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生態と吹雪

過去編書くの疲れた……

なので、一旦本編を書き進めることにします。

あと、今回と次回は視点が飛びまくりますごめんなさい。

数日が経った。

ジークからある程度離れたところに、亜人種の大群が確認された。そして今、冒険者や兵士が広場に集められている。

「この作戦の目標は、亜人種を追い返すことだ」

作戦を取り仕切るらしい領主は、そう壇上で演説している。

「だからこその、籠城戦だ。まず、弓や魔法による城壁からの攻撃で、敵後衛を減らしてくれ。奴らが使える魔法は、森林での生活に適したもの――――炎と風の2属性だ。この対策として儀式魔法『フレイムレジスト』と古代魔法音楽『快晴のダルセーニョ』を使う。炎の魔法は弱くなるから、使用を控えてくれ。あとは、門と通路で、奴らの進行を食い止めれば、我々の勝ちだ! 以上、敵に備えてくれ!」

広場は、冒険者や兵士の鬨の声に満たされた。

そんな中、

「……なんで風対策に快晴?」

と、隣に居た加奈恵が僕に問いかけてきた。

「それは――――――」

快晴にするために下降気流を生じさせると、地面とぶつかった下降気流が外方向の風をうみだすから、と答えようとしたとき、これって現代科学だな、と思った。現代科学を利用するのは自分のためだけと決めているし、まだこの世界に持ち込むべきじゃないと思った。だから、

「――――なんでだろうな」

と、苦笑いしながら答えた。

ちなみにあとから知ったことだが、この曲を演奏している最中は、楽団から風が吹くことはわかっているので、「風が雲を吹き飛ばしているんだ!」と考えられているらしい。


ーーーーーーーーーー


「ゴブリンを確認した!」

兵士のその一言が、開戦を告げた。

「斉射!」

領主が指揮を飛ばした。

それにあわせて、城壁の上にいる弓使いから、一斉に矢が放たれ、ゴブリンに降り注ぐ。由美が放った矢は――――うん、サクッとゴブリンの眉間につき刺さったね。

「オーガも確認!」

「魔法を放て!」

それと同時に、様々な詠唱が聞こえてきた。

「「「「「氷よ貫け、『アイスランス』!」」」」」

「「「駆けうちつけよ、『ウインド』!」」」

「「「「雷よ弾けろ、『ライトニング』!」」」」

「土よ、風を纏いて射抜け、『バレット』!」

…………これなにも知らずに聞くと呪いの呪文に聞こえるだろうな。

そんな中、僕と加奈恵は何をしているのかというと、

「出でよ雪、『クリエイトスノー』」

「痺れをもたらせ、『パラライズ』」

「君たちはなにをしてるんだ!?」

兵士がなんかキレてきた。

「これはこうするんです…… 「駆けうちつけよ『ウインド』」」

生み出した雪が風に乗って、亜人種の元へと飛んでいく。すると、雪に触れた亜人種たちが、徐々に鈍くなっていく。

「そうか、亜人種は暖かい森に住んでいる。ということは、冷気にはあまり強くない……?」

領主はそんなことを呟いて、ハッとしたように、指示を飛ばした。

「『ブリザード』を打て!」

「「雪を包みし冷たき風よ、地を撫で駆けよ、『ブリザード』!」」

2人の魔法使いが放ったブリザードは、間違いなく亜人種を鈍らせた。パラライズ入りの吹雪に比べて強くないかというと、そうでもない。

パラライズ入りのアレは、麻痺効果のある雪を点々と地面に残した。そこに、吹雪が吹き、雪がうっすらとつもると、どうなるのか。その答えは、「その雪の場所がわからなくなる」ということだ。そうすると、賢い亜人種なら避けられる麻痺雪(パラライズスノー)を、避けられなくなる。つまり、トラップ性能が上がるのだ。

それだけではない。ただの風やただの雪である魔法と比べて、攻撃的な魔法だから、殺傷性もある。

これで、だいぶ亜人種も減っただろう。

「さて、次の魔法だな。――」



「すり抜けた奴が来たか」

ゴブリンやオーク、オーガといった亜人種が遠距離の猛威を潜り抜けてやってきた。その多くは既に満身創痍で、たいした障害にはならない。

「「へへっ、手柄は俺のもんだ! 亜人種ども、俺の剣の錆になりやがれっ!」」

あいつら、早死にしそうだなぁ……。剣の錆が増えてなまくらになったら使い物にならないだろ。

「おらぁぁぁ!」

「うりゃぁぁぁ!」

ゴブリンたちの首に剣がめり込み、引き抜かれる。そして、首を切った男たちに返り血がかかる。

なんであれを切り落とせないんだよ。しかもなんで返り血をおもいっきり浴びてるんだあいつら。絶対早死にするな。ちょっと強いゴブリンに勝てるか怪しいぞ。


「戦況はあまり良くないですね」

「左様か」

「ええ、ですから、我々もそろそろ動かねばならないでしょう」

「そうね。歴代の指揮官の中でも凄く強いと言われた私達の力をみせてあげましょう」


「がっ……」

私同様、壁上から攻撃していた魔法使いに矢が突き刺さった。

「今のは…………狙撃?」

敵の支援部隊から、矢は飛んでこなかった。つまり、別の相手ということになる。

「うわっ!」

別の人の横を矢が飛び去った。今のでおおよその方向はわかった。その方向を見る。そしてそのとき、嫌な予感がした。その方向に微かな煌めきが見えた。

「どこの亜人種かは知らないけど……」

私は首を倒して、正面から飛んでくる矢を避けて。

「私と狙撃勝負といきましょ」

そう呟いた。

超久々でごめんなさい。

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