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喧嘩するほどなんとやら(友也視点)

友也目線になります

 僕は桜の花びらが美しく舞い散るこの日に地元の小学校へ入学を果たした。

 聞いた話によると幼稚園からの友達である清君たちも同じ小学校なようだ。

 今日から華の小学生、どんな子たちがいるんだろう。楽しみだなぁ!

 





 「もう無理ぃ」

 入学式が終わり教室へ移動となると、僕は席に着くなりだらっと伸びてしまった。

 どうやら学校というものを舐めていたみたい。あんなにお偉いさんたちの話が長いなんて聞いてないよ~。

 ちらっと見てみると清君は普通に寝ていた。神経が太すぎるよ・・・


 そんな僕の目にはある一人の男の子が映っている。

 『そういえばあの子、入学式の時もずっと背筋伸びていたよね』

 すっごいイケメンだし、窓の外から除く木漏れ日がその子を照らしていて、その子の周りだけ神聖で神秘的な空間が形成されていた。

 「か、かっこいい」

 身長は目立つほど高くないけど、首回りがシュッとしていて、高い鼻と大きな目、肌は物語に出てくる王子様みたいに白く透き通っていて、髪はやや茶色がかった感じ。一人だけ浮世離れしているその風格と容姿に僕は感動した。

 あれで本当に同い年なのだろうか?

 

 知りたい、彼のことを


 「ねえ君!」

 気づいたら僕は彼に話しかけてしまっていた。

 『この子と友達になりたい!』ただその一心だった。


 僕が声をかけると彼は驚いて尻もちをついて驚いていた。ちょっと心配になったけれど、人間味ある一面を見れて僕は安心した。だってずっと神様みたいなオーラが漂っていたんだもん!!






 入学式から少し経ち、今では僕はヒロ君の友達だ。そして分かったことが一つある。

 それはヒロ君はとってもすごい人だってこと!


 はじめ、清君とヒロ君が喧嘩になっちゃってどうなることかと思ったけど、僕の正直な気持ちを真っすぐ伝えたら、ヒロ君はそれを分かってくれて、尚且つ清君とも友達になっちゃった。ヒロ君は人の気持ちをまず一番に考えててくれて、とても優しい。

 一緒に歩いているとすごくじろじろ見られる。特に女の子から。恥ずかしいけど、やっぱりヒロ君はイケメンなんだなぁと感じる。だって清君と歩いていても女の子からの視線なんて感じないからね。

 そして、すごく意外だったのはヒロ君にとって僕が初めての友達だっていうこと!

 女の子から話しかけられるといつもおどおどしてるし、もしかしたら人付き合いが苦手なのかも。そういうところもお茶目でいいよね!


 


 それはそうと、ヒロ君は何でもできる。テストはいつも百点だし、言葉遣いも大人っぽくて知的。体育の授業でもいつもキレキレな動きを見せてくれる。本人は運動に自信がないみたいだけど、全然自信もっていいと思う。

 

 ずっとヒロ君と一緒にいて思ったんだけど、ヒロ君は自己評価がとっても低い。なにをするにしても謙遜して、それでも嫌味ったらしくないからかっこいいんだけど・・・

 僕はもっといろんな人にヒロ君のことを知ってほしい。僕の友達はすごいんだぞ!って周りに自慢したい!

 

 だからヒロ君からサッカーの習い事に誘われたとき、僕はとっても嬉しかった。

 僕は清君が所属している流星ユナイテッドをお勧めした。みんなでやったほうが絶対に楽しいもんね!


 入部して二か月、ヒロ君はメキメキと実力をつけていった。今では同級生の中でも一二を争うほどの実力者だ。一年生ながらも清君と一緒にU-10(アンダー10:十歳以下のカテゴリー)の試合に飛び入り参加していた。

 僕はというと、二人ほどは上手くないけど、同級生の中のミニゲームではそこそこやれる程度には上達した。これも清君の指導の成果だね!はやく二人に追いつかないと!

 

 っと噂をすればあの二人だ。

 「おいヒロ!今のは俺にパスだろっ!!」

 「決めたからいいじゃねぇえか!」

 「俺のほうが確実だった!お前シュート下手なんだからおとなしく俺に回せばいいんだよ!」

 「なんだとぉ!」

 「やんのかぁ!」

 「こらっ!やめなさい!喧嘩した罰として二人ともグラウンド三周!ほかの子の迷惑にもなるんだからな!気をつけなさい!」

 「「はーい」」

 いつも喧嘩しながら練習している二人はよく監督から叱られていた。怒られた直後はまずかったと二人とも反省するのだが、また二人だけになると喧嘩になっちゃう。

 ほら今も「どっちが早く三周できるか勝負だ!」とか言って喧嘩しながら走っていった。

 そのことを同じ幼稚園仲間のあっちゃんたちに相談してみると、「喧嘩するほど仲がいいっていうし、ほっといたらいいんじゃない?」ってアドバイスされた。

 僕も二人は心の中では信頼しあっているんだと思う。昔から清君のことは知っているけど、あんな表情をするのはヒロ君に対してだけだ。

 その事実に少し悔しかったりするけど、二人とも僕に対しては優しくてとっても暖かいんだ。

 そんな自慢の友達に見合うためにも僕は頑張らないとね!


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