~語呂合わせ~
―――優太が玄関先で待機している。
申し訳ないっと手を合わせるように一礼をして、自分の手荷物を整理して外出する準備をする。
心が熱々な優太は上着なんていらないから、…いや、ゴメン
一枚しかない上着を私に貸してくれた優太は、寒そうな格好で私のことを待っている。断り切れなかった自分に嫌悪感を抱きながら、適度なバランスで友情関係を保っている私たち。
あの言葉たちで”傷、付いた”とは思わない。
むしろ、自分が”欠けていて”良かったと思い直している。
それでなければ、この身体で歩いていくことは…これから先は出来ない。出来るとしたら、それはまさに釈迦の手の上の孫悟空だろう。いくら得意な道具だからと使っても、それは決して何もかもが上手くいく道具にはならないのだ。メリット・デメリット、それが相成って初めて”道具”になるのだ。
こうしている間にも、優太は、私の瞳を見つめ訴えてくる。
「早くしろよー。」
心なしか、「早くしろよー。」が、『早くしろよ~。』に聴こえる。
聴いてるだけでは伝わらなかった感触が、目から脳に届いて音が鳴る。
”けいりんをならすとかなんちゃら”
貴弘の奥が修正する。
「それを使うなら、『警鐘を鳴らす』だろ?」
暖房が効いた家から飛び出して、靴とともに冬の外へと扉を閉める――――。
「あぁ~あ、さみぃっ」
「・・・ぅ、ごめん」
優太は一緒に歩きながらも、小さい私の顔を何度ものぞき込む。
「ま、いっか。
でも、風邪ひいたら貴弘のせいだからな。
いや、鷹弘かぁ~?」
「・・ん、うん。」
「――って、なーんてナ。」
今年の排雪のおかげだろうか、いつもよりも春を近くに感じている。優太の何気ない動きが、自分の動く範囲まで至らなかった腹筋を動かして猛烈に痛い。自然と飛び出したポケットの両手さえも、優太のお金を落としたことに気づかない。
「おい、
俺の10円玉!!
5円は落としてもいいけど、10円はダメだ!!」
「はいはい、要するに・・ 」
私の記憶に、命が芽吹いた。まだ、いつ形になるかわからないけど、これは確かに”葉になる”と腑に落ちた。生い茂る木々たちが、私の目の前に起こることを予測出来たのだ。
だから、私はしばらく拾った10円玉を見つめ「ありがとう。」と、胸元に呟いた。こころなしか、微笑み返してくれる顔が浮かんだ。
「お前との、ご縁はご免だ。5円だけに」
「じゃあ、一円玉はどうなるの・・ゆーた?」
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