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運命の転生者  作者: apple-pie
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エイラの『異能』

「では早速ギルドに行って、パーティの申請をしましょう!」


エイラは嬉しそうにそう言うと、俺の手を引いてギルドのある『冒険の国メンクス』へと歩き始める。鼻唄を歌って歩くエイラを微笑ましく思いながらも、俺の頭の中は何故あんな危険な森で寝ていたんだという疑問で一杯だった。


「な、なぁ…なんであんなとこで寝てたんだ…?」


「…う…」


俺が聞くとエイラは鼻唄を歌うのを止めて、ゆっくりとこちらを向いた。その表情は少し恥ずかしそうに、頬を赤らめている。


「いやぁ…森の中でパーティを組んでくれる人を探してたらつい眠く…アハハ…」


「あぁ…そうなんだ…」


なんとなく思ってはいたが、エイラは少し抜けているところがあるようだ。道中にも小さい石に躓いて転びそうになることがあり、『冒険の国メンクス』に着く頃には、俺は妹の世話をしている気分になっていた。


(これは…俺がしっかりしないとダメだな)


「うわっ、こんなとこに石がっ!?い…痛た…」


(また転んでる…)


門にいる兵士に戻ってきたことを告げ、冒険者カードを返してもらい俺とエイラはギルドに向かう。その時だった。


「おい、まただ」


「ほんとだ、懲りないねえ」


(…なんだ?)


すれ違う人達が皆こちらを見て、ニヤニヤしていることに気づいた。また『警戒心』も発動しているようで、その視線からは悪意のようなものを感じる。


(…また俺のことをバカにしてるだけ…なのか…?)


そう疑問に思ったのは、その視線が俺1人に向けられている気がしなかったからだ。とはいえ、聞き出したところで答えるわけがないだろう。俺は殺意ではないことを確認し、気にしないようにギルドに向かうことにした。


「パーティの申請をお願いします!」


「あっ、おい!」


エイラは勢いよくギルドの扉を開けると、大きな声でそう言いながらカウンターに走り寄った。扉の前で置いていかれた俺は、後を追ってカウンターまで走る。


「パーティの申請ですね!わかりました!」


俺がカウンターに着く頃には既に手続きが始まっていて、エイラはカウンターに置かれた紙に名前と職業を書いていた。


「…これでよしっ!ハイ、どうぞ!」


自分の書く場所を終えると、エイラは満面の笑みで手に持ったペンを俺に渡した。やれやれと思いながらも、ペンを受け取り俺も自分の書く欄を埋めた。

カウンターの女性は埋められた紙を受けとると、大きな判子を押して手続きが終了したことを告げる。


「これでパーティ結成ですね…」


「…どうした?」


「あっ、いえ!なんでもないです!」


無事にパーティを組むことができた俺とエイラは、ギルドのテーブルに座り暫く雑談をしていた。その間も俺の『警戒心』は周りの人が俺達に向ける視線から、うっすらと悪意を感じ取っていた。


「…いつまでか賭けるか?」


「そんなの今日だろ」


耳を澄ませてみるが、会話の内容から何の話をしているのかは見えてこなかった。そしてもう一つ気になったのは、パーティを組んでからずっとエイラが何か言いたげにしている事だった。


「な、なんかさっきからソワソワしてるけど…何か言いたいことでもあるのか?」


意を決してそう聞くと、エイラは俯いて少しの間黙り込んだ。そして突然エイラは立ち上がり、真剣な眼差しで俺を見つめる。


「ど、どうした…!?」


「…ヒロキさん、パーティ組んだ後から言うのもなんですが…隠すのは嫌なのでやっぱり言います!私…冒険者になりたかったんですけど…運動神経悪くて、剣士を諦めて魔法使いを目指したんです…」


「お、おう…」


さっきまでの印象では想像もつかないほど真剣なエイラに、圧倒されながらも俺は話を聞き続けた。


「必死で魔導書を読んで、独学で…死に物狂いで魔法を覚えたんです…。でも、私その、『異能』持ってなくて…そのせいで今までパーティ組んでくれる人がいなかったんです…」


エイラは言い切ったように長く息を吐くと、ゆっくり席に座る。それを見て俺はギルドに来るまでにすれ違った連中が、なぜニヤニヤしていたのか理解した。『異能』が無いという理由で俺がパーティを組むことを断ると踏んでいたのだろう。


「ヒロキさん…パーティ解散したかったらいつでも


「何言ってるんだ、するわけないだろ」


エイラの言葉を遮るように、俺はそう言った。エイラに突然捕まり、パーティを組もうと言われたのは凄く嬉しかった。それは今も全く変わっていない。


「『異能』が無いから何だよ?そんなのよりも、それが無くても頑張ろうとする努力の方が、よっぽど凄いと俺は思うぞ!」


俺は良いこと言ったな、と自分で思い得意気に口角を上げた。そしてテーブルに手をついて立ち上がり、エイラに向けて手を伸ばす。


「んじゃ、改めて…パーティ結成だな!」


「…!…はい!」


エイラは元気を取り戻したように立ち上がり、俺の手を強く握りブンブン振った。どうやら完全に調子が戻ったようだ。


「よし!じゃあ、お祝いに飯でも食うか!」


「…え、私あんまりお金持ってないですよ…?」


「……」


その瞬間、俺とエイラの間に暫く沈黙が続いた。飯を食うなどと大口叩いたはいいものの、すっかり忘れていた。今俺の懐にはさっきのゴブリンが落とした銅貨が1枚あるだけである。これで頂けるものなど水くらいだろう。


「ち、ちょっとトイレ行ってくるから待ってて…」


「あ、はい!」


ひとまず1人でトイレに籠り、作戦会議を開くことにした。とりあえず飯と寝泊まりができるくらいの金が必要だ、この後すぐに『ナナクスの森』に行って金を稼がなければ。


「…ただいま…早速で悪いが金稼ぎに行くぞ…!」


「わかりました!」

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