インタビューその1
初投稿です!
拙い文章ですがよろしくお願いします( `・∀・´)ノ
「昔はもの静かな子でしたね」
そう語るのは吉浜ウィングスの元監督である嘉山さんだ。
「へー、意外ですね」
「みんなそう言うんですよね。今でこそテレビなんかで目立ってますけど、内気だったあの子が今ではプロだなんて、本当に信じられないですよ」
そう言って嘉山さんはお茶をずずっと飲んだ。
「ただ野球センスだけはずば抜けていました。なんだろう、彼の野球は上手いというより美しい、その一言に限りますね」
「やはりプロになるべくしてなった逸材というわけでしょうか」
そう尋ねたものの、嘉山さんは首をひねりながら「そんな感じじゃなかったんだよなぁ」とこぼした。
「なんだろう、確かに上手な奴でした。でも、プロになれるかって言われたらそこまででもなかったんですよねぇ。センスだけでやってるというか。周りの年齢が上がるにつれて通用しなくなるだろうなって、失礼だけど思っていました」
どのスポーツでもいる、小さいころだけは周りよりも上手くて、でもそこから向上心をなくしてしまうタイプ、それが鳴瀬 稔浩の周りからの評価だったのか。
「だからね、いきなりアメリカ行くって言って旅立って、帰ってきたらあんなに目立ちたがりな青年になってるんですよ。ほんとにびっくりしましたよ」
少し首をすくめてお茶目に話す嘉山さん。だが俺はびっくりしすぎて飲んでいたお茶を吹き出してしまった。
「えぇ!?やっぱりあの人外国行ってたんですか!?」
バンッと机をたたきながら身を乗り出す俺の勢いに少し怯みながらも、嘉山さんは順を追って丁寧に説明してくれるという。(ていうかあいつ少しは俺に説明しろよなまじで)
アメリカに何が待ち受けていたのかは知らないが、あいつの人格を正反対にするほどの濃厚な経験だったのだろう。
その後、私は嘉山さんに話を聞き、ほどなくしてインタビューは終わった。
「今日は興味深い話をいろいろとありがとうございました」
「いえいえ、彼のことを知りたいと思ってくれる人がいるだけで私もうれしいですから」
「それでは、記事ができたら送らせていただきますので」
「いろいろとお気遣い感謝します」
私がその言葉に少し頷いて帰ろうとすると、嘉山さんが「そういえば」と呟き、私を引き留めた。
「どうかしましたか?」
「いやはや、一つ大切なことを伝え忘れていましてね。これも記事にかけるかもしれません」
「そうですか!少し待ってください、今メモするので」
俺はあわててメモ帳とボールペンを胸ポケットから取り出したが、嘉山さんから放たれた言葉に思わずペンを落としてしまった。
「実はですね、あの子はもともとサッカー少年だったんですよ」
「え?」