ペナロンの秘密
その頃、ペナロンは吸血鬼と戦っていた。
氷を出しては吸血鬼はそれを拳のみで無効化してくる。
光で目潰しさせるも、気合いと気配だけで特攻してくる。
吸血鬼はペナロンに腹パンした。
「う、うう…」
ペナロンは自身にバフをかけ、ようやく立っているようだった。
「付与系が得意なのか?だが、ひたすら鍛えればそんなもの関係ない…」
ペナロンはお腹を抑えながら回復を使う。
「なぜ吸血鬼がここに?貴方は生徒ではないのですか?」
「…勝利のためさ。先代の魔王様の仇と言えば早いだろう…お前たちが魔王様を殺さなければ我が国、ベルロンはもっと栄えていたはずだった…お前たちクランチ国のせいでだ!」
吸血鬼は怒りをのせてペナロンの膝を蹴り、拳で様々な部分を殴りつけてきた。
すぐ回復するとはいえ、このままでは何もできずに終わってしまう。
かと言って、この狭い空間で広範囲の魔法は危ない。
「だったら…」
ペナロンは体全体に電流を付与し、吸血鬼が触れた部分に電力を流した。
吸血鬼は一瞬だけ怯んだ。
その隙にペナロンは部屋から逃亡した。
とりあえず近くにあった保健室に逃げ込み、助けを求めた。
「誰か!誰か助けてください!」
保健室には怪我をした騎士団員を運んでいる生徒たちの姿があった。その中にはナセリーもいる。
ナセリーは怪我人を運び終えるとすぐこちらに来てくれた。
「どうしたの?ボロボロじゃない!」
「…吸血鬼がいます…」
そのとき、さっきまで静かだった廊下からドタドタと誰かが走る音が聞こえてきた。
「どこだー!あの女、絶対殺す!」
ペナロンは怯えながらもナセリーを連れて廊下の様子を見に行く。
案の定、そこには殺意が溢れ出ている吸血鬼がいた。
「あー、あいつね。やってみるわ!」
「お願いします!」
吸血鬼はこちらに気が付き、ペナロンに殴りかかるも、ナセリーの防御魔法が作動する。
防御魔法は壊れることなく、吸血鬼は拳を抑える。
「な!?渾身の一撃だぞ!」
「す、すごいです…」
ナセリーはためらうことなく吸血鬼の周りを炎で囲む。
それを一斉に吸血鬼めがけて攻撃しようとするも、ジャンプでかわされてしまう。
そのまま油断していたペナロンの背後にまわってしまった。
「ペナロン!」
ナセリーはすぐ炎で対処しようとするも、間に合わない。
「死ねぇ!!!」
ペナロンは一か八かで黒い固まりを吸血鬼の足元に出現した。
なんと、殴りかかった拳はペナロンに当たることはなく、吸血鬼は足が地面に埋まっていた。
「これは…闇魔法か…?」
闇魔法は普通人間には使えない…はずである。よって、対魔族戦を想定していなかったこの吸血鬼は対策をしていなかったのである。
「ペナロン…その魔法は…」
「ナセリーさん!トドメを!」
「あ、うん!」
ナセリーは先程同様、炎を周りに出現させ、吸血鬼めがけて攻撃する。
炎は爆破し、吸血鬼は悲鳴とともに倒れこんだ。
「ありがとうございます!ナセリーさん!」
ペナロンはナセリーの手を握った。
「あ、うん。さっきの闇魔法だよね?」
「そうです…しかし、これは魔族にしか使えないはずですが、なぜか私には使うことができます…。」
「そ、そうなのね…」
そして、今度は階段から足音が聞こえてくる。
二人は警戒するも、すぐに緊張が解ける。
「ナセリー!ペナロン!無事でよかった!」
先程校庭で魔族を倒したエディと合流した。
「王宮に行くぞ!マイクとエワだけでは危険すぎる!」
「え?なんで?王宮?!」
「さあ、詳しくは分からんが、おそらく国王が危ない!」
ペナロンは少し考えてこう言った。
「もうすぐでベルロンと戦争になる…そんな気がします…」
二人は息を飲んで、急いで王宮に向かうことにした。
こうして、エディはナセリーとペナロンを連れて王宮に向かうことになった。




