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運命の転生者  作者: apple-pie
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魔法使いエイラ

「ギャアァ…」


俺とエイラは『ナナクスの森』で一心不乱にゴブリンを狩っていた。今日の晩飯と寝泊まりする場所を確保するためである。


「ゴブリンは弱いからまだいいけど…、戦闘って結構一苦労だな…」


そんな中俺は剣を振り回す大変さを感じていた。ゲームと違い、油断すれば命に関わる。長居は禁物だ、少しでも早く1日分の稼ぎを得なければ。


「あと少し…」


エイラに聞いたところ、晩飯と宿でだいたい銅貨20枚あれば足りるらしい。なので目標はとりあえずゴブリン20体だ。


「ギャァ…」


「ふぅ…とりあえずこれで10体だな…エイラの方はどうかな?」


目標の半分を達成した俺は、ひとまず途中経過を確認しようとエイラの様子を見た。するとエイラの前にはゴブリンが5体いて、それを囲うように紫色の魔方陣が浮かんでいる。


「『サンダー』!」


杖を振り上げながらエイラがそう唱えると、空から稲妻が轟音と共に現れゴブリンを消し炭にした。


「おお…お?」


俺は初めて見る魔法に興奮していたが、その時エイラの持っていた袋に目がいってしまった。


「う、嘘だろ…」


エイラはその袋の中に銅貨を入れていたが、かなり膨らんでいる。明らかに俺よりも多い枚数を持っているのだ。それを見た俺は、恐る恐る何枚手に入れたか聞くことにした。


「な、なぁエイラ…今ので何体だ…?」


「今ので…15体です!ヒロキさんは何


「おお!そうか!じゃあ目標達成だな!」


俺はエイラの言葉を遮って、自分の倒した数を隠した。なんとなく負けていることが恥ずかしかったからだ。そして『大丈夫、俺は初日なだけだ』と自分に言い聞かせ、一刻も早く『ナナクスの森』を出ることにした。


「じゃ、じゃあ帰るとするか」


「…?はい!」


エイラには若干疑問に思われたが俺は無理矢理に話題を切り上げて、自分がエイラに倒した数が負けていることを隠し通した。


「暗くなると危ないし!早く帰ろう!早く!」


そして先頭に立ち『ナナクスの森』を後にしようとした時、俺の『警戒心』が後ろからの殺気を感じ取った。


「…!エイラ、危ない!」


殺気に気付いていないエイラの手を強く引いて、俺は後ろから来たゴブリンを剣で斬りつける。するとゴブリンは苦しそうな声を出して消え、1枚の銅貨を落とした。


「これで11体……あっ」


しまったと思い後ろを見ると、聞かれていたらしくエイラは俺を見てニヤニヤしている。


「ヒロキさん…もしかして、私に倒した数が負けてるの隠してたんですか~?」


「ぐっ…し、初日なんだよ!仕方ないだろ!」


「ふふ~ん…じゃあ、そういうことにしといてあげます」


俺をバカにするようにニヤニヤした顔のまま、エイラは後ろ歩きで俺から離れる。しかし俺にばかり気を向けていたせいで、大きな木の根っこに躓いて盛大にしりもちをついた。その足の間からピンクの下着がチラッと見え、俺は手で顔を覆う。


「痛た…ハッ!み、見ましたか!?」


「……」


「うぅ…は、早く帰りましょう!」


急いで立ち上がり服の汚れを払うと、エイラは慌てる様子でそう言った。しかしその指先は出口と逆方向を向いていた。


「出口あっちだぞ…」


エイラの道案内をしながら『ナナクスの森』を抜け、ギルドに戻るとなんとも美味しそうな匂いが漂っていた。皆、夕飯時なのだろう。


「さて…何食おうかな…」


割りと銅貨に余裕のあった俺とエイラはそれぞれ好きなものを頼み、お互いの料理を食べ比べして楽しく食事を済ませた。


「ごちそうさま」


「美味しかったですね!」


「だな」


「じゃあ次は宿屋に向かいましょう!」


ギルドで他愛もない話をしたあと、俺とエイラは宿屋に向かった。しかし、そこで問題が起きた。宿屋の代金を1人用の値段で考えていたようで、部屋を1つしか借りれなかったのだ。

2人寝るには狭いベッドを前に、俺とエイラはベッドの譲り合いをする。


「…お、俺がソファーで寝るよ」


「いや私がソファーで寝ますよ!そもそもこうなったのは私のせいですから!」


どちらも一歩も譲らないベッド、ではなくソファー争奪戦は、いつまでたっても決着が付かず、結局互いに背を向けてベッドに寝ることになった。

俺の背中にエイラの小さな背中が当たり、少し暖かい。決まらないから仕方なく2人で寝ることにしたが、これはこれで寝付けない。


(き、気にせず早く寝てしまおう…!)


俺は布団に潜り込み、目を閉じて朝を待った。しかし一向に寝付けずそのまま暫く経つと、エイラの方からなにやら物音がすることに気付いた。


(何してるんだ…?)


何をしているのか気になり、ゆっくりとエイラの方を見る。するとエイラはベッドの上で体を起こし、自分の両胸を自分で揉んでいた。


(…な、何してるんだ!?)


俺は思わず顔ごと目を反らしてしまった。見られていた事に気づいたのか、エイラは驚いたような声を上げる。


「お、起きてたんですか!?」


「起きてて悪かったな…ててて、てか隣に人がいるのに…そ、そんなことすす、するなよな…」


俺も体を起こし、エイラのやっていたことを思い出してしまい、目を反らしながらそう言った。


「い、いや!さっきのは変なことしてたんじゃないんです!ただのトレーニングなんです!」


「トレーニング…?」


エイラの説明によるとさっきの胸を揉んでいたのは、友達に教えてもらった魔力を上げるトレーニングらしい。

なんでも偉大な魔法使いに巨乳が多いのは、このトレーニングをやっていたからなんだとか。とんでもなく嘘臭い。


「な、なんじゃそりゃ。…まあいいや…続けるなら俺はちょっと席外すよ…」


「あ、ありがとうございます!」


俺はエイラを置いて部屋を出たあと、ポーチから蒼い石を取り出した。ちょうどゼウスに聞きたいこともあった俺は、あの空間に移動した。

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