形成されただけあって、感情表現がかなりチグハグしていて一貫性がない。



「頭になんか違和感が…」


…恐る恐る頭を触ろうとすると。

頭から何かがズレ落ちた……


「うぉー何これーすごくいい!」


頭から落ちてきたそれは、デッカい魔女の帽子だった。


「あれ、まだ頭に違和感が…少し頭がしけっているような…まさか…これは…育毛剤」



「ずーん…もう駄目だ…禿げ隠しだぁ」


途端に現実に引き戻される。

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