3魔法と女神
誤字をいくつか見つけましたので少し修正致しました。
また、見つけ次第できるだけ修正していきたいと思います。
冒険者ギルドを出たレイノは1人依頼の場所である、北の森に昼前から向かいつつステータスを見ながら1人で喋っていた。
ステータスには冒険者ギルドに入る前に創造魔法で創った6種類の初級魔法と生活魔法さらに回復魔法が追加されていた。
生活魔法
初級魔法
フレイムショック10、ウォーターショック10、アイスショック10
ウィンドショック10、サンダー10、ダークショック10
回復魔法
ヒール10
「うんうん、隠蔽レベル10とても便利だね!ステータスの偽装だから偽装用のスキルが必要と思ったけど、隠蔽のレベルが高いとステータスも好き勝手に決めれるみたいだし。それに魔法のレベルもバレてなかったみたいだし!とても便利。そして……これから初めて戦うスライムとホーンラビット?たぶん兎かな!。」
「それと、さっき習得しておいた6種の魔法!試すのが楽しみだ!本で見たようなことが起きるならワクワクするしかないよねぇ?。」
そうして、レイノは北の門を超え、ご機嫌で森の近くまで来ていた。
森に入ろうとすると、森の茂みから黒い影が飛び出してきた。
「わっ!な、なに!?」
レイノは大声で驚きながらも身構えた。
目の前に出てきたのはゴブリン1匹だった。
「え?人形?この見た目ゴブリン?!。」
レイノはゴブリンを見ていると、ゴブリンは戦闘態勢をとり、飛びかかってきた。
「ちょ、まって、ぎゃああ!う、ウォーターショック!。」
ゴブリンの持っている棍棒で頭を殴られそうになる瞬間、レイノは慌てて手を出して、初級水魔法のウォーターショックを唱える。
すると、レイノの手の平から、大きいスイカのように大きく膨張された水が、直線上に真っ直ぐ勢いよく出て、ゴブリンの手首から上が棍棒ごと吹き飛ばす。
「グギェエエエエッ!!」
ゴブリンは失った手の付け根を抑え、叫び、苦しみながら後ずさりして逃げていった。
「え…今の魔法の威力…これが普通なの…?」
対してレイノは腰が抜け、しばらく立てないでいたが、襲われた事よりも魔法の威力に驚いていた。
少ししてレイノは立ち上がり自身の両手を見て震えていた。
そして焦ったような顔で頭を抱えて思った。
(……この威力は隠せない!いくら初級魔法でも棍棒を砕いたり弾くならまだしも、そのものが消し飛ぶなんて!マズ過ぎるよ!あ!レベル10にしたのが行けなったのかな!?)
このレイノの考えは今まで前の世界で見てきた本やゲームなどの経験がそう直感として答えていた。
(どうしたらいい?初級魔法はもう創ってしまったし、どうしたら……どうしたらいいんだぁああ!)
レイノは焦る。
(あ~!どうしたらいいんだろ~!本の定番だと違和感を覚えられて後々普通にバレてる話が多かったり相手次第な所があったから分かんないよー!)
その後レイノは森の入口近くで数時間も考えていて、日も落ち始めていた。
「す、スライム!そうだ……試験の依頼で来てたんだった……でも魔法で倒してこのまま帰っては何かを疑われたら終わる気がする!気がするだけなんだけど……!この不安は晴らしたい!」
今の魔法で倒せば、魔物の体がえぐられた傷で威力がレベル1では無いことが分かられてしまう、そんな気がレイノにはしていた。
悩んで居ると、ノーマルスライム2匹が現れ、それに気づいたレイノは渋々戦う。
「あれ?良かった思ったより弱い、というか弱すぎる。拳で殴るだけで溶けちゃった。物理攻撃には強いんじゃなかったのかな……?本で読んだのは大体、物理攻撃無効がついてたはずなんだけど……。それにしても、魔法で倒したいけど。魔法はまずいよね……核が吹き飛んじゃうし。」
悩みつつも素手でスライムを倒すレイノは、簡単にスライム2匹を倒し2つの核を拾う。
「創造スキルで何か……うーん、何でも作れるけど既存スキルじゃないと恐らく代償がある……はず……でもここで作らないと今後が大変だから、お願いです!全てを解決する一手!」
レイノは隠蔽で隠しきれない力を制御する方法を考える。代償がある創造スキルではなく既にこの世界にある既存のスキルがある事を祈る。
「創造スキル!ステータス制御!」
決心し、目を瞑り創造スキルを使う。
脳内にアナウンスが流れる
[ステータス制御を受託。既存スキル、能力制御と判断します。創造スキル生成に失敗、既存スキルを取得成功]
そのアナウンスにレイノは両手を上げ大喜びする。
「やったぁああ!しかも代償がない既存スキル!やった……!」
