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泣き虫な私が勇者になる話  作者: グリゴリグリグリ
第2章:泣き虫な私とダムネシア
21/54

2-5

「それで、ライラにボコボコにされたってわけだ」

「うん。本気になったライラには手も足も出なかったよ。ジリも一回お願いしたら?」

「やだよ面倒臭い」


 ライラに稽古をつけてもらってから数日が経った。

 あれを稽古と呼べるかどうかはわからないが、私の中でちょっとした気持ちの変化が起きたことは確かだ。

 私がなぜ冒険者をしているのか。その答えはまだ出ていない。

 答えは出なくても考えていればお腹が空き、ご飯を食べればお金が失くなる。仕事をしないわけにはいかなかった。

 今日はトレントの討伐だ。

 基本的には無害なトレントだが数が集まると途端に凶暴になる。更にちょっとでも土地に栄養があると簡単に増えていくので、定期的に間引かなくてはいけないのだ。


「なんか冒険者に向いてないとか言われちゃってさ……」

「ハーニーが? ふーん」


 驚いたものの、それほど興味はなさそうなジリ。

 もぞもぞと動いていたトレントに手を当てると、一瞬で燃やし尽くした。

 今の様子を見てもジリは明らかに興味を持っていない。それでも、誰かに相談したかった。


「ジリはなんで冒険者をやってるの? 最初は何か憧れとかあった?」

「ウチ? ウチは別に……昔っから腕っ節は強かったし魔法もそこそこ使えたからな。他にやりたいこともなかったし、お堅い兵士とかよりは、ね」

「そっか……」


 寄り添うように並んでいたトレントを一太刀で両断する。

 ジリは自分の適性を考えて冒険者になったのだろう。

 そう考えると私は、


「そういやハーニーは頭も良いからな。何も冒険者をやる必要もないよな」

「やっぱり?」

「向き不向きは置いておいても、やっぱりもっと楽な仕事はあると思うよ」


 貴族の娘として生まれたお陰で、普通の勉強も一般の人より踏み込んで学んでいた。勉学以外にも楽器だとか社交ダンスだとか、裁縫まで。貴族の娘として一通りのことは学んでいる。

 その技術を活かせば、冒険者以外にはいくらでも仕事があるだろう。

 悩みながら、逃げようとしていたトレントを切り伏せる。

 今日はトレントの討伐なんて簡単な依頼だが、最近は二度も死にかけた。ジリやライラでなくとも、冒険者以外の仕事を勧めるだろう。


「転職は考えたことないの?」

「お父さんが居たから冒険者になるのが当たり前だと思ってたしね。考えたこともなかったよ」

「じゃあ考えてみても良いんじゃない。やってみたいこととかないの?」

「特には。これから新しいことを始めるのもな……」

「まだ若いのに何を言っているんだか」


 言いながらトレントを倒していく。


「じゃあ日も暮れるし、そろそろ帰ろうか」


 持って来た袋はトレントの核でいっぱいだ。話ながらやっていていつの間にか相当な数を倒していた。

 これならしばらくはトレントを狩る必要もないだろう。


「こんだけありゃボーナスももらえるかもな」


 スキップ交じりで帰路につくジリに呆れながら、期待している私も居た。

 依頼を終えて、今日はいくら稼げたか楽しみにしながらギルドに帰る。この時のために冒険者をやっているのかもしれない。

短いですが小休止的な感じで

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