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オオバコ  作者: 清浄
13/36

13話

白木さん家に書斎意外にも部屋があるのには驚いた。ちゃんと客室が用意されていた。この前来た時はドアの部が取れていた場所であった。

まともな部屋はそこしかないのだろう。わざわざ治したようだった




「ダンジョン気分を味わえたんだ。始めの掴みはオッケーだ。人の反応があった原因は僕が突き止めるから君はその後でいいよ」




横たわる彼女にそう言葉をかけた




「ショーパンまでは脱がせたんだ。キャッキャッキャ」


後ろからヤジが飛んでくるのは無視しよう。


「んで、内緒の話だけどどう思う?」


「可能性が非常に高いのは寄生またはウイルスかな。あるいはトラップに引っ掛かって…いや食糧の事も考えると動けないってのは考え辛いか…。トラップの可能性で出られないって可能性は低いね。次の階層に進む事も、ダンジョンを進むのも不可能ってそういう状態なのは間違いないさ。仮に爺ちゃんがダンジョンに人を監禁してるとしたら、呆然と屋敷にいるのは不思議だね。例えダンジョンに隠し部屋があるとしても君なら見つけてしまう可能性もある」



「じゃあ、話をつけるために一緒に白木さんのところに行かないか?」


「へー…君は気絶する彼女を見知らぬ部屋に1人置き去りにするんだ。目が覚めた時彼女は不安がるだろーね。そいつはいけねーな。いけねーよ。少しここで待ってなよ。事情を話してくるから。君は黙って手でも握ってあげてなよ。プップップ」



あ…そっかカップルの振りしていたのだ。

うっかり忘れていた。



2人でいる方がきつい。泣かれたらどうするのだろうか…。




いっそ1人でやる方が気が楽なんじゃないだろうか。2人で探索するのは、素晴らしいアイデアでもなかったのかもしれない。

現代っ子にはキツイ場所だと思う。

戦って強くなるって実際は恐怖との戦いだ。


例えば熊がでたとする。パニックになって思考がまともに出来ずに終わるって人は多いだろう







みのりを何回か壁にぶつけたせいで、やたら頭がきになる。たんこぶ作ってしまった。

想定外すぎて、少し焦ってしまった事がある



たんこぶがあったところを撫でていた



「(頭をぶつけて)ごめん」


いつのまにか目を覚ましていたのか、握っていた手を強く握り返しくれた


撫でていた手をゆっくり外すと、彼女は片方の手で抱きついてきた。



「私の方こそ、ごめん。それと…ありがとう。手を握っててくれたからかなすごい安心したんだ…もう少しこうしてていいかな?」



「好きなだけどうぞ」


泣かれなかっただけマシかな





…5分だろうか、10分だろうか…いつまで抱きしめているのだろうか。そろそろ夕飯食べに帰りたいな…いらない体力使ったせいか眠いし…。

夕飯食べたら寝たいなぁ

そんなくだらない事を考えていた









それからしばらくして、ゴーストは白木さんを連れてやってきた。



「話は聞かせてもらった…それは本当なのかね?」



「断定は出来ませんが、その可能性はあると思っています」



「それでも2年経っているのだ…まさかそんな」



「それなら一緒に確認しに行きませんか?」



「ふむ…そうだな…こういう場合は私も確認しておきたい。でも、もし生きていたとしたらそれは辛いものになるだろう」



……



……



……



「ところで君は高瀬舟は知っているか?」


自殺幇助の話だったかな。剃刀で喉笛を切り裂き自殺を図った弟が死にきれずにいたのを兄がみるに見兼ねて殺した話だ。



この流れでこの話題を振るって言うのは、つまりそういう事だろう。



殺してから、子どもを産めばいいといっているようなもんだ。

ダンジョンから出たとして真っ当に生活出来ない状態であれば殺せばいい。

幸せを思えばこその殺人…。


それはまるで5年前の事件のような…。



「学校の教科書に載るぐらいですからね…もちろん知ってます。死にたい人がいたら殺してあげるのは時としてありかもしれないとは思いました。もちろん、苦渋の決断ですけどね…」


