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ポメ

世界観とかは追って書いてくんじゃないですかね


ポメラニアンのモデルは実家のレンです

「ママー!見てー!お馬さん!!」

「あら、ほんと。可愛いわね。何て名前なのかしら」

 純白の体毛と巨大な翼が放つ神々しさは、その周りが異空間である様な錯覚さえ引き起こさせる程。

 コンクリートで舗装された地面や鉄筋造りの建築物の中に居るには余りにも場違いだったが、このドームでは日常茶飯事の光景。

 その上に騎乗した少女が見せ付ける様に道路を進んで行く姿を、大通りの通行人は一様にある道具を用いて観察していた。

 片目に当てて使用する形状の望遠鏡の様なマジックアイテムは、覗いたモンスターの情報を表示させる能力を持つ。

「ほぉ・・・・・・」

「すげえ・・・・・・あの歳でDランクかよ」

 感嘆の声に機嫌を良くした少女がペガサスを嘶かせると、興奮した群集達がどよめいた。

 そのお陰で然程広くも無い道が渋滞状態になっている事なんて、彼等にとってはどうでも良い事なのだろう。

 見せびらかす事に夢中になった契約者と、下らない好奇心で足を止める通行人。

 遠巻きにその光景を眺めていたが、何時まで経っても渋滞が解消される予兆は見えない。

「くそ・・・・・・何だよ、あいつら。人の迷惑考えないで」

 誰にも聞こえない程小さな愚痴を呟き、渋々ルートを変更するために来た道を引き返す。

 レアモンスターを珍しがるのは理解出来なくはないが、社会には護らなければならないルールと言う物があるだろう。

 ――やはり、群集というのは愚かなものなのだ。

 人数が増えれば責任感や加害者意識が希薄化し、当然愚者の仲間入りを果たしてしまう。

「・・・・・・」

 この思想が今日から所属する組織での孤立の原因となったとしても、自分という個の考えは貫き通さなければならない。

 そんな決意を胸に抱いて、少年は青い塗料で塗装された偽物の空を見上げた。



巨大な三階建ての施設の門へと辿り着き、間に合った事に安堵の溜め息を吐いた。

 初出勤の緊張こそあったが、学生時代に何度も見学に訪れた事があったし、ドームの中央にある建物の位置を見失う筈が無い。

「・・・・・・ふー」

 モンスターを連れた魔物使い達が敷地内を行き交う中、意を決して足を踏み入れ、玄関へと向かう。

 硬質な鱗で身体中を覆った竜人に、鎧を着込んだ骸骨。

 気まぐれで人間を殺せるモンスター達と目が合わない様に俯きながら歩き続けて施設内に到着して、ロビーにあった案内板へと近付く。

(・・・・・・あ。あれか)

