日本の娯楽1
授業が終わり、多くのクラスの人たちは寮に向かっている。しかし、俺たち四人は教室に残って南側の席に固まって座っている。休み時間中に俺が集まるように声をかけたからだ。
「それで、何で遊ぶの?」
「俺は楽しければどんなことでも!」
ナセリーとエディは俺にそう尋ねた。ナセリーとエディはワクワクしている様子だが、ペナロンは無表情だ。
「だ、大丈夫だよ!色々考えてきているから楽しめるはず!トランプか人狼ゲームかUNOか…。どれにする?」
「え?!そんなにですか!?」
俺の自作のカードを見てペナロンは驚いた表情になった。
前世では色々な娯楽があった。しかし、この世界では娯楽が少ない。特に俺が今読んでいるマンガは東京スカイツリーや自由の女神、ピラミッドなどが描かれているため、明らかに前世の世界の人間がこちらの世界に輸入してきたものだ。もちろんアニメも普及しているわけがない。そのため、少しでもみんなに前世の世界の娯楽について触れてほしかったのだ。
俺が選んだ遊びのカードゲームはどれも店にないものばかりだ。
「何これ!すげー。」
「見たことのないカードばかりです。」
エディとペナロンは立ち上がってカードに目をやった。やはり期待どおりの反応だ。ナセリー以外は…。
「あら、みんなで遊ぶ定番ゲームばかりでいいじゃない!」
なんと、ナセリーは知っていたのだ。
「ナセリー知っているの!?」
「ええ、私の国ではよく見るわ。」
この様子だと俺のような転生者がナセリーの国で娯楽を広めているようだ。しかし、この国では普及していないようだ。
「ナセリーは外国人だったのか。」
「ええ、一応…。」
ペナロンは大量のカードをずっと見つめている。戸惑っているようだ。
「ペナロンは気になるカードゲームある?」
「えっと…。『市民』と書かれたカードはどのようなカードゲームで使いますか?」
ペナロンはそう言って人狼ゲームのカードを手に取った。
「これは人狼ゲームに使うカードだよ。」
「カードは市民と人狼の二種類。市民チームの勝利条件は人狼を探し出すこと。人狼チームの勝利条件は自分が人狼だということを隠しながら、市民の人数と人狼の人数を同じにすること。人数が多いと役職が加わるらしいわ。」
俺は人狼ゲームに詳しすぎるナセリーにドン引きしてしまった…。もし、ナセリーが日本人だったらオタクになっていそうだ…。
「ナセリー詳しいね…。えっとね…今回は四人だから役職はいらなくて、人狼は1人で、投票タイムも一回かな。ちなみに役職っていうのは、市民チームで人狼を見つけられる能力がある占い師などがあるよ。」
「…。要するに、人狼になった人は市民のフリをすればいいのですか?」
「そういうことだ。」
「あれ?以前似たようなゲームをやったことがあるような…。あ!占いは…ないよな!」
「エディも知っているのか?!ククリ!?どうなっているんだよ!!」
俺はガッカリしてしまった。以前ククリと夜更かししたとき…
「この世界では魔法が発達しています。しかし、魔法と科学の区別がはっきりとされていません。発達した魔法に科学を融合させていくと人間を冷凍保存することは現実的です。しかし、魔法を使わない機械的な…例えば自動車などは今の段階だと造れません。」
(えっと…。話が長い…。もう夜中の2時だよ…?)
「あーそうそう、日本にあるような娯楽はこの世界にはありません。この世界は魔物で溢れているため暇な時間があれば大体の人は戦闘訓練をします。マンガも転生者が持ち込んだと考えるべきです。『ペイントを撒き散らせ!』というマンガが一番分かりやすいですよ。日本の建築物も描かれています。カードゲームなんてお店で2~3セット売っているかどうか…。」
「へ…へー…。」
「友達に紹介してみてはどうですか?楽しんでくれると思いますよ。たぶん。」
「たぶんって…無責任な…。」
という会話をしたことを思い出した。せっかくみんなにとって新鮮な遊びができると思っていたのに…。
「ククリ…?ってなに?」
「さあ、人の名前でしょうか?」
「えっと…。」
「いや、く… くくる?くぎる?そう!世界の遊びの境界線の区切りがわからないってことだよ!!よし、さっそく始めるぞ!」
「あーなるほど?」
ナセリーはこの説明で納得したようだ。ペナロンはキョトンとした表情だ。問題はエディだ。エディは手を組んで考えている。エディはなぜか感が鋭い。俺はエディのカードを渡して無理やりゲームをスタートして誤魔化した。どうかこれ以上は深く考えないでくれ…。




