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魔法と組み合わせ

「……………『幻想陣』」

一応作戦の補助になる魔法を展開した。

そして、幻影を送り込んで少し経った。

「どうやら動いたみたいだぞ」

望遠鏡で橋を確認していた直樹がそう告げた。

「それじゃあ、始めようか…………」

僕の言葉に、3人は小さく頷いた。

「炎と成りし液体よ、顕現せよ『クリエイトオイル』……さらに、蒸気と化せ、『エバポレーション(蒸発)』……さらに、液と成りしとき、そのものをを選びとれ、『モーメント(瞬間)リクイッド(液体)セレクション(選別)』範囲指定、303~453…… っと」

「液体よ、求めに応じて粘を示せ『ビスコーシティ』」

「誰がこんな魔法をこんな状況で使おうって思うんだか……」

「というか、光は3つ使ったね」

文字通り油を作り出す、クリエイトオイル、これをエバポレーションで蒸発させ、蒸気にする。そして、モーメント・リクイッド・セレクションでとある成分郡を回収、これに液体になったもの粘性を持たせるビスコーシティを掛け合わせる。これらをあわせると、ある現象が起こる………………………はず。

「というか、光が使った魔法も全部、聞き覚えがないぞ?」

「私も………… クリエイトオイル以外、知らない」

「加奈恵が知らない魔法ってことは、物凄くマニアックな魔法よね?」

「全部、普及しなかった魔法だからな」

「?? クリエイトオイルって油を作る魔法なんだろ? 料理とかそういうので、需要がありそうだが」

「………………油は油でも、食用じゃ、ない」

「馬車の車輪をなめらかにするくらいしか使われてない油だから、馬車の整備士のごく一部くらいしか、需要がない魔法なんだよ、クリエイトオイルは」

「「確かにそれは普及しないな(わね)」」

「ところで…………… 残りは?」

加奈恵が目を輝かせて尋ねてくる。自分が知らない魔法に興味津々のようだ。こういうわくわくしている表情が、僕は好きだ。直樹が剣について語るときとかも、こんな風な表情をするので、わくわくしているのだと思う。

「蒸発魔法と収集魔法だよ。水を蒸発させて集めることで危なくない飲み水を確保できるっていうことで世に出回った魔法らしいんだけど………」

「水魔法があったから需要無し、ってなったのね。……………というか、なんで光はそんな魔法を知ってるの?」

「『役に経たない魔法辞典~役立たない魔法とその歴史~』っていうのを読んでたからかな?」

「初めて聞いた名前………………。 ………………『用途が少ない付与魔法』は読んだことあるけど………」

「お前ら、よくそんなもんを読んでたな…………」

…………今更だけどど、本題からずれてるな。

「っと、そろそろ始めて良いか?」

「そうだったわね。じゃあ、お願いするわ」

「それじゃあ。…………雨へと変われ『オブレイン』、風よ運べ『ドライブウインド』」

「…………気象操作系の魔法?」

さっきの油(加工済み)を雨として橋の上に飛ばす。そしてここに

「輝く炎球よ、その熱で焼き焦がせ『ファイヤーボール』」

そこで大体を察したらしい加奈恵が聞いてきた。

「炎の雨を、降らせても、炎、簡単に、消されない?」

そこは対策済みである。

「とある現象っぽいことをしたから、多分上手くいく」

「じゃあ、ちょっと行ってくる」

「気を付けてね」

加奈恵が小走りで、少しだけ川の方に近づいていく。

「ねえ直樹」

「なんだ?」

「橋、燃えすぎてない?」

「一体、何を模倣したんだあいつ………」

ちなみに僕が真似したものは、ある爆弾の燃料っぽいもの。 ………っと、雨の魔法は思ったより操作が難しいな。少し、塊が落ちてしまった。まあ、概ね計画通りだから良いんだけど。

「…………物凄く燃えてるが、大丈夫なのか? あれは」

「ナフs…………… 燃料が尽きれば消えるよ」

ナパーム弾の原理を独自に使ってみたけど、どうやら成功しているようだ。………………威力強すぎるから封印かな、これ。

「川の流れ…………………止めてきた」

「「今、さらっとヤバいことを言ってない!?」」

「水流操作魔法を使えば30分くらいなら簡単なんだよなぁ……」

マルチと組み合わせることで、簡単にね。普通にだと川レベルは無理だと思うけど。

まあそれはさておき、次の作業をすることにした。

「雷よ弾けろ『ライトニング』、出でよ水『クリエイトウォーター』、あとは……………………… 出でよ水『クリエイトウォーター』、ここに食塩を溶かして、雷よ弾けろ『ライトニング』、炎よ出でよ『ファイア』、出でよ水『クリエイトウォーター』、そして1と3番目の水を混ぜて、手加減しながら、蒸気と化せ、『エバポレーション』」

そして、作った黄色い液体を複製(マルチ)する。普通に便利な能力だよなぁ………「マルチ」って。

「あとはこれを川の中に……………………… ぽいっと」

「「それ大丈夫なの!?」」

大丈夫のはずだ。




少し経って。

ふと、橋と川の方を見ると、そこでは亜人種達が燃えたり溶けたりする地獄画図が広がっていた。

「上手くはいったみたいだね」

「「何をしたのかさっぱりわかんないんだけど」」

「何か、調合した?」

「まあ、そこら辺は秘密ってことで」

魔法は組み合わせ次第では、さほど強くないやつ、用途がないやつが役に立つということを実感する1日となった。

………………………無論、緊急時以外封印することにしたが。

今回は新規で魔法が沢山登場しました!

最初の魔法『幻想陣』は人の深層意識や表層意識を顕現させることを補助する――――つまり、妄想を現実にしやすくする魔法です。

今回、光くんは「ナパーム弾」と「王水」を再現しようとしました。ですが、確実性が無いですよね………… というわけで幻想陣の出番だったわけです。(ナパーム、王水の製法は調べましたが、合っている自信はないです。幻想陣は辻褄あわせなのでちょっと強引な入り方になっています。)

次回辺りから少しの間、回想が主軸となります。ですので、この辺で一度、章を区切らせて頂きます。

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