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運命の転生者  作者: apple-pie
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醒める悪意

「これで終わりだな」 


ヴァイクはそう言うと、手に持っていたあの石を俺に投げようとした。また爆発させるつもりなのだろう。しかしその時、ヴァイクの背後から炎の球が迫った。


「『フレイム』…!」


「なっ…!?」


着火すれば爆発すると察したヴァイクは、咄嗟に石を遠くに投げた。しかしそれと同時に『フレイム』を全て躱すことはできず、腕や足に数か所傷を負った。


「チッ…わざわざ魔法耐性のネックレスやったってのに、使えねぇな…バスタのやつ」


「エイラ!」


レムがエイラの名前を呼んだ。俺はゆっくりと顔をあげると、確かにヴァイクの後ろにはエイラが立っていた。さっきの爆発の音を聞いて来たのだろう。しかしエイラも戦闘後で、かなり疲弊してしまっている。このまま一人で戦わせるわけにはいかない。俺はゆっくりと立ち上がり、レムの手を握った。するとレムは心配そうな顔で俺を見たあと、その身体を剣に変えた。


(あまり…時間はかけられないな…急がないと…!)


そう思いヴァイクに向かって走り出そうとした時、『警戒心』が地の底から強い悪意を感じ取った。何かがいると感じ立ち止まると、黒い蔓のような物が地面から現れ、エイラの足元を払った。


「何だ…!?」


「きゃっ…!?」


「エイラ!」


すぐにエイラの元へ向かおうとしたが、それよりも早くヴァイクが動いた。ヴァイクは転倒したエイラに近付くと、上から潰すように『ルフト』を使った。


「なんかわからんがラッキー…!」


「やめろ!」


「おっと、動くなよ」


俺がエイラに近付こうとすると、ヴァイクは『ルフト』をより強く押し付けた。圧に耐えきれず、エイラが苦しそうな声を上げる。


「大切な仲間を殺されたくないだろ?」


「テメェ…!」


「ヒヒ…、さっきの魔法は痛かったからなぁ?まずは腕の分のお返しから始めるか?」


ヴァイクがそう言うと、エイラの右腕の部分の壁が地面に迫り始めた。ゆっくりと圧迫された腕は変色し、エイラの表情や声も歪み始めた。


「ぐうぅぅう…!!」


「クハハハ!良い声を出すじゃないか!」


(このままじゃエイラが…、何とかして…助けないと…)


下手に動けばヴァイクの癪に触ることになるだろう。怒りと焦りが思考を鈍らせ、考えが上手くまとまらず、俺は立ち尽くしてしまっていた。そんな無能な自分、そしてエイラを傷付けるヴァイクに俺はうっすらと殺意を抱いていた。


(殺す……そうだ…殺してでも助けるんだ…、アイツを殺してでも…!)


その時『警戒心』が発動し、俺自身から悪意を感じ取った。すると俺の右頬に黒い紋章が現れ、悪意が俺の体の中心から湧き上がると、大きな手の形をした黒いモヤとなって背部から出現した。その変貌にヴァイクは動揺を見せる。


「な、何だ…その手は…!?おい!ち、近付くなよ!この女がどうなっても…」


「殺してやる…!」


黒い手を地面に叩き付け、その力で俺はヴァイクに近付いた。そしてその勢いのまま、黒い手でヴァイクを力強く殴りつけた。ヴァイクはエイラに使っていた『ルフト』を自分の防御に使い、俺の攻撃を防いだ。


「速…っ!?」


下から振り上げるように放たれた黒い手は『ルフト』にヒビを入れ、ヴァイクの体を空高く飛ばした。そして俺はそれと同時に空中に剣を投げ、『憑依』を使ってヴァイクと同じ高さに到達する。


「ハァッ!!」


黒い手でヴァイクを地面に向かって殴り、それと同じ方向に剣を投げて『憑依』を使う。そして『憑依』を解除して地面に叩き落されたヴァイクに、畳み掛けるように再び黒い手で殴りつけた。


「潰れろ…!」


「ル、『ルフト』!」


ヴァイクは咄嗟に『ルフト』を使って防ぐが、その壁には段々とヒビが入っていく。


「殺してやる…!」


黒い手による圧に耐えられず、『ルフト』は壊れていった。そして壁が完全に砕けそうになった時、俺の体は突然動かなくなった。


(動けない…!?)


「と、止まった…?」


困惑していると背後から足音が近づいてくる。視線だけ向けると、そこには『蛇眼』を発動したアレンが立っていた。


「アレン…?」


「ごめんよ、ヒロキ君」


そう言うとアレンは俺の首に手刀を強く当てた。その衝撃に視界がグラつき、意識を保てず、俺はその場に倒れ込んだ。

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