2宿屋と冒険者ギルド
3点だけ。
更新間隔は早くて1日遅くて1週間を目処にやって行こうと思います。
運営に何か言われない限り、完結までは書きたいと思います。
あと、話の内容はほぼ変わりませんが度々修正が入ります。
転移してすぐ僕は殺されそうになり強力なスキルで分身を創り、逃げ延び元の自分の存在を隠す為に死んだことを演じた。
その際、自身の見た目を創造のチートの力で変えようとしたところ失敗したのだ……。
朝になりアイテム製作で簡単な衣服を創り、王城からしばらく歩いた宿にエルフの少女は訪れていた。
ここはシュトレン国の宿の一つであり1階にテーブルが並ぶ食堂、そこに少女が隅のテーブルに座っていた。
(エルフの体になった!!しかも幼い!なんでこんな事に…そもそも転生者なのに創造者って色々おかしいと思うんだけど)
水が入っている木のコップを机に静かに叩きつけながら少女は思う。
元々、創造者とは最初に世界を創った人の事を指したりするものである。なので、おかしいと思うのは当然だった。
(創造者……8代目……色々思うことはあるが本で一応定番の一つであることは認めるよ……見た目も僕から見れば可愛いし、チートな能力もある。文句はないよ……たぶん。それにこれも異世界の定番であるし。美少女転生だ!いや転移……?この場合どうなるんだろう……?うーん……でも、細かいことを気にしても仕方ないか。)
(それよりも今後の事!まず衣食住がやばい。衣に関しては創造したけ…あっ。)
体を左右に揺らし、唸りながらも少女はコップに口をつけ考える。
(そうだよ僕、創造者だった。創っちゃえば済むじゃないか…。)
思い出したかのように少し笑いステータスを開く。
ステータス
名前・レイノ 種族・エルフ 年齢・17歳
レベル・1
職業・8代目創造者
称号・転移者、幼女化
戦闘パラメータ
HP 100 MP 5000
STR50 VIT30 INT40
DEX50 AGI70 MND100
スキル
創造スキル、創造魔法、分身体、瞬間移動、隠蔽10、アイテム製作、人語理解
(我ながら頭が痛いステータス。なんだ幼女化って。戦闘パラメーターは低そうだけど…MPだけ異様に高いな…あ、それと名前だね、名前は一応見た目は女の子だから、元の世界で遊んでいたゲームのサブであるキャラクターにつけていたレイノと言う名前を今後名乗ることにした。ステータスの名前も自然と変化していたし。これで大丈夫だろう。エルフも珍しくないみたいで顔を出していてもそこまで視線を感じなかったし。)
(さて…っと、まずは衣服の新調だ。あ、こんな人の居る場所でやったらまずいか…移動しよう。)
「お客さん!何も食べていないみたいだけど…何か食べる?」
考えた後に、水だけを飲んで静かに宿を後にしようとしたが、店の定員らしき少女がカウンターの奥の大柄の男性と話し合った後、レイノより少し身長が高い14、5歳くらいの少女が声をかけてきた。
「実は、お金持ってなくて…ごめんなさい、また来ます。」
お金は持っていないので断るしかないが……これは冷やかしじゃないだろうか?とレイノは思ったので、正直に謝れば許してくれるだろうと返事を返す。
(やっちゃったかなー…お金は創造スキルでは創りたくないし、早く冒険者になって稼がないと。)
そうレイノは思っていた。
「これ!どうぞ!私、ネアルって言うの!その代わり、また来てくださいね!。」
店員の少女はニコッと笑い後ろに組んでいた手前に出すとパンを持っていた。
ネアルはパンを強引に押し付けて、レイノの頭を撫でると店のカウンターへ戻っていった。レイノは微笑むとお辞儀をしその場を去った。
しばらくして周りを警戒しつつ、近くの路地裏に入り誰も居ない事を確認するとステータスを開く。そしてレイノはアイテムを作り出す。
