夕日
俺は鑑定魔法を使えるようになったらしい。鑑定といえば物の価値を調べることだが…そして、なぜかククリが驚いているように見える。
「鑑定魔法は、目に見えるものを鑑定していく魔法のことです。」
(やっぱりそうか。ゲームとかで役立つ魔法ではなさそうだな。)
しかし、ククリはこう言う。
「鑑定魔法は見た物の情報を得られます。そのため、モンスターの弱点や攻略法、名称や言語など全て知ることができる魔法です!」
「え!!!」
(チート能力じゃねーか!)
俺はあまりにもの便利さに驚いてしまった。
鑑定魔法は相手のステータスを表示させるイメージしかなった。だが、この世界を知らない俺にとっては有益でしかなかった。
「この魔法を使える者は人類の中で10人程度しかいません。」
「これがあれば魔王とかの鑑定も可能なのか?」
「魔王でも鑑定はできますね。」
俺は試しにククリを鑑定してみた。そして、こう出た。
『名前:ククリ 天界の妖精 見た目は小動物だが上位の妖精だ 好きなものは宝石 苦手なものは魔水』
俺はシンプルに嬉しくてつい笑ってしまった。
「え!?ほんとに鑑定魔法じゃん!…ククリ…本当に天界の妖精なんだね…。」
俺は涙が出た。それと同時にあの頃に戻りたいと思ってしまう自分がまだいるようだ。
ふと、『自分が死んでしまった』ということを思い出してしまったから泣いた。それだけなのに。
「あの頃の生活も意外と気に入っていたのかな…」
俺がそう呟くと、ククリはちょっと低い声でこう言う。
「あなたは女神アリスのお気に入りです。どうか死なないでください。」
俺は少し真剣な顔をした。そしてすぐ笑顔になり、ククリと顔を合わせた。
「そうだね。ここには日本で生活いていた思い出しかない。ありがとう!」
ククリはうなずいて天界に行ってしまったが、ククリは必要なときに呼べば現れる。
気がつけば夕方になっていた。
それにしても夕日がキレイだ。
(明日は学校だから早めに寝よう。)
俺は夕食を済ませてベッドに寝ころがった。そして、
「ククリ、これからよろしくね。」
そう呟いて俺は眠りについた。