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運命の転生者  作者: apple-pie
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再会

「あ、ヒロキさん!もう帰ってたんですね!」


宿屋の部屋のドアが開き、エイラが元気よく入ってくる。その表情はいつもに比べて更に明るい。恐らく明日予定していた、新しい地での冒険を楽しみにしているのだろう。


「えっと…エイラ、明日なんだけどさ…」

 

俺はそう言いながら刃の折れた剣をエイラに見せた。するとエイラは驚いた表情でその剣を見る。


「えっ!?剣折れちゃったんですか!?」


「あ、ああ…。ごめん…」


楽しみにしているエイラに申し訳ないことをしてしまったと、俺はエイラから目を背けながら謝った。するとエイラは俺の手を握り、心配そうな表情で俺の顔を覗き込んだ。


「何があったんですか?け、怪我してないですか?」


「え…?」


俺はてっきり残念がると思い目を背けていたが、顔を覗き込まれ目が合ったエイラの表情は本当に心配してくれているようだった。


「だ、大丈夫だよ。怪我は…治してもらったから」


「そうなんですか?良かったです…」


無事であることを伝えると、安堵したのかエイラは穏やかな笑顔を見せた。そしてその後鼻を鳴らし、自慢げな顔で胸を叩く。


「フフン…じゃあ明日は『メンクスの森』で稼ぎましょう!また私が全部倒してみせます!」


「い、いいのか?」


「はい!前にもやりましたから、任せてください!」


頼もしいエイラに俺は感動するとともに、2度も助けられることになってしまい情けなさを感じた。

そして次の日、俺はエイラの後ろを歩き金稼ぎをしていた。『警戒心』で周辺の殺気に気を配っている間にも、エイラは杖を振るい順調にゴブリンを倒していく。


「『フレイム』!」


「ギャアァ…」


エイラの杖から5つの火球が現れ、ゴブリンを追尾し焼き尽くした。そしてエイラは地面に落ちた銅貨を拾うと袋に入れる、確かあれで20枚目だったはずだ。


「ふぅ…、これで今日の分は足りますね!」


「ああ。ありがとう、エイラ」


「いえいえ!じゃあ帰りましょう!」


そう言って出口と真逆に歩き出すエイラの手を引き、俺は帰り道を辿った。


(…!?)


しばらく歩いた頃、俺は前方からゴブリンとは比べ物にならないほど強烈な『殺意』を感じ取った。


「か、隠れて…!」


「わわっ!?」


俺はエイラの手を強く引き、木の陰に隠れて殺意の方を覗き込む。するとそこには昨日の男と、その後ろを付いて歩くレムが見えた。

遠くから覗き見ておりハッキリと表情まで見ることはできなかったが、レムは昨日に比べて髪の毛が乱れ、どこか悲しげな表情をしていた。


(アイツは昨日の…それとレムか)


少しの間様子をうかがっていると、たまたまレムと目が合った。俺がいることに気づいたのか、レムは目を少し大きく開く。そして何かに怯えた表情になり、右手を小さく動かす。


(な、何だ…?)


レムが何を伝えようとしているのか分からずにいると、男がレムの異変に気づいた。そしてレムを睨みつけるように見ると、レムは完全に怯えきってしまい震えながら俺のいる方を指差した。その瞬間、『警戒心』が俺に向けられた殺意を強く感じ取った。


「ヒ、ヒロキさん?どうしたんですか?」


「エイラ、急いでここから離れるぞ!」


そう言って俺が男から背を向けたとき、マナが男に向かっていくのが見えた。そしてそのマナを追ってシドの方を見ると、昨日振るっていた魔剣を構えており、黒い刃を纏っていた。しかしその刃は昨日とは比べ物にならないほど大きく、禍々しい形状をしていた。


(ヤバい…!)


俺はすぐ横を走るエイラを両腕で抱えて、倒れ込むようにその場に伏せた。その直後、男は魔剣を真横に振り黒い刃が衝撃波となって頭上をかすめた。


「い、今のなんですか!?」


エイラが無事なことを確認し、俺はすぐに起き上がってシドの方を見る。すると周りに鬱蒼と生えていた木々が全て同じ高さで真っ二つになっており、その奥からシドがゆっくりと歩み寄ってきていた。


(クソ…これじゃ、隠れられない…!)


逃げ場を失い、俺は必死に頭を回転させた。戦うにしても俺は剣を持っていない。かといってエイラに戦わせれば無事ではすまないだろう。


「…エイラ、戻って誰か人を呼んできてくれ」


「え…?な、何で


「頼む!」


そう頼みながらも俺は、エイラの顔を見ることができなかった。男から目を離せばその瞬間に死が待っている、そう直感するほどの凶悪な殺意を放っていたからだ。


「わ、わかりました!」


エイラの足音が遠ざかっていくのを聞き、俺はジリジリと近づいてくる男に意識を集中させた。


「クク…胸の傷は大丈夫か?」


ある程度近くまで来ると、男はニヤニヤしながら俺をバカにする。


「なんともねぇよ…。それより俺に何の用があるんだ、剣が欲しいなら今は持ってないぞ…!」


昨日は俺の剣を奪うために襲いかかってきていた。しかし今の俺が剣を持っていないのは一目瞭然である。


「フン…聞けば答えてくれると思ってんのか?」


そう言うと男は後ろにいたレムの手を乱暴に掴む。するとレムは小さく声を上げて、涙ぐんだ。


「…俺を苛つかせたいのか…?さっさと剣になれ」


「……!」


睨みつけられ、レムは黙ってゆっくり頷くとその身を剣に変えた。まるで昨日とは違う人物かのように、レムは恐怖に取り憑かれていた。


「…レムに何したんだ」


「お前には関係ねぇよ!」


そう言って男は殺意を向けて俺に走り寄ってくる。

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