橋と炎
――――――――――10分程前。
「配置にはついたか?」
俺は直属の部下に問いかける。
「せんごうはん、はいぢがんりょう。」
「ほんだいうよぐも、がんりょう」
「左翼…………完……」
ふむ、準備に抜かりは無さそうだ。
「あとは獲物がのこのこと出てくるのを待つまでか」
俺はそう呟き、手元のグラスに注いであった指揮官用のワインを口にした。
「橋に……………………人間…………」
左翼の指揮官がそう口にした。
「総員、戦闘準備! 橋の上で迎えうつ! 毒などを使い、できるだけ生け捕りにしろ!」
「「りょうがい」」「了解」
戦いは、既に始まっていたことを、このとき知らなかったことを、今現在、後悔している。
―――――――――――現在。
「!? 何故、毒が通じぬ!」
亜人種の中で、毒を扱うことに特化したジョブ「毒牙」――――違う意味もあるが。に作らせた麻痺毒が全く効果を示さなかった。
「仕方ない、作戦変更だ。 風魔法を放て!」
「「「「一様なる風よ吹け。『アブリーズ』!」」」」
この魔法は、そよ風しか起こせない。だが、毒を晴らすには充分。そして…………
「風向きを変えろ!」
俺の第2の作戦、こちらを風下にし、人間の匂いがすればそちらを襲う魔獣「フェンリルム・ヒュキル」を風下とし、奴らを襲わせ、戦力を削るというものだ。しかし…………………
「馬鹿な、ありえん!」
フェンリルム・ヒュキルが、全く反応を示さない。こうなる可能性がある魔法は………………
「「まさか、消臭魔法!?」」
魔法部隊の指揮官と意見があったならば、これは恐らく正解だろう。
だが、消臭魔法は魔力消費がとても大きい付与魔法だ。そんな魔法を長時間維持し続けるのは、自殺行為の域である。つまり……………
「今が好機!総員、近接戦闘に移れ!」
その言葉にこたえるように、雄叫びがこだました。戦力差はこれだけあるのだ。勝てない訳がない。
勝利を確信した俺は、笑顔を浮かべた。勝者が敗者を嘲笑うように、蔑むように、歪んだ笑顔を。
――――――――――――――――――――――――――5分後。
俺は、さらに歪んだ笑顔を浮かべた。
「ハハ………………………」
決して、油断したつもりはない。だがこうなってしまった。つまり、自分の力不足。
辺り一帯は、高温の炎に包まれている。そして、同胞達の、断末魔の声が聞こえてくる。もう、残りは10人といないだろう。
奴らが、幻影だと気づいた時には、もう遅かった。
背後と正面、橋の出入口が炎に包まれていたのだ。幻影かと考えもした。だが、同胞の悲鳴が実体であると俺に告げた。
川に飛び込むように告げもした。だが、川に飛び込んだ同胞は、亡き者と変わっていった。
そして、橋に雨が降った。この雨は水ではなく、何か粘着質なものに感じた。そして、その謎の液体を、炎が、雨を浴びた同胞もろとも焼き尽くした。
近くに居た直属の部下達も、炎に焼かれ始めた。まだ、雨は降り続けている。
俺にも炎が燃え移った。だが、これで良かったのかもしれないと思う自分もいる。
「これで、また、会えるね。――――――――リーナ………………………」
リーナはそのうち登場します。モブとメインの中間―――――キャロくらいの立ち位置です。
えーっと……読者の皆様に対して魔法名と効果及び詠唱の募集を行います。
1.作品バランスを崩さない
2.魔法をある程度理屈で説明できる
ものは採用するかもしれません。
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