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渋谷駅にて

作者: 星野紗奈
掲載日:2021/06/03

どうも、星野紗奈です♪


以前あるところに応募していたものをここに投下しておきます!

お題は「渋谷」で、字数制限アリのものでした。

短い作品なので、気軽に読んでいただけたらと思います('ω')


それでは、どうぞ↓

 人、人、人。大学に通うようになって頻繁に利用するようになった渋谷駅の第一印象は、とにかく騒々しいというものだった。曜日や時間はバラバラのはずなのに、渋谷駅は常に驚くほど混んでいる。元々電車通学したことがなかったからかもしれないが、新たな学生生活が始まって早々、あまりの人の多さにうんざりした記憶がある。

 さらに私の気分を憂鬱にさせたのは、その行き交う個人だった。目についた人々が、いちいち私の柔い部分を刺激してくるというか、どうしようもない身勝手な劣情を私に抱かせるのだ。例えば、いかにもキャリアウーマンといった感じの女性がヒールを鳴らしているとか、淡い色彩の服をまとった女子大生がスマホを見ながら進んでいくとか、ダンディーで素敵なおじさまがいるとか。そういった全ての人が、情けない私情のフィルターを通して、やけに私の心をざわつかせるのだ。

 それだけ多くの人々が行き交っているというのに、一度駅を出てしまえば、その密度が嘘だったかのように人雲が晴れていく。だから、駅を出るとようやく息がつけるような思いになる。初めてそれを経験した時には、その変わりようがどうにもおかしくて、一人でくすくす笑っていたことを覚えている。近くの商店街を歩いているのは数人のおばさんくらいで、特に目立った店もなく、気まぐれに入った喫茶店には仕事に追われた人が数人いるだけだった。つまり、駅の中と外とはほとんど別世界だったということである。

 人の波に溺れて、嫌悪感に苛まれて、気がついたときには外に放り出されている。そういうサイクルを週に三回ほど繰り返しているわけだが、最近ようやくこれも悪くないと思えるようになってきた。というのも、駅の改札を出て、その場に立ち止まっているわけにもいかないからと、乗り換えのために踏み出す一歩の何とも言えない爽快感が私を虜にした。

 ひと、ヒト、人。ここを通れば、私はそういうものになれる気がするのだ。


ありがとうございました!!

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