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自称天才兄妹は案が思い付かないのでライトノベルを買いに行くそうです

「にぃ。雷大賞突破するぞ!っていきごんでたよね?」

「はい……」

「じゃ何で、コンビ結成してからもう一週間たつのに案の一つもよこさないのかな?」

「そ、それは……案が……」

「出てないとは言わせないよ。今日までの一週間、ゲームして、カップラーメン食べて、案考えてないよね」

「あ!そうだ!」

ラノベの案は思い浮かばないが、この状況を打破する案は思い浮かんだぜ。

「どうしたの?新しい案でも考えついた?」

「いや、この一週間ラノベ読んでないなって思って、今日雷文庫の発売日だし買いに行こうぜ」

「だめだよ、早く案考えないと……4ヶ月何てあっという間だよ」

「分かってないな妹よ、案は考えるものじゃない。ゲームをしてる時、他の創作物にふれている時パット浮かんでくるものなのさ」

「ほんと?」

「ほんとほんと、だからさぁ早く本屋行こうぜ!」

「うんならいいけど……だけど今、平日の15時だよ」

「何だと!?ロボット共が帰還する時間帯か!?」

平日の15時それは青春を謳歌した気になっているロボット……じゃなかた学生さん達が帰ってくる時間帯だ。

しかもこの俺達が住むボロ家は地元にある、義務教育を2年前終了させた男と絶賛義務教育真っ最中の本来ロボットであるはずの二人なのだがロボット活動、通称ロボ活をしてない。

それはどういう意味か分るか?簡単に言うならニートってことだ……。

そんなニート兄妹とロボットが道端でバッティングしたらどうなるかそんなの

「あいつら学校にも行かずラノベ書いてるらしいよ」

「なにそれ気持ち悪い~」

って言われるに決まってる。

そんなの俺達のガラスのハートにかけて許す訳にいかない。

だがロボットと合うのが怖いからって本屋に行かないという選択肢はない、もし行かなけれ結衣に案を出すまで寝かしてくれないだろう。

何それ楽しそうって思ったかもしれないがそんな事態は色んな意味で合ってはならない。

「よし!変装するぞ!」

俺はすっからかんのクローゼットの中から何故あるのかわかない帽子を結衣にかぶせ、俺はサングラスを装着した。


「にぃ……」

「何だい、妹よ」

「これ付ければ、知り合いにはバレないかもしれないよ。でも近所のおばさんには変な目で見られてるよ」

暇なババ……こほんこほん優雅なひと時を過ごすマダム達はジャージに帽子とサングラスと怪しいかっこをしている俺達をいぶしげに見ている。

天才はいつの時代も理解されないものだ……。

何て強気なメンタルを底辺作家とも言えない俺が持っている訳もなく、視線を避けるように歩を進めた。


「「やっとついた……」」

俺達はあまたの視線をかいくぐりどうにか目標地点に到着した。

「じゃこれ買ってくるから、にぃはここで待って」

結衣は大量に積もったラノベの山を両手で抱えレジへと向かった。

「あ!いいな……」

俺は雷文庫発行のラノベを一つ手にとった。

その本の帯には『天才高校生ライトノベル作家あさみけい』と銘うたれている。

俺は憧れというか悔しさというか、言い表せない気持ちの中、手元に持つ本のページをめくった。

「不幸だぁぁぁ!」

が口癖の主人公かみしょうとうやがあまりの不運でトラックにひかれ転生することで話が始まるいわゆる転生モノ。良くも悪くも尖らずに売れ筋から外れることのない作品。

「どう……?それ面白い……?」

「うん?面白いん……ってわっっっ!」

俺が声のする方へ顔を向けると、唇と唇がくっついちゃうのではと思うほどの距離に外国人のような目鼻立ちがしっかりしている金髪美少女がいた。

高校生らしき彼女は制服を身につけ、無機質な目で俺の回答を促してくる。

「あぁ、面白いか面白くないなら面白いと思うぜ。文章も丁寧でセンスを感じる」

「そう……、私はそうは思わないわ……」

「ほう、だったらお前これより面白い話作れるのかよ?」

作家を目指しもしてない女子高校生にこんなことを言うのは間違っている。

そんなの俺も分っている。ただ自分の意見が真っ向から否定された上に、同年代で先を行くをこの作家が否定されると、その下に位置する俺達まで否定されてるみたいで食い下がる事は出来なかった。

「作れないわ……」

「そうだろ、なら」

「だってこの不運な俺転生したら運気maxになってる件を書いてるあさみけいって私だもの……」

「え?今何て言った?」

「だから不運転生書いてる私が不運転生より面白い話何て作れる訳ないって言ってるの……」

「えっっっ!?」

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