学校生活3
今日もいつもの授業、先生が教科書を読んでいる。
「冒険者には階級がある。全部で下から杏、鴬、碧、紺、藍、菖蒲、緋、紅、茜の9つだ。この学校出身の冒険者に茜はいない。冒険者になるやつは茜を目指すんだ。」
(冒険者か。そういえばエディも冒険者になりたいと言っていたな。俺も冒険者やりたいなー。)
俺は前世でRPGゲームをよくやっていたため冒険者には憧れがある。
「一週間後に実技テストを行う。ダンジョンに入り、2時間生き残れ。パーティーを組んでもいい。ギブアップしたいならテレパシーの付与がかかったこの魔石を使え。これで私に連絡をしろ。」
先生は魔石を全員に配っていく。
(テストか。ダンジョンなんて入ったことないしちょっと心配だな…)
冒険者になりたいが、いざダンジョンに入ることになると知ると急に不安になる。
「マイク、お前とパーティー組んでいいか?」
何気なくエディは俺を誘ってくれた。
俺はあれからエディと仲がよくなったのだ。ここは迷わずOKすることにした。
「もちろん!」
先生が魔石を配り終えたみたいだ。
「今日はここまで。昼休みにする。」
先生はそう言うと教室を出ていった。
教室がザワザワしてくる。みんなパーティーをどうするか相談しているみたいだ。
「パーティーが二人だけだと少ないよな。」
エディがそういうと、
「そうだな…。俺はまだ戦闘回数が少ないし。」
と、俺もパーティー人数を改めた。
なにしろエディ以外に友達がいないし、モンスターと戦闘経験はゼロだから。
「あの、ちょっといい?」
「ファ??」
突然女の子の声がして驚いてしまった。女の子に話しかけられたのは久しぶりだから多少緊張する。
「ダメだった?」
「いや全然大丈夫だよ!」
この女の子はナセリー。黒髪のボブショートがよく似合っていてかわいい。
確かナセリーはいつもエディのことを見ていて仲のいいイメージだ。まさかエディが好きでこのパーティーに入ったなんて… まさかね。
「歓迎するよ!」
エディはそういって笑った。ナセリーの顔は赤くなっているが、そのことに気付いていないらしい。
そして、もう一人の女の子が俺たちに話しかけるも、誰一人として気がつかない。
「あの…ちょっといいですか?」
「一応自己紹介しとくよ。俺はエディだ。」
「俺はマイク。」
「私はナセリー。よろしくね!」
「あの!」
女の子は無視していた俺たちの中に無理やり割り込んできた。
この女の子は髪を2つ縛りしてリングのように丸く結んである。水色の髪がきれいだ。
気配がなくて全然気付かなかったのは彼女の声が小さいのか、影が薄いのか…。
(この女の子はペネロペだった… はず。)
「私を… パーティーに…」
「もちろん!」
「ありがとうございます。私の名前ペナロンといいます。えっと、名前間違えられやすいです…」
「あ…」
俺は名前を間違えて覚えていたようで、思わず声を出してしまった。なにしろ、ペナロンはいつもおとなしかったから。
「ん?どうしましたか?」
「いや、なんでも?」
俺はペナロンの名前をしっかり覚え、チームワークを良くしようと志した。
ともかく無事にパーティーを組むことができた。とりあえず今回はなんとかなりそうであった。