ここで、返答を間違える訳にはいかない。つまり、殺しはありだと思っている相手に対して時間を引き延ばす策を講じるのが定石だろう。



「ふむ…私もそう思う。幸せを思えばこそだ…」


「それでも、5年前の事件に関しては僕は否定的ですが…」



「ドイツのある学校の元非常勤講師が起こした事件だな…。壊肢病のウイルスが広がるのを防いだ英雄だったか」


「あれは…ただの殺人鬼です…。元々半魔に対してヘイトクライムやってた人ですよ。社会に対してのメッセージにしてもふざけ過ぎている」



壊肢病は発症するまでには時間が少しかかるらしい。その間彼は感染が広がらないように多くの人間を足止めした。


最後は自分の喉を掻き切った絶望的事件だ。


ごく少数の限られたメディアが英雄視した報道をしたが酷いバッシングを受けていた。




「ふむ…それで今回はどうしたらいいと思う」


「結論を決めるのはまだ早いとは思いますが…白木さんがそれを望むのならそれはありだと思います…。むしろそうすべきだと。ただ約束した通り時間は欲しいと思っています。こちらも目的があるので」



失敗したら、途中でバックれるつもりだ。

付き合ってやる義理はない。


元々みのりとはカップルでもなんでもないしな。それに殺しが加わるのは重い。






「寝てたせいで話は見えないけど…どういうことなの?」


みのりは驚きはしたものの否定はしなかった。空気を読んでくれているのだろう。



「外に出せる状態ではないのが濃厚って事だよ。彼の意識があるかどうかで今後の指針も変わる可能性はあるね。キャッキャッキャ」



「次の探索は私も行く…行くから…大丈夫だから!心配しないでいいよ」




トレーニングメニューを組んだのはみのりの方だった。それなのに不甲斐なさを感じているんだろう



「えー、それで10ヶ月ぐらい帰ってこず。出産してました〜じゃ困るんだよ。その組み合わせでダンジョンに行かせるのは私は承認出来ませーん。ダンジョン内に私が入れないから預かり知らぬってやつだね」



「というわけで、僕は白木さんと一緒にダンジョンに入るよ」



白木さんが、錯乱して。

孫を殺してしまうケースもあるね。

そしたら焦って子どもを孕ますという思考回路になりかねない

不安の気持ちから強行しかねない。



逆に孫を庇ったら、全滅ENDもあり得る。

全ては孫の状態しだいだ










今日は時間がないので、明日改めて白木さんとダンジョンに潜ることになった。

帰りは自転車ですごく寒い思いをしていた。

冬場の夜はすごい冷え込むもんだ。寒暖差にはなかなか慣れない


自転車に乗っているとみのりに呼び止められたので、田んぼの前で立ち止まっていた。



「もしもなんかあったら逃げればいいさ。白木さんの意にはそぐわないけどね」



「まぁ…それは当然なのかもね。一瞬話にながされてしまいそうになったけど」



「暗い話は辞めにして楽しい話をしよう。人を殺すとかの話になったらみのりのためによくない事しかないからね。嫌だったら逃げる。そんぐらい単純に考えておいてよ」



かといって、楽しい話題を振れる雰囲気でもないだろうけど



……


……


しばらく沈黙が続いた







「私は、ユズキが淡白な性格で良かったと思っているの。もし、少女漫画に出てくる少年のような純愛を向けられていたら。多分恋に落ちていたもの」


「さいですか」


「押しが強ければ恋するって?みのりは恋愛脳だな」


イラっとしたのか、腹部をつねられた。

暴力を行使しようとするから恋愛面で避けているっていうのに…全く。



「そうね、普段かっこよくもないやつが少しかっこよくみえてしまうものね」



「あっはっは…実際は初めてプールに入る前のこどものような臆病な恋愛感だったりして」



「…」


「…」




「…そんなわけないでしょ?全くデリカシーがないんだから。無粋なんだよ。そういうところだよ」



臆病と言われるのは、NGワードだったらしく、瞬間的に尋常じゃないプレッシャーを感じていた。阿修羅でも顕現したのかと思った。

この言葉1つで、世界でも破壊するんじゃないだろうか。

彼女の怒りは普段序の口だったのかもしれない




「今回のカップルとかの件は一回忘れて単純にダンジョンを楽しもうと思ってる」


ダンジョンのために人生がめちゃくちゃになっているのは白木さんに限った話ではない。










そういえば、戸籍のない人は10万以上いるんだとか。

ダンジョン絡みで、混乱の状態が未だ続いているのだ。



市町村のデータ改竄もあったし、架空の戸籍だってある。無責任に何かすべきではない。

歯車が狂ったからといって無理矢理歯車を戻そうとして悪化しても困る




ホームレスに小遣いを渡して戸籍を取り、免許証などを取得する手口…。


1つのビジネスだ。

ホームレスには出したとしても10万円程度、売り払う時は100万以上。


そこに市町村が絡んでいたせいで、実際のところはどの程度ともわからない。

資料はほとんど残っていない








「生存していたとしても普通の生活が出来るのか疑問が残るわね」

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