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閃光の夢 8

 ユウトが目覚めるとそこはいつものユウトの部屋だった。

(閃光の夢か)

 ユウトは5年前の魔法祭を思い出していた。

 あの魔法祭でユウトは光の魔法である、ライトニングブレイブを使い魔王となり、同世代の夢となった

 だから少女が言ったことは合っているのかもしれない。

「あっ、そうだ、エレナの試合に行かないと」

 ユウトは白い魔剣を左腰に差して、更にクローゼットから旅行鞄を取り出し、その中にある変わった形をした黒い魔剣を取り出した。

「魔女」

 ユウトは一言つぶやいた後、その魔剣を右腰に差して部屋のドアを開けた。

 開けた先の廊下にはレイシアが立っていて、ユウトを見つめていた。

「まさか、1時間で起きるとはね。ユウト君の耐性を甘く見ていたわ」

「そんなことはどうでもいい。試合はどうなった?」

「まだやっているわ。他のみんなは応援に行っているわ。でも、正直エレナはもうそろそろ限界よ」

「そうか」

 ユウトは短く返事をしてレイシアの横を通り過ぎようとする。

「ユウト君、いつもよりかっこいいわよ。何か覚悟ができたような眼をしていて、なんだか嫉妬しちゃう」

「覚悟か」

「ねえ、ユウト君。私がエレナみたいな状況になっても助けてくれる?」

「当然、助けるよ」

 ユウトはレイシアの問いに間隔を開けずに言う。するとレイシアは嬉しそうにしてユウトに抱きついた。

「魔王の力を見せましょう。ユウト君」

「ああ」

 ユウトとレイシアは演習場に向かって走った。


「せやあ」

 エレナは6体目の水のゴーレムを斬り伏せたのだが、アルヴィンは再び大剣を振り、ゴーレムを作成した。

「息も上がってきているようだが、そろそろ諦めたらどうだ?」

 アルヴィンの言う通りエレナは肩で息をしていた。

「嫌ですわ」

 エレナは真っ直ぐアルヴィンを睨みながらきっぱりと言う。

「では、その意志を折ってやろう」

 アルヴィンは大剣を振り更に水を撒いた。

 その水は動き出し兵士の形となり、さっき作成されたものも含めて合計10体がエレナの前に立った。

「2体でもあれほど苦戦していたがどれだけもつだろうかな」

 水のできた兵士達は一斉にエレナに斬りかかった。

 エレナはハルバードをかわし、その腕を斬り落とすが、すぐに再生する上に他の兵士が間を開けずにショートソードを振り下ろす。

 すんでの所でかわし、カウンターに突いたのだが、それが仇となった。

 エレナの考えでは、兵士は水となって崩れ落ちるはずだったのだが、兵士は崩れずレイピアをしっかり握っていた。

「ああ、そうだ。言うのを忘れていたがそいつらは雷を通さない奴だからな」

 アルヴィンは笑いながら言うが、エレナは無視して必死にレイピアを抜こうとしている。

 レイピアは抜けずエレナは斧に斬られ、槍に刺されるなどをされた。

 最後にハンマーの横振りを食らいレイピアごと吹き飛ばされて、遺跡の柱に身体を打ち付けられる。

「…ごほごほ」

 痛みで息ができないのだが血が出ているわけではないので戦えないわけではない。

 エレナは必死に身体を動かそうとするが震えてしまい立てない。

「痛いだろ? ここで諦めれば痛みに耐える必要も無くなるぞ」

 アルヴィンがエレナに向かって語りかけるように言うが、エレナは聞かずに立ち上がる。

「…わたくしが…諦めるわけにはいきませんわ」

「ほう、これならどうだ」

 アルヴィンは兵士に命令を出した。

 全ての兵士は連携するように動いて、エレナをいたぶるように攻撃をし続けた。

「くっ、あ」

 エレナは痛みで苦しくても決してレイピアを手放そうとしないでアルヴィンを睨んでいた。

「強気なのはいいが、それほど強情なのはよくはないな。俺もいたぶるのは好きでないのだがな」

「嘘を…つかないで、あなたはわたくしを…いたぶるのを愉しんでいたじゃないですの」

 エレナは強気に言うが身体は言うことが聞かず起きられないでいた。

(情けないですわ。こんな男にやられるなんて)

「ほう、愉しんでいるか。そうだな俺はお前をいたぶって愉しんでいるぞ。お前の様なプライドの高い女はいい声で鳴くからな」

 高らかとアルヴィンは笑う。

「あなたは下種ですわ…。それも最底辺の」

 エレナは気分を害されたような表情をして言う。

「何とでも言うといい、お前は俺に負けて妻となるのだからな」

「―ッ」

 エレナは悔しそうに唇を血が出るほど噛みながらアルヴィンを睨む。

「さて、いたぶるのは終わりにするか。いたぶるのは結婚した後にでもできるのだからな」

 アルヴィンは右手をエレナの方に向けて突き出し、魔力を込め出した。

水流乱アクアスパイラル

 渦状になった水の塊がエレナに向かって放たれる。

 演習場内でなければ、肉が切れてバラバラになってしまうような暴力の嵐となった水。

 エレナは身体が動かせず、かわすことができないが、自分が受けるであろう痛みのことを考えていなかった。

(ユウトさん…)

 自分の彼氏役を引き受けてくれた黒髪の少年、優しく、命を懸けて戦い傷ついても立ち上がる、誰よりも強いけど、弱さを抱えている彼のことを考えていた。

 あと少しで水に触れるというところで黒いものがエレナの前に立って、水の渦を叩き潰した。


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