宿と寝顔
ジークへとたどり着いた。
「ここがジークかぁ……」
「私たちのところとは比べられない位大きいね」
「人が多い…………です。」
三者三様の反応である。
「それじゃあ、とりあえず宿を目指そうか」
僕がそういうと、皆頷き返してくれた。
宿は「個室かつ最安値」という条件で調べた。
そういえば思念画面の検索機能は、他の人は持っていないらしい。
そして僕らは宿屋「カルス」へとやってきた。
「いらっしゃい!宿屋カルスへようこそ!」
店員と思われる女性が話しかけてきた。
「おや?君たちは見ない顔だね。どこの出身なの?」
「僕らは、ニシハラという町の出身です。」
「ニシハラからか。長旅ご苦労様。あたしはキャロだ。よろしくな」
「僕は光です。よろしくお願いします。キャロさん。」
「私は由美と言います。よろしくお願いしますね!」
「俺は直輝という。よろしくお願いします。」
「加奈恵………です。よろしく………お願い……ます。」
「おーけー。部屋はどうする?」
「少し話して決めてきますね。」
「了解。決まったらいってくれよ。」
少し離れたところで仲間たちと話すことにする。
「一人部屋か二人部屋、どっちにする?」
「俺はどっちでも良いぞ。」
「余裕を、持たせるために………二人部屋が、良いと思う。」
「それは私も賛成。ここは組み合わせをくじで決めさせてもらうわ!」
「なんかそれまずくないか?」
と言ったときには手遅れ。組み合わせが決まっていた。
「よし、組み合わせは決まりね!じゃあ部屋を借りてきて。組み合わせは後で教えるから。」
「………わかった。借りてくる。」
という訳で部屋を借りてきた。で、その組み合わせは。
「光くん、よろしく。一緒にお勉強しよ?」
僕と加奈恵、直輝と由美という組み合わせだ。由美がとても喜んでたから狙ってやったと思うけど。
「ああ、そうだな。」
もう部屋割りのことは考えないようにしよう。
「ちょっと先にシャワー浴びてくるね。」
加奈恵はシャワールームへと入っていった。
少しの間ゲームで時間を潰そう。
さて、あのキャラを5凸させないと。
「おまたせー」
しばらくして加奈恵が戻ってきた。
僕は一冊の魔法書を取り出した。
タイトルは「魔法の効率化 初級」。
この本は僕と加奈恵の両方に関係のある魔法書なので、二人で勉強するときに読むことにしている。
「えっと、ここからだよね。魔法における詠唱とは…………」
加奈恵は何故か僕とは普通に話すことができる。特に何かした覚えはないんだけど…………
まぁいいや。
僕たちは魔法書を読み進める。
……………………………………………………………ペラッ……………………………………………………………………………。
肩に何かが乗った。
この状況で肩に乗るもの………は加奈恵しか思いつかない。
そっちを見ると、そこには、案の定加奈恵がいた。
旅の疲れと相まって寝てしまったのかもしれない。
ただ、シャワーしてすぐなのがとてもきつい。僕の精神的に。
加奈恵の顔が少し紅い。いつもは編み込んで前に持ってきている髪は少し湿って、結ばれずにストレートに伸びている。そしてなんだか、少し甘い匂いがする。そして、なにより寝顔が可愛い。加奈恵の寝顔をこんなに近くで見たのは初めてだ。だからなのか、さっきから妙に居心地が悪い。厳密に言うなら、そわそわとして落ち着かない。
勉強しようと思ったが、内容が全然頭に入ってこない。
僕は勉強を諦めて、加奈恵をそっと眺めることにした。
同刻の別室。
「俺は武器とかを磨く。」
「じゃあ私はそれを眺めとく。」
「…………好きにしろ。」
15分後。
「見てて楽しいか?」
「楽しいとかじゃないよ。私はね、格好いいなって思ってる。」
「……………」
「……………」
1時間後。
「……………」
「……………寝たか。」
「……………」
「さっきの一言を言われてから………いや、もっと前からこいつを意識してたのかもな」
「……………」
「……………」
至翌朝。
由美と直輝の方はこれで終了ですが、光と加奈恵の方はもう少し続きます。
自己申告ステータス
弦巻 由美
身長:151
体重:直輝以外に教えるつもりはないわ
黒歴史:直輝関連であるかもね
目、髪、好きな色:茶、茶、赤
特技・趣味:直輝クイズ、直輝の観察
作者の感想
直輝ラブですね。わかりやすい。
黒歴史は直輝関連であるかも ではなく ある です(それバラして良いのかよ作者)。