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運命の転生者  作者: apple-pie
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魔剣を求め

「…しまった、オーメンとやらの話するの忘れてた…」


格好つけて部屋に戻った俺は、自分の体に入れられたオーメンの一部についての話をし損なってしまった。今から戻って聞くのは何だかダサいし、体に異変はないため明日にでも聞こうと思い俺はベッドに向かった。


(ん…待てよ?そういえば…アレンの使ってた黒い剣がオーメンの力だってゼウス言ってたよな…。で、今俺の体にはオーメンの一部が入ってる…。てことは、俺もあれ使えるのか!?)


俺は少しウキウキしながら、ベッドに入る前に右手を広げて天高く向ける。しかし黒い剣など出てくることはなく、俺は宿屋の部屋に一人で変な格好を晒してしまった。


「ゴホンッ…。ま、そう上手く行かないよな…ひとまず寝るとしよう」


そしてベッドに潜り、目を閉じる。


(それにしても…まだオーメンと戦うイメージができないな…)


これまで聞いた話をまとめると俺は、転生者の肉体を支配したオーメンと戦い、その中で死にかけるらしい。そして『強奪』を手に入れてゼウスの『全知全能』を奪いオーメンを倒す。そうゼウスは話していた。しかし俺は『全知全能』を奪わずにオーメンに勝ちたい。


(格好つけたはいいけど…今の『異能』だけでオーメンに勝てるのか…?)


正直に言えば俺の『異能』では勝てる気がしない、しかしゼウスに危険な目に合って欲しくはない。目を閉じベッドに入り落ち着くと頭が回り、冷静に考えることができた。もし俺が多くの犠牲を出してオーメンを倒すことになれば、オーメンと契約を結びみんなを生き返らせる代わりに俺が新しい肉体となる。


「…その時エイラは…」


一緒に戦っているのだろうか。そして犠牲となってしまうのだろうか。誰一人傷付けないためにもゼウスの力を借りず、エイラを守る必要がある。そのために俺は強くならなければならない。


「明日…アレンのところに行こう」


気持ちよさそうに寝息を立てるエイラの横で、俺はゆっくりと眠りに落ちた。

翌日エイラは俺より先に起きていた。体を起こすとエイラは俺を待っていたのか、冒険に出る準備を済ませて俺の方に寄ってくる。


「あ!ヒロキさん!おはようございます!」


「おはよう、随分元気だな」


「はい!今日から戦う場所が変わるかもしれないので、念入りに準備してました!」


「あ…」


エイラの話を聞いて俺は昨日そんな話をしたことを思い出した。ゴブリンは弱く簡単に倒せるようになったため昨日はそんな事を言ってしまったが、もし場所を変えて強い敵がいたら俺とエイラで勝つことができるだろうか。


(もう少し準備した方がいいかもな…)


俺はゼウスとの話で少し弱気になっていた。冷静に考えれば俺はまともな『異能』も武器も持っていない。これではエイラやゼウスを守るどころか、自分の身を守ることさえも困難だ。


「ご、ごめん…エイラ。今日は俺も戦うための準備がしたいんだ」


「準備ですか?」


「そう、強い敵と戦うためにも新しい装備とか欲しいなって思ってさ。だから今日はお互い準備する日ってことにしないか?」


「なるほど…わかりました!」


エイラはそう言うと大きく頷くと外へ向かった。新しい杖を見に行ったり、魔力を鍛えるため瞑想と例の胸を揉むマッサージをしたりするらしい。それを見送った俺は宿屋を出てギルドに向かった。


「さて…アレン見かけた人がいないか聞いてまわるかな」


俺がギルドの冒険者達に話しかけようとしたその時、背後から声をかけられる予感がした。やはりと言うべきか、振り返るとそこにはアレンが立っていた。


「あれ、ヒロキくんじゃないか」


「…相変わらず神出鬼没だな」


その後挨拶を交わし、俺とアレンは一先ず席に座り話を続けた。新しい武器が欲しいことをアレンに伝えると、アレンは少し考え込んでから答えた。


「…わかった、じゃあ魔剣を取りに行こう」


「魔剣…!?いや、欲しいけど…俺魔力無いんだよ…」


「大丈夫、魔剣は純粋に剣として使っても、その辺のよりは強いから」


アレンはそう言うと立ち上がり、俺を連れてギルドを出て歩き始めた。何やら魔剣に詳しい人物がいるらしく、その人の家へと向かっているようだ。数分ほど歩くと、路地の裏にある少しボロい家に辿り着いた。


「ここだよ。それで…悪いんだけど俺今日忙しいんだ。だから魔剣の場所はここの人に案内してもらって」


「そうなのか?わかった、ここまで案内してくれてありがとう」


「ハハ、どういたしまして」


アレンはニコニコしながら手を振ると、来た道を戻ってどこかに行ってしまった。中の人とはどんな人なのだろうか、俺は少し不安を感じながらもドアをノックした。


「すみませーん。……反応がないな」


不在なのだろうか。何度かノックしたが人の声は聞こえず、ドアが開くことはなかった。困っていると足元に野良猫が擦りついてきた。それに気づき下に目を向けると、ドアの隙間から赤い液体が流れ出ていることに気付いた。


「こ、これって…血か!?だ、大丈夫ですか!?」


ノックをしたが相変わらず反応はなかった。俺は意を決してドアノブに手をかける。すると鍵はかかっておらずドアは簡単に開いた。


(あ、開いてる!?ま、まさか…本当に中で何かが…!)


開いたドアの先にはワインの入ったボトルが転がっており、そこから赤い液体が溢れ出ていた。どうやらドアから流れていたのはワインだったようだ。


「な、なんだよ…ビックリしたな…」


「…んー…スーッ…」


安堵していると奥から寝息が聞こえてきた。俺は部屋の柱から少し体を出し、寝息の聞こえる部屋を覗き込んだ。

そこには空いたボトルが転がった部屋に、グチャグチャになったベッドの上でパンツ一丁で眠るエリーがいた。


「う、うわっ…!」


「…ん…?」


思わず驚いてしまい、俺は大きな声を出してしまった。その声に気づきエリーが目を覚ます。そして俺と目が合うと、少しキョトンとしてすぐにニヤニヤと笑みを浮かべた。


「おやおや?ヒロキくんは…寝込みを襲う趣味があったんだねー…?」


「ち、違うっ!ワインが溢れてて…血だと思って、それで…!」


「ふーん?」


俺の言い訳を聞きもせず、エリーはフラフラと歩み寄り俺に寄りかかるように組み付いてくる。柔らかい胸が当たりドキドキしていると、足元に転がったボトルに足を滑らせ俺はエリーに馬乗りにされてしまう。


「ちょ…、お、おい…!離れて…」


「ん…」


立ち上がろうと膝を立てると、その足がエリーの両足の隙間に挟まる。するとエリーは弱々しい声を上げて脱力し、俺は余計動くことができなくなってしまった。


「ヒ、ヒロキくん…」


「ご、ごめんなさい!わざとじゃ…」


「み、水…」


俺の耳元でエリーがそう口ずさむ。嫌な予感がしたと思ったときにはすでに遅かった。エリーは顔を下に向けると何かを吐き出した。


「うぅ…」


「ヒッ…!?」


俺の顔の横でモザイクのかかった何かが床に広がっていく。その何かが俺の首元に当たったとき、俺は発狂し白目を剥いた。


「ギャアァァァ!!?」

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