「まず、アイテム製作、フード付きローブ!。」
[アイテム製作を受託。魔力により生成。ローブの生成に成功しました。]
アナウンスが流れる。
すると何処からともなくローブが手元に出る。満足な表情で完成品を見て着るそして、少しアイテム製作で小物を作ったところで気づく。
「うん!とても便利!この調子で……あ。」
「まずい作ったものが持ちきれないや、こういう時は……えっと、あれだ!……代償は既存のスキルならないよね?…たぶん。」
「創造!スキル!アイテムボックス!。」
レイノは持ちきれないアイテムを入れる為、創造スキルを行う。
[アイテムボックスを受託。既存スキル、アイテムボックスレベル10と判断します。創造スキル生成に失敗、既存スキルを取得成功。]
「最初に失敗って聞くと少し怖いね……えっと、これこれ!ド定番の一つ!アイテムボックス!。」
成功と聞き満足な顔でステータスを見る。
ステータスにアイテムボックスが追加されているのを見てアイテムボックスの詳細を開く。
アイテムボックス10
国一つが入る容量の空間。物を入れる時は直接物を触りながらアイテムボックスと唱える。
物を出す時はステータスの項目に追加されるアイテム所持を指定すれば入ってる物の一覧が表示されカーソルによる意識クリックで目の前にドロップします。
液体の場合直接空間から上から下へと排出される。
アイテムボックスのレベルが7以上ならば、時間劣化しなくなる。
生命が宿るものには対応していない。
アイテムボックスはレベル1ならば職業商人が全員所持している。
「国!?な、なるほどね、アイテムボックス!」
感動し頷きながらレイノは事を把握し、物を入れる。
入れ終わると路地裏から出てて歩き出す。
「よし、大体準備はできた!異世界に来たら、やりたい事は沢山あるけどまずは……いざ!冒険者ギルド!」
レイノは拳を握り、握った片腕を掲げる。
数十分後――
(うーん、うん。迷子。)
迷子になっていた。
幸い人通りが多いこの場所、人に聞くことにしたが。
「あのーすいません」
適当に近くにいた人に声をかけた所、坊主頭の筋肉と顔がすごい迫力のある人に聞いてしまった。
「おう!嬢ちゃんどうした?」
体が大きく、図太いその声に、レイノは驚きながらも、悪そうな人ではない事をすでに分かてっいた。何故ならレイノの小さな姿を嬢ちゃんと呼び、レイノが元の世界で見てきた本の定番である坊主頭の鍛冶師の風貌をしていたからか、それだけでレイノは安心していた。
「あの、冒険者ギルドって何処ですか?」
「え?あ、あぁ……それなら、嬢ちゃん!後ろの道を進んで噴水がある広場を右に行けば看板が見えるだろうぜ。」
坊主頭のおっちゃんはレイノの質問に驚くが、冒険者ギルドの場所を教えてくれた。
「ありがとうございます!」
レイノはお礼を言い、歩き出そうとする。
「冒険者をするようには見えねぇが…嬢ちゃん依頼にでも行くのか?」
おっちゃんから質問をされる。
「いえ、冒険者登録をしに行くんです。」
レイノは目を輝かせ、答えを言い、冒険者ギルドへと走り去る。
「冒険者ギルドは15歳からだから気をつけろよ―!」
坊主頭のおっちゃんは再び驚き走り去るレイノに向かって大きな声で伝える。その後、坊主頭のおっちゃんはその後何も言わず。仕事に戻っていった。
冒険者ギルド前――
「ここが夢にまで見た、冒険者ギルド!テンション上がるなー!」
ワクワクしながら今後の展開に胸を膨らます。
(まず定番なら入ると怖い顔の人たちが喧嘩を売りに来るんだよね!そしてあしらって……あしらう?あ、まだスキルでまだ戦う準備できてない!というかどうしよう。この世界の常識をしらないと必ず面倒事になって大変な事になる……!つまり、ここからが鬼門だよね……!)
