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運命の転生者  作者: apple-pie
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『異能』

突然異世界へと行ってもらうと女の子から告げられ、俺は驚いて聞き返してしまった。


「い、異世界っ!?」


「そう、その世界は悪魔によって悲しい運命を辿っている。そんな世界をアンタに救ってほしい…ってやつ」


女の子の説明はざっくりとしていたが、俺は激しく興奮していた。アニメや漫画の世界だと思っていたものが、今俺の目の前にあるのだから。

そして異世界転生ものといえば外せないのが、主人公にのみ許されるチート能力だろう。俺は思わず立ち上がり、大きな声で女の子に聞くことにした。


「じゃ、じゃああれか!なんか凄い能力とか貰えるのか!?」


「あら、話が早くて助かるわね」


女の子がそう言うと、俺の目線の高さ辺りに1つの箱が現れた。中には大量の何かが入っているらしく、その箱が地面に落ちるとドスンと大きな音をたてた。


「その箱の中には『異能』っていう、さっきの『サイコキネシス』みたいな能力が大量に入ってるの。そこから1つ取って、出たやつをアンタにあげるわ」


「…なんつーか…安っぽいな」


コンビニの一番くじのようなシステムに対し思ったことをポツリと呟くと、女の子は『サイコキネシス』で箱を遥か上空へ持ち上げてしまった。


「…やっぱりあげない」


「いやもう本当に素晴らしい箱ですマジでっ!なんかほら…ねっ?あれみたい…あれ…あのえと…ごめんなさい!『異能』くださいお願いします!」


俺は精一杯に頭を下げて女の子に箱を返してもらえるよう交渉し、なんとか箱を地面に下ろしてもらうことに成功した。


「まったく…」


「ふぅ……さてさて…」


ここでチート能力を手に入れて無双する流れを確信していた俺は、ニヤニヤしながら箱に近付き手を中に入れた。中には硬い札のようなものが幾つもあり、手を動かすとガラガラと音がなる。


「んー……これだ!」


暫く悩んだあと俺は札を強く握りしめ、腕を箱から勢いよく抜いた。


(…っ!?)


札を箱から取り出した時、突然頭に痛みが走った。そして今まで何度か見た夢と同じ、巨大な影が脳裏に一瞬よぎった。


(収まった…?いや、それより今のは…夢で見た…)


頭痛が収まり、俺はゆっくりと女の子の方を見る。薄い金色の髪。夢で死んでいた少女と同一人物なのかは分からないが、その特徴は夢と限りなく酷似していた。


「アンタ…何で泣いてるの?」


「…え?」


俺はまた訳もわからず涙を流していた。女の子に告げられるまで気づかず、俺は慌てて涙を拭う。


「な、なぁ…前に会った事…」


「そんなことより、『異能』は決まったの?」


女の子は俺の言葉を遮り、話を先に進めようとする。何か接点があるのかもしれないと思ったが、この対応を見るに聞いたところで遇らわれてしまうだけだろう。


「あ、あぁ…」


気を取り直して手に持った札をゆっくりと顔の前に持っていく。その札には『憑依』と書かれていた。


「『憑依』…?これが『異能』の名前か?」


「決まったようね。じゃあ、それこっちに渡して」


「あ、ああ」


少女は頬杖をついたまま手を俺に差し出した。少女に近づき手に取った札を渡そうとした時、俺は札に違和感を感じ再び目を移す。


「…あ、あれ…?」


よく見ると『憑依』と書かれた札の裏に、もう1枚札があることに気づいた。どうやら間違えて2枚取ってしまっていたらしい。


「『警戒心』…」


2枚目の札にはそう書かれていた。これも『異能』の名前だろう。しかし『異能』は1つと女の子が言っていた事を思い出し、俺は直接女の子に聞くことにした。


「これ…間違えて2枚取っちゃったんだけど…」


「2枚…?」


女の子は俺から札を受け取り、それを見た後に大きなため息を吐く。


「はぁ…2枚取れたって言うから期待したのに…。こんな『異能』じゃ…」


女の子は俯きながら小さな声でそう言った。耳に入ってしまった俺は「好きで選んだわけでは無いのに」と感じ、思った事をそのまま口にする。


「そんなの…こんなくじ引きみたいなやり方が悪いんじゃないのか?世界救ってほしいなら強い『異能』くれたっていいじゃないか」


「…無理よ。『異能』っていうのは言うなれば与えられた運命なの。誰一人としてそれを覆すことを許されない。アンタはその2つの『異能』を持つ運命だったのよ」


「運命…?」


『異能』を変えることはできないということなのだろうが、スピリチュアル的なものを信じていない俺は納得できずにいた。

そんな様子の俺を見ると、女の子は再びため息をついた。そして顔を上げて俺を見ると、少しニヤつきながら顔を見つめてくる。


「じゃあ、1つ良いことを教えてあげる。普通『異能』は1人1つしか持てないのよ。基本的に1人の人間に対して、神から与えられた運命は1つだから」


「そうなのか?…それがどうしたんだよ?」


何を伝えたいのか分からず、俺は女の子に話を促す。


「普通ではあり得ない、『異能』を2つも持つ人なんて…さぞかしチヤホヤされるでしょうね…男にも、女にも」


「やっぱりこの2つでお願いします!」


(チョロいわね…)

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