11話
「これ、トレーニングメニューね。あとは、ビタミン各種」
ビタミン剤とともに1冊のノートを手渡された
「…トレーニングメニューに二人三脚があるんだけど…お互い、阿吽の呼吸が必要なポジションでもないよ…」
「あなたが前衛で闘うの。命をかけるの。呼吸のタイミングを肌で感じようというのは間違いだったかしら?」
いつのまにか前衛職をさせられる事に話をすり替えられていた。
命をかけるのか…。
握力系女子が前衛の方がいい気はする
「ほら、女子のほうがか弱いし力をつけた方がいいんじゃないかな。男は野蛮なところがあるから…心配事も多いだろう。みのりが前衛をやった方がいいんじゃないかな?」
みのりは額の間に皺を集めていた
怖い剣幕で睨んでくる
やがて諦めたのかため息をついた
「はぁ…はいはい。じゃあ、あみだくじで決めましょうか…公平に」
自分がノートにあみだくじを書いて、みのりに選ばせるという段取りになった。
結果は…
「結局、前衛か…だが負けてない」
睨まれても、退かずに立ち向かったし負けてない
「はいはい………んじゃートレーニングメニューこなすわよ」
「え…一緒に…?」
「サボられると迷惑だからね。これから毎日ね」
命がかかっていることで、サボるつもりもない。
ただ、クリスマスも近づいているのに、何が悲しくてマッスルパーティーをしなくてはいけないのだろうか
スケジュールには、クリスマスも休みだというのにダンジョン攻略に挑む事になっていた。
彼氏彼女の振りをするためだからということで無理矢理入れたのかも知れない。
脳筋スケジュールに合わせないといけなかった。
実際の所、反りが合わないのはお互いが感じている所だろう
「絶対にダンジョンクリアしてやる」
ストレスをトレーニングにぶつけるしかなかった
「あっはっは!頑張れ〜」
「そういえば…魔物の匂いっていうのがわかるって言ってたじゃん?余計な事はせずに今はダンジョンに集中して欲しい…。他の事でトラブったら本末転倒になる」
「そうだね。約束しておくよ」
本当は、2人でやる事もないんだが…。命の賭け事に他人を巻き込むことをしたくないのかお互い誰も誘わなかった。
ダンジョン攻略したいのは、琴葉のためではなく…自分がしたい事。他人を巻き込むのを躊躇して当然だった。
今週末には、ダンジョン挑む事が決まっている。トレーニングして効果がでるのはずっと先だろうに…
次の日からトレーニングが始まった。
女子のジャージをみても色香を感じない。
学校終わりに堤防で待ち合わせになっていた。
「せめて、ホットパンツならすごいやる気でたのに」
「寒い時期にそんな格好するか!機能性に優れた格好だろう」
このジャージは、女子バレー部が好んできていた気がする。バレー部だっけ?興味が無くてそんな事も聞いていなかった。
「今日は体力テストだ。お互い限界まで走ってみよう」
そう言って彼女はハイペースで走っていった。時速10キロ以上出ているのではないだろうか?
完全にガチ勢なのではないだろうか?
終始ペースを乱されてしまった
重度のトレーニングフェチなのか、蕩けそうな顔で笑いながら走っていた。
冷たい空気を肺に入れ、血の味を感じるのが好きなのだという。
「体力だけなら負けないけど、力が強いわけでもない。頼りになる男子に頑張ってもらいたいな。それに私は頑張っている人をみているの楽しいし」
マラソンのあとは気分が良くなるのか、思考が鈍るのか本音の部分がでている。
少し打ち解けた感じがする…
って恋愛ゲームか。伝説の鳴らない鐘でも鳴らすのか!
1人でセルフツッコミをした。
運動をすればするほど好感度が上がる設定でもついているのだろうか
「胃が痛い…」
「今日は、少し無理をしたからね!明日からも頑張っていこう。やっぱり人と打ち解けるには運動が一番だったね」