「うぅ……良かった……あ!しまった!日も暗くなってる。よし!急いで残りを探そう!」
「でも、今から間に合うかな……あ、そうだ!スキルの索敵も創る!これは定番だからあるはず!」
レイノの見てきた本でもほぼ全てにある、索敵スキルは周りの魔物の状況などを知る術だ。
改めて創造スキルを発動すると、レイノの思惑通り、索敵スキル10を取得し、早速使ってみるレイノ。
「索敵!えっ!?」
使ったレイノは驚いた。その索敵の効果は絶大で、広大な森だけではなくその周辺の村やシュトレン国まで物を見通した。
まるで、空中から見渡すかのように隅々まで把握できた。流石に壁などをすり抜けて中の様子を見ることはできないが効果はそれだけではなく、薬草や動物は鈍く光っていて色がついていた。
「凄い……というか情報量が多くて大変……でも見つけた!」
レイノは目的の魔物を見つけるだけ見つけて、索敵の発動をすぐに止める。
索敵を広げている間の感覚はネットでマップを開け、全ての物に色々な光で示したような感覚で、初めて見たレイノにとって眩しく、目が痛くなる光景だ。
レイノは急いで見つけた魔物まで走る。新しく手に入れた能力制御で、魔法の威力をコントロールする為に見つけた魔物で試そうとしていた。
制御方法はステータスの詳細にあった。レベルを発言、又は思考し、後に技の名前を発言すると発動するらしい。
「レベル1!ウォーターショック!」
レイノは近くのスライムに目掛けて技を唱える。
ゴブリンと敵対した時よりは小さく、大きさはリンゴ程度の水が手の平から放たれるが、放たれた水はスライムに当たるがスライムはその水を吸収してしまう。
「あっ!スライムは元々水の魔物だからかな……。でもこの威力なら火を使っても大丈夫そう。」
その後レイノは制御した火の魔法で残りの魔物を難なく倒し、スライムの核1つとホーンラビットの角を無事に手に入れた。
レイノはシュトレン国の冒険者ギルドへ急ぎ足で戻っていった。
レイノが森についた頃、冒険者ギルド内では……。
とある女性が冒険者ギルドに来ていた。見た目は薄めの金髪に白い肌、モデルの様な体型、整った顔で目の色は金色に近いオレンジ色をしてる。服装は白いローブ。
「あー……本日はどの様なご用件でございましょうか……女神イ―ス様」
その女性の前にはギルドマスターが受付の代わりに対応していた。
この女性は女神イースと言われている。
「ここに…主様…いや、創造者はおるか?」
女神イースは冒険者ギルドの冒険者達を睨み見ながら口を開く。
周りの冒険者達は目を合わせないように黙って酒を飲んでいる。
「いや、あ、いえ、ここには御座いません。ここ最近は子供のエルフと新人の獣人1人しか新しく入った奴はいないよ……です。」
「お前は何歳になっても敬語が苦手だな、いつもの貴様で話してよい。それで、2人は今何処に?」
女神イースはさらに質問する。
「エルフのガキは今、試験の真っ最中だな、もう1人の獣人の子は今宿に居ると思う。」
ギルドマスターが答えると女神イースは少し悩み質問を続けようとするが、ギルドマスターは、それ以上は別室でと、親指で部屋を指す。
「……。」
女神は頷きついて行く。
「さて、イース。あいつらのステータスだがお前だから言うんだからな?わかってるよな?」
別室に入り、ギルドマスターが忠告をする。
「当たり前でしょ?この大陸の女神をなんだと思ってるの?」
その問いにイースは当然と言わんばかりに砕けた言葉で言い放つ
「あぁ、すまない、だが一応信用に関わるのでな。まずエルフの子供だけどな。複数の初級魔法のスキルを持っている以外は弱いくらいのステータスだった、職業も、ただの魔法使いだったしな。」
ギルドマスターは謝るとレイノについて話し出しながら複製したステータスカードをイースに渡した。
「それで、獣人の子は?」
イースは受け取ったステータスカードを見ながらギルドマスターの話を聞き納得しもう1人の情報もギルドマスターに聞く。
「この子は例の国から逃げてきた子だろう。ステータスはそこそこ高い。ゴブリン20体くらいなら簡単に倒せるだろう。だが、あんたが求めてる人物じゃないな…。」
ギルドマスターがもう一枚のステータスカードを渡す。
イースはそう聞くと落ち込んだようにギルドマスターに金貨を渡す。
「この金貨は?」
金貨を手渡されギルドマスターは不思議に思う。
「3人で飲むわよ!やけ酒よ!」
イースは扉に手を掛け勢いよく手前に開けると同時に言う。
そして、同時に開けた扉からアネットが飛び出し倒れ、ギルドマスターがため息をし、頭を掻く。
「はぁ……馬鹿野郎が……」
