二人の話
「こうして二人で話すのは…本当に久しぶりね」
「そうですね!」
ステンドグラスに西日が当たり、少し明るくなった教会の椅子でエイラとルシアは話し合っていた。
「そうだ、忘れちゃわない内に…これどうぞ!」
「これは…花冠?」
「はい!子供達とエイラちゃんと一緒に作ったんです!」
エイラはルシアに笑顔で花冠を渡した。ルシアは受け取ると花を見て、少し微笑んだ。
「『希望』…か」
「素敵な花言葉ですよね、子供達が教えてくれました!」
「懐かしいな…」
「懐かしいって…?」
エイラが聞き返すと、ルシアは受け取った花冠を頭に乗せて再び微笑んだ。
「私が悪魔に憑かれたときにもね、ダインがボアの花冠をくれたんだ。俺が何とかする、って言って」
「そうだったんですね…」
ルシアは微笑んでいたが視線を落とすと、暗い表情を見せた。
「でも…もう、どうにもならないと思うの…。それに、これ以上子供達やダインに迷惑かけるのは…」
「……ルシア、それは違うと思います」
エイラはルシアの話を遮ると、真っ直ぐルシアを見つめた。
「ダインさんも、子供達も…きっと迷惑なんて思ってないはずです」
「エ、エイラ…。ふふっ」
「な、なんで笑うんですか!」
「ごめんごめん、ヒロキさんに似てるなと思って」
ルシアがそう言うと、エイラは目を大きく開いて驚いた表情を見せた。そして慌てたように首を横に振る。
「ヒ、ヒロキさんにですか!?わ、私が!?」
「うん。私が弱音を吐いてたらね、ヒロキさんも真剣に止めてくれたんだ」
「そ、そうだったんですね」
エイラはそれを聞くとルシアから視線を逸らし、少し微笑みながら頷いた。それを見たルシアは口角を上げると、エイラの顔を覗き込んだ。
「いい人とパーティが組めて良かったね」
「え!?ま、まあそうですね…。ヒロキさんは…本当に良い人だと思います」
「…『異能』のことも話したの?」
「もちろん話しました。…そしたら、『異能』なんかより私の努力のほうが凄いって言ってくれたんです」
「そうなんだ。ふふっ…、ヒロキさんって少し変わってるね」
「あはは…確かに、ちょっとだけ変わってるかもしれません。でも…ヒロキさんのおかげで『異能』が無くてもいい…って思えるようになりました」
「…そっか」
ルシアは微笑むとエイラから視線を外し、教会の最奥に建てられた女神像の方を見つめた。
「私も『異能』については色々調べたりしたけど、『異能』があることが必ずしも良いこととは限らない気がするんだ」
「それは…どうしてですか?」
「『異能』は神に与えられた運命って言われてるじゃない?確かにそれも素敵だけど、自分の運命を自分で運命を切り開くっていうのも素敵だと思わない?『異能』がないってことは、自分の運命を自分で決められるってことなんじゃないかな」
「自分の運命を…自分で…」
二人が話していると、教会の奥の扉が開いた。そこからエプロンをしたダインが現れ、ルシアを見つけると名前を呼ぶ。
「ルシア、ご飯できたぞ」
「あ、うん。すぐ行く」




