鑑定魔法
気付けば俺は魔法を発動していた。威力は強いわけではないが、魔法を発動できたと喜んだ。そしてククリが話しかける。
「まずは上出来ですね。まだ威力は強くありませんが、魔法というものは発動を繰り返すごとに威力が上がっていきます。それと同時に新しい魔法を発見するかもしれません。」
「んー。明日から学校があるから使える魔法は増えていくか。生活には困らないかもな。」
「ボクは他の人に存在を知られると説明が面倒臭いからそろそろ帰ります。呼べばすぐ飛んで行きますので。」
そう言った後、ククリは空へ飛んでいった。あっという間に見えなくなった。
俺はもう少し魔法の練習をすることにした。何度か魔法を発動させた後、俺は何かに気がついた。そしてこうつぶやいた。
「詠唱のセリフあんまりカッコよくないよな…」
すると、突然ククリが空からやって来た。俺の目の前に現れ、こう言った。
「詠唱というものは、頭の中でイメージをさせやすくするためのものです。炎には炎の、水には水のイメージを頭の中で膨らませることが重要です。そのため、詠唱を変えても問題はありません。」
「そうなのか。じゃあ無詠唱も可能?」
「無詠唱も可能ですね。ただ、イメージを膨らませることが苦手な人もいます。そのため、学校では詠唱魔法を教えることがほとんどです。」
「なるほど。わざわざ天界から来てくれてありがとね。」
俺がそう言うと、ククリは嬉しそうに笑顔になった。
そしてククリは白い光の魔法によって前足が白く光っていた。
「これは記憶を消してしまったお詫びのものです。これに手を触れてください。」
「これは何?」
「これは上位魔法を与える光です。手に触れるまで何の魔法を習得するかわかりませんが、必ず何かを習得します。」
そう聞いて俺は迷わず指先を光に近づけた。
すると、みるみると目の前の白い光が消えていく。
(いや、光が俺の中に入ってきたのか?何を習得するかワクワクするな。上位魔法といえば回復系か?一撃必殺か?)
俺がそんな妄想をしている間に光が完全に消えた。俺は何かを習得したのかが気になる一方だった。
「あなたは鑑定魔法を習得したらしいですね。」
「鑑定魔法???」
魔法習得は本当らしく、頭の中は魔法の情報が流れてきており、再現不可能なくらいの複雑な魔法陣でいっぱいだった。