「お酒、もらってくるわね。」
イースはアネットを見たあと、ひとこと言い部屋を出ていく
「あはは……ごめんなさい。」
その言葉の後にアネットは体を起こし。苦笑いをし、ギルドマスターに謝罪する。
「おまえなぁ、この部屋は防音の魔道具が置いてあるの知ってるだろ?」
ギルドマスターはアネットに説明をする。
ちなみに魔道具とは魔石を利用した様々な道具であり、魔法を使えない人にとっても便利な道具であり、防音の魔道具は置いてある部屋から音が漏れなくなる物である。
「知ってますとも、知ってますけどレイノちゃんの話となると居ても立っても居られなくて…」
アネットは心配そうにする。
「おまえ…、そこまであいつが気に入ったのか?」
ギルドマスターは疑問に思いアネットに聞く。
「だって、もうめちゃくちゃ可愛いかったじゃないですか!私がしってるエルフは近づきにくい存在で
したし!旅では、プライド高そうでお近づきになれなかったんですよぉ!」
アネットは目を輝かせながら言う。
「お、おぉ……う。」
ギルドマスターは引き気味になるが話を聞く。
「しかし、レイノって言ってたな…思ったよりも遅いな?」
しばらくしてイースが戻り、酒を飲み始めたギルドマスターが呟く。
ギルドマスターはレイノが出てからかなり時間が経っていることに気づいた。
「そうなんですよ……あれから随分経つはずなんですが…普通ならば鐘が4回鳴る頃には戻ってきてもいいはずなんですが……心配です。」
飲み物を持ってはいても、一口も飲んでないアネットはそれを聞いて沈んだ気持ちで答える。
鐘の音とは、この世界での時間。時間の概念は大体、水を利用した塔にある鐘の音で把握しており1回鳴る毎に1時間としている。そして日が落ちきると鐘の音は止み、次の日の出までは緊急時以外は鳴らないようになっている。
まとめると、1回は1時間、日が沈むと止み。日の出と共に再び鳴る。5回以上連続して鳴ると緊急事態である。
「アネット?あなたの目に適った冒険者でしょ?なら、あなたはその子を信じてやりなさい。それが一番よ。それに、例のポーションも渡してあるなら大丈夫よ。」
イースはその2人の会話を聞きアネットに口を出す。
「さすが女神イース様だな!」
ギルドマスターがお世辞を言う。
「……。」
横目に呆れた表情でギルドマスターを見るイース。
(レイノちゃん……。)
アネットはそのイースの言葉を聞き酒をテーブルに置いて、北の森の方向の窓を開け願う。
しばらく2人が飲んでいるとギルドマスターが思いつきを話す
「何ならアネット、お前あいつが戻ってきたら専属になるか?」
「えぇ!?いいんですか!?まだFランクですよ!?」
その言葉にアネットは驚く。
ここでの専属とは冒険者ギルドで、一部の上位冒険者に得られる特権であり、本来は英雄になったり勇者だったり、Aランク以上だったり、特に優秀な者がギルドの職員を指定し専属に担当を許さる事である。
専属に当てられたギルド職員はその人を優先して依頼を立てたり、様々なサポートを行う役割である。
「あぁ、今は昔と違って人は余るほど居るし、問題ないだろう。それに冒険者としてレイノには俺も期待しているからな。俺の権限で許可しよう。」
ギルドマスターは軽く頷く。
「ギルマス!ありがとう!」
アネットは喜びギルドマスターにお礼を言う。
「まだ安心はできんがな……。」
そんなアネットにギルドマスターは呟く。
イースは二人の様子を見ながら酒を飲む。
「ところで女神イース、ここ最近魔物がタルト国周辺に大群で近づいているのは知っているか?」
酒を飲んでいるイースにギルドマスターが話を振る。
「ん?……うん。大体想像はつくよ。依頼……でしょ?魔物の殲滅ってところでしょ。」
イースはその話を聞き話を先読みし答える。
「あ、あぁ。さすが話が早いな……。頼む。」
ギルドマスターは立ち上がり頭を下げる
「私、元々タルト国から来たのよ?当然知っているわよ。攻めてくるのはしばらく無いそうだけど。油断はできないわね。主様がいれば……。」
イースの言葉に、部屋にいる3人は少し沈黙したが。
「仕方ないわね……。昔からの仲だし良いわ。正し、そちらもそれなりに冒険者を出してもらうわよ?今回の魔物は数が多すぎるわ。強そうなのは私がやるけど、後は任せたわよ。」
イースは頭を下げるギルドマスターを見て告げる。
「あぁ!もちろんだ!恩に着る!」
その言葉を聞きギルドマスターは少し笑顔になりお礼を言うと、貴重である紙を出しタルト国の冒険者ギルドへの手紙を書き出す。
そしてもうすぐ日が暮れようとしていた…。