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「それで、ライラにボコボコにされたってわけだ」
「うん。本気になったライラには手も足も出なかったよ。ジリも一回お願いしたら?」
「やだよ面倒臭い」
ライラに稽古をつけてもらってから数日が経った。
あれを稽古と呼べるかどうかはわからないが、私の中でちょっとした気持ちの変化が起きたことは確かだ。
私がなぜ冒険者をしているのか。その答えはまだ出ていない。
答えは出なくても考えていればお腹が空き、ご飯を食べればお金が失くなる。仕事をしないわけにはいかなかった。
今日はトレントの討伐だ。
基本的には無害なトレントだが数が集まると途端に凶暴になる。更にちょっとでも土地に栄養があると簡単に増えていくので、定期的に間引かなくてはいけないのだ。
「なんか冒険者に向いてないとか言われちゃってさ……」
「ハーニーが? ふーん」
驚いたものの、それほど興味はなさそうなジリ。
もぞもぞと動いていたトレントに手を当てると、一瞬で燃やし尽くした。
今の様子を見てもジリは明らかに興味を持っていない。それでも、誰かに相談したかった。
「ジリはなんで冒険者をやってるの? 最初は何か憧れとかあった?」
「ウチ? ウチは別に……昔っから腕っ節は強かったし魔法もそこそこ使えたからな。他にやりたいこともなかったし、お堅い兵士とかよりは、ね」
「そっか……」
寄り添うように並んでいたトレントを一太刀で両断する。
ジリは自分の適性を考えて冒険者になったのだろう。
そう考えると私は、
「そういやハーニーは頭も良いからな。何も冒険者をやる必要もないよな」
「やっぱり?」
「向き不向きは置いておいても、やっぱりもっと楽な仕事はあると思うよ」
貴族の娘として生まれたお陰で、普通の勉強も一般の人より踏み込んで学んでいた。勉学以外にも楽器だとか社交ダンスだとか、裁縫まで。貴族の娘として一通りのことは学んでいる。
その技術を活かせば、冒険者以外にはいくらでも仕事があるだろう。
悩みながら、逃げようとしていたトレントを切り伏せる。
今日はトレントの討伐なんて簡単な依頼だが、最近は二度も死にかけた。ジリやライラでなくとも、冒険者以外の仕事を勧めるだろう。
「転職は考えたことないの?」
「お父さんが居たから冒険者になるのが当たり前だと思ってたしね。考えたこともなかったよ」
「じゃあ考えてみても良いんじゃない。やってみたいこととかないの?」
「特には。これから新しいことを始めるのもな……」
「まだ若いのに何を言っているんだか」
言いながらトレントを倒していく。
「じゃあ日も暮れるし、そろそろ帰ろうか」
持って来た袋はトレントの核でいっぱいだ。話ながらやっていていつの間にか相当な数を倒していた。
これならしばらくはトレントを狩る必要もないだろう。
「こんだけありゃボーナスももらえるかもな」
スキップ交じりで帰路につくジリに呆れながら、期待している私も居た。
依頼を終えて、今日はいくら稼げたか楽しみにしながらギルドに帰る。この時のために冒険者をやっているのかもしれない。
短いですが小休止的な感じで




