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亜人種と『イリュージョン』

翌日、ギルドへと向かった。

そして、提示されている依頼を見ると……


レベル1

・荷運び

領主のもと荷物を運ぶ

報酬

銅貨10枚


レベル2


・ゴブリン討伐

ゴブリンの討伐×1~

報酬

銅貨16枚×討伐数×2/ランク


レベル6

・偵察任務

亜人種の集団部隊の偵察

報酬

情報による

並列

ゴブリン討伐に限り可

ただし報酬は1/2


―――――以上である。


「なにこれ……」

由美が呟いた。同感である。

クエストボードの端に、依頼とは違う張り紙があった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『亜人種の大軍が接近中のため、通常クエストはお休みさせて頂きます』

――――――――冒険者ギルド ジーク支部

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

……亜人種の大軍?

「あの、すみません。これってどういうことd……」

「それに関しましては、あちらの集会場で、20分後から説明があります」


そして、説明された。内容を要約すると、

1:亜人種の軍団約2.5万が接近中

2:その先発隊(偵察部隊)が町の近くに出没

3:先発隊を討ちつつ、情報を集める

4:その後、ジークの外壁を利用しつつ迎撃する

とのこと。

「……どうする?」

「昨日の薬草のやつでランクは2に上がったから討伐を受けるか?」

「………賛成」

「じゃあ決まりね!」

…………僕の意見は聞いてくれなかった。まぁ同意見だから良いけど。



手続きをしてジークを出た。

「ねえ直輝、偵察部隊ってどの辺にいると思う?」

「俺よりそこの魔法馬鹿共に聞け。読書家だからそういう知識があるかもしれないだろ」

「そういえば直輝は剣術一筋だったね。だから知識がなくても仕方ないか」

「……それは俺を馬鹿にしてる訳じゃないんだよな?」

「私が直輝を馬鹿にするわけないでしょ? むしろ格好良いとおもってるくらい」

由美が攻めに出ている。それに昨日より直輝に近い場所にいる。直輝の認識を変えるために、色々と工夫しているようだ。

「そうか! なら昨日の話の続きをするな! 昨日話した受け流しにはコツがあって、相手の剣の軌道に僅かに―――――――」

「由美ちゃん、ほんとに先が長そう。…………………………………私もだけど」

「だな。本当に、由美たちは先が長そうだ」

加奈恵の言葉(後半は声が小さすぎて聞き取れなかったが)にそう相槌をうつ。

「さっきの由美ちゃんの質問、光くんならなんて答える?」

「んー……………。 多分だけど、情報収集部隊は丘の上とかで、食料調達部隊は川沿い、主力は橋付近の森かな? あくまで『先行偵察の』だけど」

「理由は?」

「丘の上であれば、城壁持ちの町であるジークの中も少し見える。それと、川は人々が生活でよく利用する。しかも、人間が無防備になりやすい。そして橋は、一昨年の僕らみたいなことをしなければ、出入口は2つしかないから、挟み撃ちしやすい」

「だから私たちも挟み撃ちされたんだね。でも、亜人種ってそんなに知能あったっけ?」

「普通の群れ――――100未満とかだったらないだろうね。でも、1000を越えるレベル、つまり、コマンダークラスの亜人種が率いているような軍勢なら、ありえる」

今回のトップは恐らく、ジェネラル(将軍)級の亜人種だろう。

「そ、それじゃあ、橋に向かいましょ! ね!」

由美が割り込んでそう言うと、

「まだ1厘(1/1000)も話してないんだが……」

と、直輝が呟いた。

このとき、僕はこう思った。

『この剣馬鹿に魔法馬鹿とは言われたくない』と…………




そのまま橋へ、道なりに歩いて向かっている。

「で、どうやって亜人種を引きずりだすつもり?」

と由美が聞いてきた。

「幻影を作って、その幻影に橋を渡らせる。それを見て亜人種が出てきたところを叩く」

「そんな魔法、使えるのか?」

「前に……………本に、載ってた、気がする」

加奈恵が言ったとおり、本に載っていたので、その時にその魔法『イリュージョン』を覚えた。

「で、攻撃するときなんだけど………… 僕の魔法に『ビスコーシティ(粘性)』の付与エンチャントはできるか?」

「『ビスコーシティ』…………… あ……………… あの魔法は、いける」

「加奈恵が思い出すのに苦労するような付与魔法のビスコーシティってどんなの?」

「水糊を、作るときとかに、使う、粘性を、持たせる魔法」

「基本的に工業用のとてもマニアックな魔法だよ」

「「そんな魔法まで覚えてるの⁉」」

「「…………趣味」ですから」

学校の教師の一部や工事の現場作業員の一部しか知らないような魔法ですよね普通なら。

「で、どうやって攻撃にそんなものを使おうとしてるの?」

「…………トリモチ?」

「「トリモチって何なのさ……」」

「残念、不正解。あれは直輝が戦いにくくなるからね」

「「トリモチとは一体……」」

「まあ、どう使うかはお楽しみにってことで。そろそろ静かにね」

橋まであと数百メートルくらいのところまできた。それじゃあ、始めようか。

「光よ、歪め。望みし姿を虚空にうつせ。『イリュージョン』」

魔法馬鹿達とその他でだいぶ違いがありますが、それを明かせるのはだいぶ先だと思います……

次回は亜人種のコマンダーの中の1匹の視点でお送りすると思います。

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