モヤ
これは、交通事故で異世界に転生してきたマイクとその仲間たちの物語である。今回の話は異世界での出来事から始まる…。
俺たちはギルドからのクエストをクリアすべく、ダンジョンに入ってモンスターを狩っていた。
「ファイガ!」
エディは今回の標的であるアイスゴブリンに魔法を連射していた。
「エディ凄いわよ!ゴブリンを一撃で倒しちゃうなんて!」
ナセリーがエディを誉めた。
ナセリーは魔王を倒した経験のある勇者のエディに惚れているが、エディはそれに気がついていないのだ。
「ナセリーさん!こっちも手伝って下さい!」
「あ!ごめん!今行く!」
ナセリーに助けを求めたのは、いつも敬語しか使わないペナロンだ。このパーティーになってからかなり時間が経過しているが、彼女についてはまだ謎が多い。
「ペナロン!アイスゴブリンには炎だ!」
「わ、わかりました。」
俺は元日本人である。転生するときに世界で10人程度しか使えない鑑定魔法を習得しているため、その場で敵の弱点を探し出すことも可能。
「あと3体だわ!」
「任せて!」
俺はそう言って詠唱を始めた。
「100度より高く、火より大きく生成し、我が魔力、敵を包め!ファイアホール!」
俺は広範囲魔法でアイスゴブリン3体を炎でつつんだ。
「マイクさん凄いですね。初級魔法とはいえ、もう広範囲で魔法を使えるなんて…。」
俺が出した炎が消え、アイスゴブリンの姿が見えてきた。しかし、アイスゴブリンはまだ動こうとしている。
「…詰めが甘かったわね…。」
ナセリーがそう言うと、無詠唱でファイアを打ち、トドメを刺した。
この世界では、無詠唱はある程度の魔法戦闘経験がないと使えないものだ。要するに、転生したばっかりの俺には無詠唱魔法はまだ使えないのだ。
「さて、1.2.3.4.5…。これで終わりだ!魔石を回収してギルドに戻るぞ!」
「「おー!」」
モンスターは死体が残らない代わりに、魔石を落とす。
魔石は付与魔法で使い方を応用しやすいため、家具や武器などに使われるため、ギルドで売れる。また、特定の魔物を倒すクエストの場合は、討伐証明のためにギルドで提出することになる。
「エディは今日もカッコよかったわよ!剣術以外に炎魔法も強いのね!」
「あはは…」
俺たちが歩いていると、エディはなぜか足を止めた。
「おわっ!ちょっと!」
ナセリーはエディにぶつかってしまった。
「あっ!ちょっと!」
「…。」
「エディ…?」
エディはひたすら前を呆然と見ていた。そこには、魔物が謎のモヤがかかった道に吸い込まれていく光景だった。
「…。」
あまりにも珍しい現状だったため、誰も発言しなかった。来たときはこんなものはなかったはず。
この道は気味が悪いため誰も通りたがらないが、謎のモヤはだんだん大きくなっていている。
「…。なんか、俺たちも吸い込まれているような気が…。」
俺は自分たちがさっきより前に移動していることに気がついた。そして次の瞬間…。
「あ!やばい!」
俺はいきなりモヤに吸い込まれてしまいそうになった。すかさずエディが俺の右手を掴んだ。それに続き、ナセリーは左腕、ペナロンはナセリーの体を掴んで引っ張っている。
しかし、俺の足の半分はモヤによって吸い込まれている。
「ど、ど、どうしますか!?」
「と、とりあえず、一気に引っ張ってみるか…?」
「わ、わかったわ。せーの!」
3人は一気に俺を引っ張った。しかし引っ張ったのと同時にナセリーは足を滑らせてしまった。そして、ナセリーも足を吸い込まれてしまった。
「ご、ごめん!」
「げ、限界、です…。」
ペナロンは力尽きてしまった。
そして、4人全員で謎のモヤの中に吸い込まれてしまった…。




