20話
才能の器が欲しい。夜市で売ってないかな…。
「とりあえず、あたりを探索してダンジョンの傾向を知ろう!」
「君ならそう言うだろうと思ってた。閉じ込められるような要因があったら探らないといけないからね」
冷静に対応はしてみたものの、血の気が引いていくのを感じていた。
そもそもユフィーがやったのに知らないフリをしている可能性だってある。
知らんぷりする理由があるだろうか?
先程ユフィーが言ったように白木さんのお孫さんを殺すしか隠し部屋からでられなくなったという理由なら、それは仕方ないと納得出来る。
罪から逃れようとする人間の心理でデマカセを言っているパターンだ。
これをやった人間というのは他に誰が考えられるだろうか?
白木さんはおそらく病院だろう。そして、多分証言がとれてしまう。
あの怪我で無理してまでダンジョンに来る理由がみえない。
それほどまでに孫に執着している可能性もあるが。
では、みのりはどうだろう。彼女はかなり臆病なので1人でくるという事が想像出来ない。
あとで、ステータスを見せてもらえば多分モンスターを倒していないのが普通にわかってしまうだろう。
みのりが二重人格者という案もあり得るが。
白木さんのお孫さん自身…ダンジョンの出入りも普通に出来ますよという状態は?
隠し部屋で魔物狩ってました。とか言うのは少し馬鹿らしい回答だ。
ダンジョンで姿を消したように見せかけて、こっそりダンジョンから抜け出して、家出してまた戻ってこっそりダンジョンに入る。
強引な解釈だ。
では、熱中して2年ダンジョンへ潜っていた?
それは熱中しすぎだろう。いろんな物資を必要としたことだろう。戻らない理由がない。
彼の目的が何であったかは知らないが、ダンジョンにそれを求めていたはずだ。
であるならば、可能性は薄い。
どれにしても、現状では確認は取れていない。絵に描いた餅だ。
人間の血と決まったわけでもないのに、動悸が激しくなる。
そもそもダンジョンの事を知っているのはユフィーやお孫さんや僕まで含めると5人だけだ。他は誰も…
いや…誰か忘れているような気がしている。
そうだ…琴葉…。
しかし…彼女は歩けない。車椅子でいる事がほとんどだ。彼女に限ってそれは…
そう言えば、彼女は事故で顔が変わった…。全くの別人になっていたとしたら…
似たような顔であるならば調達出来るかも知れない。人形館であるならば綺麗な顔立ちのものは手に入る。それはとても芸術的だとあのゴーストは言っていたのを思い出していた。
琴葉は顔立ちは良かったのだ。
実は別人で、歩けるのに嘘をついていたとしたら余計に厄介な事に結びつく。車のブレーキに細工し、あの事故を引き起こした張本人だという可能性まで浮上してしまう。
…この回答だとしたら、殺人鬼という事になる。
他3人の場合、それはダンジョンの隠し部屋に閉じ込められたで済むのだ。危険性としては低いのだが…。琴葉の場合だけは違う。
仮に琴葉でなかったとしても、僕の周りに殺人鬼というものがいる。
そいつだとした場合、ヘマをしたのに、そのままにした理由…。
殺人すら厭わない覚悟を決めているのかも知れない。
「急に抱きついてきてどうしたの?君らしくもない。お腹がくすぐったいよ」
気づかない内に、抱きついてしまっていたようだ。
彼女が別の意味で荒い息をだしているのを肌に感じ。少し冷静になれた。
甘い吐息を感じたのは、変なところに刺激を与えてしまったのかもしれないのでユフィーのせいとも言い難い。
彼女はおへそを出したような格好していた。
お腹を触ると、一瞬自分の頭によぎる事があった。友人が貸してくれたエロフの同人誌の事だ。
あれはもう返さないといけない。
顔から火がでる。
「ひゃう!!そこは響く」
お腹触ったぐらいで、ユフィーはオーバーな反応をするものだ。大袈裟すぎる。
だが、結婚に自ら近づくのは軽率な判断だった。
慌てて距離をとることにした
ええい、結婚がいる部屋に一緒に居られるか。早く用事済ませて一旦ダンジョン出なきゃ
「その第三者がもし、何かしらのアクションしてくるかもしれないから細心の警戒で」
僕は真面目な顔で言うと、彼女も真剣な顔をしてくれた。