 保安部第六課と表記された部屋への道筋を頭に入れ、忘れない様に何も考えずに俯いて歩き出した、その時。

「あ、あのー?第六課ってどちらに・・・・・・?」

 突然の声に早速ルートを忘れてしまい、心の中で舌打ちを打ちながら振り返った。

「・・・・・・そこに、案内板あるんで」

 声は十代半ばの少女の物。

 何も考えずに普段の鬱憤をぶつけた事に少しだけ後悔して、少年は一度振り返り――息を呑んだ。

 非の打ち所の無い少女の容姿は、老若男女が問わず見惚れる美麗さを持っていた。

 身長は少し高く、痩せ気味で、腰まで伸びた銀の長髪には幾つかの飾りが付けられている。

 病的に白い皮膚に数秒間見惚れた後、閉じられた大きな瞳を不審がり――彼女の右手に握られた長い棒に目を投げた時、先程の後悔が質量を増して圧し掛かった。

「ああ、本当!ごめんなさい、気付かなかったの・・・・・・ありがとうね」

 すぐ傍の案内板の存在に気付かなかったのは、彼女の不注意ではない。

「――あ、いや、そ、の・・・・・・」

 少年の返答に混じった微かな苛立ちを容易に感じ取った理由は、普段から五感の一つを他で補っているからだ。

 身体、精神障害者が配属される第六課への道を聞いているんだから、ある程度気を利かせるのが正解だったのに――

「・・・・・・三階なんで、難しいと思います。職員呼んで来るんで、待ってて下さい」

「え、あ、いや――大丈夫、です。助けてくれる子が、居るので」

 駆け出した足を止め、彼女の言葉を聞き、まじまじと辺りを観察する。

 ロビーの連中に彼女の連れが居るようには見えないし、こちらを見るモンスターなど一匹も居ない。

「此処だ、此処」

 へ?

 足元からイヤに渋い男性の声が聞こえ、筋肉を軋ませながらゆっくりと見下ろした。

 足元に居たのは――子犬。

 目が合った時に「そう、俺だよ」と渋い声で喋ったのだから、間違いない。

 たまたま名前を知っていたが、どう見てもオレンジカラーのポメラニアンにしか見えないんだけど・・・・・・っていうかマナーウェア履いてるんですけど・・・・・・。

「すまんな、連れが迷惑掛けた様でよ・・・・・・階段は何時もリードしてやってるから、介助は要らん。礼を言うぜ」

「え、あ、はい。それ、じゃ」

 勢いに押されてしまったが、いや、あんなモンスター居るんだ・・・・・・マナーウェア履くモンスターなんて居るんだ。

(はじめて見たな・・・・・・マナーウェア履いたモンスター)

 廊下を曲がる前に後ろを振り返ると、彼は盲導犬の役目は十分に果たしている様で、危な気無く中睦まじく二人は廊下を歩いている。

「・・・・・・急ご。あと三分も無い」

 ちょっとシャレにならないレベルで遅刻しようとしていた事に気付き、少年は歩みをターボさせた。



一時は道順を忘れてマナーウェアを履いたポメラニアン達に追い越されたりもしたが、ギリッギリ遅刻にはならなかった。

「・・・・・・遅刻二秒前、ぎりぎりセーフですね」

「中々遅かったな。途中で追い越したときは思わずガッツポーズしたが」

「あはは・・・・・・大丈夫でしたか?」

 会議室に居た職員からの呆れの視線、ポメラニアンの軽口、盲目の少女からの気遣い。

 その全てが少年の心を抉っていたのだが、生憎自分はこの程度のストレスには慣れているのだ。

 学校生活十二年をぼっちで過ごした自分にとって、この程度は生温い。

 そんな事を考えて精神を防御していると、何時の間にか全員が会議用の椅子に着座していた。

「んー、それで、今日から支部の職員として働いてもらう事になるんだけど」

 頭をコリコリ掻きながら、女性職員が手元の資料を眺めて言った。

「レイヤさんはともかく、山城君はモンスターを使役していないのよね?」

「ンッフ・・・・・・はい」

 ポメラニアンが"こいつマジで?"と首を傾げてこちらを見るというシュールな光景に笑いを堪えながら、真面目な雰囲気で返事をする。

「・・・・・・君は一から教える必要がありそうね。着いて来て。レイヤさんは其処に居てね」

 椅子から立ち上がった職員に追従し、会議室から退出する。

「・・・・・・ンッフ」

 退出する前に一度振り返り、ポメラニアンの"こいつマジで?"という表情を見て、また笑った。

真面目な小説書くのは疲れるので、終盤はふざけた感じです


他の犬種を飼った事が無いのでわかりませんが、ポメラニアンって、"こいつマジで?"

という顔をするんですよね


書き上げた物を八回くらい通し読みして改稿しなければ身体がむず痒くなるんですが、

賞に応募する予定で無ければそのモチベーションも湧きません

なので、多分なろうに小説を投稿する頻度は多くないです

不特定多数に読まれると思えば、次の話書いてる時に嫌でも意識しなきゃいけないし


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