仮面の淑女
とても短め。昔のお見合いとかネット恋愛とか多分こんな感じなんだろうなと思って書きました。
先日行われた夜会での君は
ひどく神秘的で魅惑的な女性だった
しかしどうだ?
現実にいる目の前の女は
顔を真っ赤に焼けただせられた
とても醜い女ではないか!
それが真実の私を知る
鏡を覗く殿方達の罵りの言葉
偽りのない心音である事は
もはや一目瞭然と言えた
だから私は仮面を身に付けるのだ
きつい香水 派手な衣装
火傷を覆い隠すおしろいと
美しいマスカレード
このおぞましい顔さえをも
見られずに済むのならば
どんな大胆な事も叶うのだろう
普段ははばかられる
非道徳的なその願望のそれさえも
謎めいた美しい仮面の美女として
私は夜会の花として
再び返り咲いたのだ
嘘をつくのは好ましくない
そうであるのを望まれているからだと
繰り返し自分に言い聞かせていた
周囲に集まるのは
理想化された偽りの姿に惹かれる者
彼らが愛したのは私ではない
私自身が作り上げた仮面そのものだったのだ
人の理想化された部分しか見れない人は
その人を理解する事は多分一生出来ないでしょう。