事に気づき真剣な眼差しで周りを警戒しつつ冒険者ギルドの裏に隠れる。
「今はレベル1こんなレベルで高めの冒険者に絡まれば……ボコボコにされる、いや、今は一応女の子だ……し、最悪襲われる!?」
続けて、呟きながら準備をする。
「でも事が起きるのはギルドの中だしそこまで酷いことはされないはず…だよね?」
その後も疑心暗鬼になったり、様々な思考が巡り、頭を抱える。
「だけど、創造スキルだし土壇場でもなんとかなるはず!アドリブでなんとかしよう。事前に創るのは基本な初級魔法いくつかと防壁魔法と回復魔法かな…前に確認したけど創造魔法の方は代償がなかったから、好都合だった。あと痛覚遮断と言うのも創りたかったけど…代償が怖いのでやめた。これ以上小さくなっては困る……!」
そしてしばらくして、レイノの中で結論が出る。数分後、改めてステータスの隠蔽などの準備を済ませ。再び冒険者ギルドの前に立ち、そして扉をあける。
開けた瞬間、目に飛び込んできたのは想像していた光景とはすこし違っていた。
想像していたのは少し薄暗い空間で身なりが整っていない様な冒険者達が今にも喧嘩を売ってきそうなそんな状況を想像していた。だが、実際は綺麗で明るく広い空間で冒険者達が酒を飲み賑わう良い空間だった。
冒険者達の風貌は様々だが見た目の印象が悪いような人は居るには居るが少なかった。
(…正面に見える窓口が冒険者の受付でいいのかな?異世界良い!素晴らしいよぉ…!!)
レイノはその光景を少し見つめ、正面奥に居た制服らしいものを着ている、綺麗な赤髪と赤い目の獣人の女性が受付だろうと目を輝かせ感動しながら歩く。
「はじめまして!冒険者ギルドへようこそ、担当のアネットです!御希望は依頼でしょうか?依頼でしたら向こうの窓口ですよ~!」
目の前へ行くと女性が笑顔で丁寧な挨拶をし、質問をされ別の窓口をおすすめされる。
「はじめまして、レイノと申します!えっと、冒険者になりたくて来ました!」
レイノは挨拶をし、後の言葉を否定しつつ、目的を話す。
「し、失礼しました!では、説明しながら行ってもらいますね!」
その言葉に驚きつつも受付の女性は鑑定の準備と話を進める。
「まずはレイノ様のステータスカードとギルドカードを作成致しますので、こちらの水晶に手をかざしてください。ステータスを閲覧するのはギルドの信頼のあるスタッフのみですので、ご安心を。そして水晶に付与してある魔道具によってレイノ様の冒険者のカードが作成されます。今のままでは門を通る為の通行書程度の物ですが、後に、こちらからの依頼で試験を行い冒険者と認めればカードランクをFランクにし、お渡し致しますね!」
レイノはニコニコし、説明を聞きながら水晶に手を伸ばしカードを作成して頷く。
(可愛い……!)
その姿を見て、受付のアネットも笑顔になる。
レイノのカードを渡し、話をスラスラと続ける。
「次にカードのランクについて、です。ランクについてはSSSランクからSS、S、A、B、C、D、E、Fまであり、そのランクによりその個人とパーティの強さを表します。具体的な強さを知りたい場合、金貨1枚でマニュアルをお渡し致します。ここまでは宜しいですか?」
「はい!」
レイノは返事を返す。
「ではここからが注意点と試験用の依頼となります。よく聞いて下さいね?」
返事を聞き受付のアネットは依頼の紙を出し話す。
「は、はい!」
アネットの問いに、レイノは唾を飲み真剣な顔で返事する。
「まずは依頼についてです。依頼は紙が貼ってある、あちらの掲示板から自身と同じランクまたは上下1つまでのランクからお選び頂き、冒険者用の窓口から依頼の紙を渡し、受けて下さいね。逆に依頼をする時は依頼人用の窓口が用意されておりますのでそちらをお使いください。」
返事を聞き再びアネットは右奥の張り紙を見て説明をする。
「依頼をするにあたり、冒険者は常に危険と隣り合わせになります。そして傷を負ったり重症になった場合はこちらで回復をしますが、後にそれ相応のお金を払っていただく必要がありますので十分にお気をつけください。」
レイノは頷く。それを見て受付のアネットは話を続ける。
