帰還
俺はカッコつけて外に出たが、外の景色を見て全く知らない場所にいることに気付いた。
(そういえば…瞬間移動して来たんだったか…)
俺は一度戻りダインに帰り道を教えてもらうことにした。
「締まらないヤツだな」
「お前が拉致したからだぞ…」
「ハハ、悪かったよ。お詫びに送っていくからさ」
ダインはそう言うと俺の前を歩いて案内を始めた。その途中話すことの無かった俺は、情報収集も兼ねてあの教会と子ども達のいた屋敷について話を聞くことにした。
「あの場所って教会と…幼稚園なのか?」
「…いや、あそこは孤児院だよ。身寄りのない子を育ててるんだ」
「そ、そうだったのか…。でも孤児院と教会を両立なんて…大変だな…」
俺がそう言うとダインは鼻で笑った。
「そうでもないさ、教会つっても形だけだからな。そもそも俺は神なんて信じてないし」
「え?じゃあなんで教会なんか…」
「悪魔祓うって一般人が言っても、誰も信じないからな…。一回ギルドに通報されたこともあったし…」
あんなやり方すればそうだろうと言いたくなったが、俺はぐっとこらえて話を聞いた。するとダインは眉間にシワを寄せ、視線を落とす。
「それに…神なんていたら今頃ルシアは助かってるさ」
「どういうこと…?」
「…『異能』は、神が人に与えた運命らしい」
ダインは拳を強く握りながらそう答えた。確かにゼウスも俺に『異能』を与えたときに、そのようなことを言っていた。
「俺が『威光』を手に入れたのは、ルシアが悪魔に憑かれてからずっと後のことだ。…幼馴染みが悪魔に殺されるのを、見てることしかできない運命なんて…俺は認めない。きっと何か方法が…」
「ダイン…」
悲しげな雰囲気のダインを元気付けようと、俺はダインの肩に手を当て、真っ直ぐにダインの目を見る。
「ダインの言うとおりだ。きっと助けられる方法があるはず。俺もできる限り考えてみるよ」
「あぁ…!ありがとな」
ダインは笑顔でそういった。その後、ダインの案内で少し歩くとギルドが見えてきた。帰り道がわかった俺はダインに分かれを告げ、ひとまずギルドに戻ることにした。
するとギルドに入ってすぐの広場にエイラとレムがキョロキョロと辺りを見回しているのが見えた。そして俺に気づくと、二人揃って走り寄ってくる。
「あ、ヒロキさん!どこ行ってたんですか!?心配したんですよ!」
「そうだぞ!」
「悪い悪い、色々あってな」
俺は二人と一緒にギルドの席に付き、食事をしながら今日あったことを話した。そしてダインやルシアを助けたいと伝えると、エイラは席から立ち上がった。
「私も手伝わせてください!」
「お、おう…ありがとう。まあ、手伝ってもらおうと思ってたんだけど…」
「レムちゃんも来てくれますよね!」
「わ、わかったよ…」
レムの賛同を得ると、エイラは運ばれた料理を勢いよく食べ始めた。いつになくやる気なエイラに何かあったのか聞くと、エイラは食べる手を止めて話し始めた。
「…ルシアは私の友達なんです。と言っても…冒険者になってからは会えていませんでしたが…」
「そう…だったのか…」
「ルシアは『異能』に詳しいんです。それで…『異能』が無い私に、手に入れる方法を考えてくれて…。だから、今度は私が助けてあげたいんです!」
「…わかった。じゃあ今日は早く宿屋に戻って、明日のためにゆっくり休むとするか!」
「はい!」
大きな返事をすると、エイラは食事を再開してすぐに完食した。俺も食事をなるべく早く済ませ、宿屋に向かった。




