駅
目が覚めると、俺はコンクリートの上で寝ていた。
「ん、んん…は!」
起き上がると、そこにはあり得ない光景が広がっていた。
「わ、私は…」
ペナロンが混乱しつつ、頭を抱えながら起き上がる。
「ペナロン!大変だ!俺たちは!」
俺が言い終わる前にナセリーは起き上がる
「んー… え?まさかね…夢だわ。」
が、ナセリーはあまりにもあり得ない光景を目にし、二度寝してしまった。
「ナセリー!現実だよここは!確かに俺たちはダンジョンにいた!」
ナセリーは無言で起き上がる。
「現実逃避してもしょうがないわね。ちょっと待ってて。」
一度ため息を挟んで寝ているエディ、ペナロン、俺の順に耳に手を当てた。
「あら、マイクは片方だけもう掛かっているのね。」
俺はナセリーの行動に疑問を持ったが、今いる場所に混乱して、何も言い返せなかった。
「なんですか?」
「おまじないみたいなものよ。」
「そうですか。」
しばらく無言が続いた。
「うう、気を失っていたのか…面目ねえ。」
エディも起き上がり、ひとまず全員揃った。
「なあ…ここはどこだ?」
俺はここがどこだか知っているが、黙っていた。
なぜならば…
ここは日本でよく見る「駅」だからだ。
きさらぎ駅と書かれたこの場所は、東京駅にそっくりだが、謎のモヤは残っていた。
すると、ホームに電車が停まった。
「な、なんだこれは!」
「大きい割には魔力は感じませんが…」
とっさにエディは剣を、ペナロンは魔法の準備をした。
もちろん、電車が攻撃してくることはない。だが、数分経ってもドアは開いたままだった。
まるで、乗れとでも言っているのかのように。
「大丈夫だよ、二人も。これは…馬のない馬車みたいな?」
「え?馬のない馬車?動くのか?そもそもどこに行くのか?」
エディは科学の『機械』を目にし、少々混乱している。
あの世界… 俺が転生してきた世界は、科学はある。だが、「しょぼい科学なんて大体魔法で代用できる。」ということが、あの世界の常識である。
目的地を確認しようと、電光掲示板を見ると、何も表示されていなかった。
「目的地はわからない。だけど、車内に書いてあるかもしんないから入ってみる?」
「え?入っていいのですか?!食べられたりしませんか…?」
「うん大丈夫」
俺は自信満々に答えた。とにかくみんなを安心させたい。
「マイク、随分と詳しいわね。」
「そ、そうかな…。」
ナセリーは鋭い指摘をし、俺は一瞬固まった。
ナセリーは目をそらしたが、エディは俺のことをじろじろ見ている。
エディを無視して俺とナセリーは車内に入った。
車内には誰もいなかった。それに、普通ならある広告も一つもなかった。
そのとき、エワの…歌野起亜の『空に駆けて』が流れた。
そして、電車はドアが開いたまま走ろうとしていた。
そして、乗っていなかったエディとペナロンはマイクたちを追いかけて走った。
「?!マイク!待ってください!動き出しましたよ!」
「こうなったら、飛び乗るぞ!!」
そう言い終わるのと同時に、エディがドアから飛び込んできた。
それに続いてペナロンも車内に入った。
電車のドアは閉まり、そのまま4人を乗せていった。
電車はずっと真っ暗な夜の道を通っていた。
少ししてトンネルに入った。
「見てください!壁に何か、いろいろと書いてあります!」
「それに、色が付いてて、床に滴っていない…。あれは絵の具なのか?」
ペナロンとエディはスプレーで書かれた落書きに興味津々だ。
そういえば、いつもの世界にはスプレーはない。
それとなくナセリーを見ると終始苦笑いを浮かべていて、落ち着きがないようだった。