「そして、最後に試験の依頼になりますが、北の門を出た所に森が見えてきますのでそのあたりでノーマルスライムを3匹とホーンラビット1匹討伐して頂きます。そして、討伐した証としてスライムは核を、ホーンラビットは角を採取してきて下さいね。」
アネットはそう言うと、薬のような黄色い色の瓶を手渡した。
「これは?」
瓶を受け取りレイノは質問する。
「緊急用の離脱ポーションです。こちらはピンチになったら飲むよう初めての方の為にレンタルをしております。そのポーションは高価なため無くさないように気をつけてください。正し危なくなったら躊躇なくお使いくださいその為のポーションです。レンタルなので使う必要がなかったら戻ってきた時に渡して下さいね。」
アネットは答える。
「わかりました!」
レイノは真剣の顔になり返事をする。
「はい!これで説明は終わりになります。お疲れ様でした!気をつけて試験頑張って下さいね!」
返事を聞きアネットが話を切り上げる。
「レイノちゃん!本当に気をつけてくださいね!」
アネットは説明が終わると窓口の台から乗り出し、レイノの手を握る。
「わっ!は、はい!頑張ってきます!アネットさん、ありがとう!」
レイノは少し驚き照れながらも笑顔で返事をする。
(良かった…。)
レイノは手を小さく振り、何もトラブルがなかったことを安心し、冒険者ギルドを後にした…。
「17歳のエルフ……どう思いますか……?ギルマス。」
アネットがレイノを見届けた後、冒険者ギルドの奥の部屋でアネットは大きな厳つい男と話をしていた。大きな厳つい男は冒険者ギルドのギルドマスターだ。
「さーなー……。」
そのギルドマスターの興味の無さそうな返事にアネットは怒鳴る
「さーなー……っじゃありませんよ!!あーんな可愛い子が冒険者なんて危険すぎます!」
「しかしなぁ、本人の意志だ。あいつにも事情があるんだろうよ。ステータスは貧弱だが、あの年で初級魔法が6種類もつかえるのは……さすがエルフだ。見込みはあるな」
ギルドマスターは品定めするように、レイノのステータスカードの履歴を見ていた。
「そーなんですよ!あの子が魔法を撃てるんです!魔法の天才です!」
アネットはその言葉で機嫌を治しテンションが上がる。
この世界では魔法は高等技術であり、2~3種類覚えるのに自力では30年以上かかると言われている。
「確かにそのガキンチョも心配だが、それよりも報告することがあるんじゃないのか?」
ギルドマスターが話を変える。その言葉に怒るも言われた通りにアネットは報告を始める。
「ガキンチョじゃありませんよ!レイノちゃんです!!…あぁ、そうでした…。まずは王の行動について報告がありました。王は勇者や剣士など複数人を召喚した模様です。」
「勇者か…新たな創造者様が居ない間にいらんことをしてくれるもんだな。だがこの状況だ仕方ないと言えば仕方ない…か」
アネットの話を聞き悩むギルドマスター。
「えっとですね…その新しい創造者様が王の手によって殺されたと報告が…」
その小言を聞きながらも話を続けるアネット。
「本当か…?」
ギルドマスターは嘘だと思うような顔でアネットを見つめ、聞く。
「はい。昔から潜入している騎士の報告なので、ほぼ間違いないかと……。」
「あのバカなんて事をしでかすんだ!この戦いは数年訓練した勇者など使い物にならんぞ!何考えてんだあのバカ!。」
アネットが答えると、ギルドマスターは頭を抱えだす。
「それと女神がこの国に向かっているとの話もあります…。恐らく創造者様を向かいに来たのではないでしょうか?」
アネットは話し出す。
「女神……?んな!?まずいぞ!今創造者が死んだと知れば女神が怒る……だが恐らく王はスキルを使い、来てないと言い張るだろうから、機嫌が悪くなってその後来るのは恐らく!!ここ冒険者ギルドだな!そして、いつもの流れなら絡まれるな……!あいつは苦手なんだよ!!」
ギルドマスターはハッとしたような表情で立ち上がり叫ぶ。
「最後にですが、例の物が活発化しているらしくあと1週間のうちに…」
悩みだしたギルドマスターを放置し、アネットは報告を続ける。
「タルト国だな……ついにそこまで来たのか……こうなったら仕方ない。依頼しよう女神に。」
ギルドマスターは報告を聞き、冷静になり決意する。