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8本部と観光

女神イースがユニス村で2日を過ごして居た頃、レイノはドルトの依頼でタルト国を訪れていた。




「わぁ!凄い賑やかですねー!」


「そうだろー?ここはな、冒険者ギルドの本部がある場所なんだぜ!」

馬車で移動している3人は冒険者ギルドに向かっていた。

今のレイノの見た目は子ども用の茶色のフードローブを着ている。ローブの中は腰に小さな短剣を差していて、一応の護身用である。


「本当に凄いです!レイノちゃんの髪さらっさら!!」


「アネットの嬢ちゃんぶれねぇな…」


「あはは…見つけてからずっとこんな感じですね…」

アネットはレイノの髪を触っている。

レイノは苦笑いしながらもアネットからの絡みに慣れてきていた。



「っと…!ここだぜ!」

しばらくすると、ドルトは馬車を冒険者ギルドの前に止める。


「よいしょっ。えっと、ドルトさん、ありがとうございます!」


「ドルト、ありがとう!」

レイノとアネットは馬車から降りドルトに礼を言う。

ドルトの依頼の内容は行きと帰りの2回分の護衛である。ドルトは3日タルト国でやらなければならない事があるためしばらくレイノ達とは、別行動を取ることとなった。

そのためレイノ達は滞在中の3日はやることが無いので、改めて冒険者ギルドで早く終わりそうな依頼を受ける事にしていた。


「おう!こちらこそありがとよ!帰りも頼むぜ!」

ドルトはそう言い馬車を走らせた。それに手を振り見送る2人。


「そう言えば、アネットは依頼を受けたら一緒にに行くの?」

手を下ろすと、レイノはアネットに質問をする。


「もちろんです!私はレイノ様の専属になったのですから!もう離れません!」

アネットの熱意ある、その様子を引き気味に見るレイノ。そしてレイノは問う。


「ねぇ、アネットは戦わないの?」


「え?もちろん戦いますよ!レイノ様の足手まといにならないようサポート致します!それがどうしました?」


「あのさ、それって専属と言うよりパーティーなんじゃないの?」

レイノは思った事をそのまま伝えると、レイノは電流が走ったかのように固まる。


「アネット…?」

しばらくすると、アネットは下を向きレイノの肩をつかむ。


「レイノ様、す…」


「す…?」


「素晴らしぃい!考えです!!何故気づかなかったのでしょう!わたし思ってたんですよ!依頼を受ける度にまた離れてしまうのかと悩んでいました!ですが!今日限りギルド職員を辞め、冒険者として再登録すればレイノ様といつでも一緒!!!ぐふふ…!」


「アネット!待って!ボクまだパーティーを組むって決めたわけじゃ…え?」


「そうと決まれば善は急げですね!!」

そうアネットは話すとレイノの話を聞かず手を引っ張り冒険者ギルドに勢いよく中に入る。


中に入ると沢山の冒険者で賑わっていた。

アネットは一直線に受付の窓口に行く。


「あれ?アネットさん、どうしてここに?」


「こんにちは、ハルネ!突然だけど、私を冒険者に再登録して!」

受付の子はハルネ、アネットと同じ獣人でありギルド職員の後輩であった。

今更だが獣人と言っても、尻尾と耳が獣であり、身体能力が人族より少し高いだけの特徴で他はただの人と同じである。

ハルネは銀色の髪と薄い紫色の目が特徴。


「え…えぇ!?どうしてなんですか?もう冒険者にはならないって言ってたのに!」


「ハルネ…?」

アネットはハルネの名前を言い鋭い目でハルネを威嚇する。


「はひっ!わ、わかりましたぁ~~!!」

そうハルネは怯えながらアネット用のカードを作成する。




―――同時刻、シュトレインにある冒険者ギルド支部では。―――


「お~い、アネット~…Eランクの資料どこにあるか知らないかー?アネット~…?」

アルトはアネットを探してアネット用の部屋いた。


「何処行ったんだあいつ…。ん?手紙?俺宛?」

アルトは部屋に手紙が置いてあることに気づき自分の手紙と、確認すると中身を見る。


「ーーーギルマス!私!タルト国に用事ができましたので行ってきますね~!お土産はレイノ様と美味しいものを探してきますね~!楽しみに待ってて下さい~!ーーー」


そう手紙には書いてあった。


「あの馬鹿野郎ぉおおお!!」

アルトは叫んだ。

ちなみにギルドマスターであるアルトは茶色の髪で目は黒色である。




―――戻って冒険者ギルド本部―――


「アネット様、これで再登録が完了致しました。」


「ご苦労さまハルネ、ありがとう。それとね、もう一つ頼みなんだけど、この方とパーティを組みたいの。」

アネットとハルネは、フードを被った小さな女の子であるレイノを見る。


「はじめまして、レイノと申します。」

フードを取り丁寧に自身の紹介をする。


「エルフ…の子供?」


「ハルネ!子供だからと侮ってはいけませんよ!この方は修行に何年もかかるハズの魔法を6種も持っていて!17歳と言う歳で会得しているんですよ!さらに……」

そう自慢げに長々と説明するアネット。それを聞き驚くハルネ。その2人の様子を見て恥ずかしさで下を向くレイノ。


レイノは思う。

(それどころか創造者で魔法スキル創り放題なんて知ったらどうなるんだろ…。考えただけでも怖いな…周りが騒がしくて会話が目立たなくてほんとよかった…。)




「はい、これでパーティの登録が完了しました。」


「ハルネ、ついでに今ある依頼も見せて。」


「あ…。アネット様、今はクリスタルの魔物が出現する時期ですので、全依頼受付を拒否しています。でも、恐らく二日後出現し、緊急クエストがギルドに張り出されますのでそちらを受けてみてはどうでしょうか?小さな魔物から、大きな魔物まで出現するのでその魔物の部位を倒して持っていただければ依頼達成とみなしますので、二日後にそちらを受けていただければと思います。ですが、アネット様も知っての通り充分にお気をつけ下さいね。」


クリスタルから強力な魔物が出る時期には周りの魔力をクリスタルが集める為、しばらく自然には魔物が出てこない状態になる。



「そっか、そう言えばそうだったわね…うん。わかったわ。色々ありがとう!」

アネットはそう言うとレイノの手を握ったまま冒険者ギルドを出ていく。


「アネット~…そろそろ手を離してー。」


「あー。ごめんなさい…。」

弱々しいレイノの声を聞きアネットは名残惜しそうに手を離す。


「何もしてないのに疲れた…。それでこれから何処に行く?」

レイノは心を切り替えてアネットに聞く。


「そうですねー…、クリスタルの件で依頼がありませんので、しばらくはこの国を見て回るというのはどうでしょ?」


「うん、良いね!行こう!」

アネットとレイノは相談し、緊急クエストが出るまでの間タルト国を観光することにした。

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