便利屋との出会い
※オグは「エスピトラ」に出てくるキャラクターです
俺たちはスマホ片手に追いかけてくる人たちを撒こうとしていた。
「なんなんだあの人たちは!」
エディはスマホ(エディは魔力を流すことで誰でも指定の魔法が使える魔石=魔法石だと思っている)を持っている人たちを不思議そうに見ている。
「あれはSNSで騒ぎの原因を掴もうとするやからだね。最悪警察のお世話になるから要注意!」
エワは俺の冒険者カードをポケットから取り出した。
「捕まる前に渡しとく!」
俺は投げたカードを器用にキャッチする。
「ええ!落としてたの!!わざわざありがとうございます!」
「この先にはデパートがあるから出入りが激しいはず!飛ばすよ!」
エワはさらに走るペースを上げ、デパート付近まで急いだ。
俺たちはデパートの人混みを利用して逃げようとした。が、なぜかデパートのある大通りに行けば行くほど人が少なくなる一方だ。それどころか逆方向に走り出す人もいた。
いや、むしろ後者しかいない。
「見てください…あれ…」
「あれって…?ええ!」
ペナロンが指差した先にはグリフィンと、それに拳を入れている一人の女性がいた。
女性以外に人はいなく、多数の人間の血とスマホが地面に散っていた。
SNSに拡散しようとした人たちが犠牲になり、ほぼ全員逃げたということは言うまでもない。
「あの女性…身体強化魔法を付与してるのか?グリフィンに殴りかかるなんて相当の手練れだな。」
「そ、そうだね。私たちみたいに別世界から来た可能性は十分ね…。」
エディの鋭さに多少驚くも、エワはあまり気にせず戦おうと息を吸った。
「エワは来週ライブあるから無理しないで俺たちに任せな!」
「え、大丈夫?ヤバかったら助けるよ?」
「ありがとな!」
エワ以外の俺たちは女性に加勢しようと走って向かった。
「しぶとい…確か近くにオキミくんがいたはず…」
「手伝います!」
エディは素早く抜いた剣をグリフィンの前足に命中させる。
「ここは危険です!逃げてください!」
「いいえ、逃げません!それに私たちは強いので。少々お待ちください!」
ペナロンは緑の光、「ヒール」を女性にかけようとするも、女性は傷を負っていなかった。
俺も紙袋から剣を取り出し背中に差し込むも、グリフィンは素早く翼で剣を弾いた。
「グリフィンなんて戦うのは初めてよ。」
深紅の炎はグリフィンめがけて発射させるも当たることはなく、射程範囲外に入った炎は周囲に散った。
同時にエディも攻撃を繰り返そうと走り出すも、勢いは乏しくその場に跪いてしまった。
「く…やっぱりまだ完全に癒えてなかったか…」
エディは足を抑えながらすぐに立ち上がった。
ペナロンは女性に興味があった。
「お強いのですね。グリフィンと戦っていたのにダメージがないなんて。」
「私はオーガスト。オグって呼んでください。傷は私が…」
そのとき、オグの頭上には大きな爪がせまっていた。
攻撃を回避しようとするも遅く、とっさに腕をクロスさせた。
俺はオグに襲いかかろうとしたことに気がつき、剣を大きく振ってすぐ引き剥がした。
グリフィンを追いかけるのに精一杯で、オグたちの安否確認はできなかった。
ペナロンとエワはオグの腕を見て、すぐ傷が深いことに気がついた。
「大丈夫ですか?!すぐ治します!」
ペナロンが回復させようとするも、オグは「大丈夫」と言って怪我した部分を拭き取った。
深い傷はあっという間に消えていった。
「ええ??凄い!傷がウソだったみたい!」
エワはプロのマジックを見ているかのような反応をした。
「もしかして魔力隠ぺいと即効で回復魔法を同時使用ですか??」
「これは私の能力です。私が今からアレを抑えますから攻撃してください!」
オグは中腰になっていた体をすっかり伸ばし、声を張った。
あれだけ飛び回っていたグリフィンは足を地面に着けるとマヒ魔法がかかったかのように動けなくなった。
「?!あの女性の魔法か?一気にいくぞ!」
エディの呼び掛けで、俺はすぐさま跳びかかり、首を刺す。
エディも同時に炎のように熱い剣をグリフィンの胴体に貫通させる。
胴体が貫通してもなお動こうとするグリフィンにナセリーは炎でトドメを刺した。
炎は命中すると同士に爆発し、魔石だけが残った。
「やった!!」
「ナイス!」
オグたちは歓声をあげながら俺たちに近づいてきた。
その隙にグリフィンから出た魔石を回収しようとするエディは、黒いてのようなものが地面に生えていることに気がついた。
「うわ!手が!手が!」
エディが指差した先には魔石しかなかった。
「何もないけど?」
「え、そんなはずは!」
「あ、もうこんな時間!」
オグは名刺をペナロンに渡してどこかに走り出してしまった。
俺はオグを鑑定するも、すぐどこかに行ってしまったため
『オグ:憎しみの権化』
だけしか読めなかった。
「あの女の魔法…だったのか?それとも…」
「ああ、あの人はオグさんね。ほら。」
ナセリーはペナロンが受け取っていた名刺をエディに見せた。
人通りが戻ってくると、また野次馬が寄ってくる前にずらかろうと、その場を後にした。
※この章はボマーさんの代表作である「エスピトラ」とのコラボです




