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閃光の夢 7

エレナが試合会場である第7演習場に入るとアルヴィンとその執事がすでに待っていた。

第7演習場は遺跡風の場所になっており、柱や石が転がっている。

「奴はどうした? 怖くて昨夜の内に逃げ出したか」

アルヴィンは侮蔑を含んだ笑みをしながら言う。

「あなた達くらいならわたくし1人で十分なのですわ。だからユウトさんには休んでもらっていますの」

エレナは髪を手で払いながら言う。

「ほう。なかなかの自信だな。だが、俺の妻となる女としては十分な素質を持っているようだな」

アルヴィンは舐めるような視線でエレナを見るが、エレナは怯えることもなくアルヴィンを睨んでいた。

「だが2人で1人と戦うのは気が引けるな」

「では、わたくしめが行きましょう」

執事が提案をするがアルヴィンは前に出て、

「いや、俺がやろう。ここでどちらが強いかを示しておけば夫婦生活も円滑に進むだろう」

「そんなことはいいから早くしませんこと?」

「ああ。そうだな」

アルヴィンは大剣を抜いて振りまわす、その大剣から水が飛び散り、その水が動き出し2体の兵士の形になった。

「さあ、狩りの時間だ」


ユウトは影の中を漂っていた。

その影の世界が夢であるとユウトは自覚していた。

光もなく、出口もない。

上も下もないがユウトはどこに向かうのかわからないが進んでいく。

『どうして、あなたは』

どこからか少女の声が聞こえてくる。

「誰かいるのか!?」

ユウトが叫ぶが返事はなく、ユウトの声が響くだけだった。

「夢なら早く覚めろよ。俺はエレナの元に行かなければならないのに」

『自分のことしか考えていない欲望塗れの人間を助けて何になるの?』

声と共に少女がユウトの前に現れた。

その少女の顔は影で隠れて誰なのかわからないがその少女の髪が黒色だということだけがわかった。

「君は誰なんだ?」

『いくら護っても壊される。それだったらもう私は―。でもあなたそれでも』

ユウトは少女が何を言っているのかわからなかった。でも―。

『どうしてあなたは人を助けるの? 裏切られるのに』

「確かに、無駄かもな」

『そうでしょ?』

「昔はそう思っていたけど、今はそうは思わない」

『どうして?』

「他の奴の為でなく俺の為に護っているんだよ。俺の魂の輝きを保つ為と俺に向けの笑顔を見る為にな。そう考えれば無駄じゃあないだろ?」

ユウトは自分のチームメイト達や友人の顔を思い出しながら言う。

『わからないわからないわからないわからないわからない』

少女の悲痛な叫び声に反応して辺りにある影が動き出す。

影が増えれば増えるほどユウトと少女の距離は離れて行き、どんどん小さくなる。

「待ってくれ!!」

ユウトが手を伸ばすが影が行く手を塞ぎ少女には届かない。

(何かないのか? 彼女に手を差し伸べる方法は)

ユウトは方法を必死で探した。これが夢で目を覚めたら消えてなくなってしまうとしても、

「ッ!!」

ユウトの左手が痛み、ユウトが見ると左手にはどこから現われてのかわからないがダガーが握られていた。

そのダガーはどこにでもあるような装飾すらない安物のものだったが、影はダガーに恐れていた。

「これなら」

ユウトはダガーで数百と増えた影を斬り裂きながら少女へと向かって走る。

ダガーに斬られた影は霧散するが、いくら斬っても影は減らず少女までの距離はちじまらない。

「邪魔をするな!!」

斬って、斬って、斬って、斬って、斬って、斬ってユウトはひたすら斬り続けた。

影は少女に近づいていくにつれて攻撃的となり、1撃、1撃が第2階梯以上の魔法の威力で攻撃をしてきて、ユウトは意識を奪われそうになるが唇を噛んでひたすら進み続けた。

『ッ!!』

ユウトは少女の前に着くと、少女は驚いていた。

『どうして? あなたはボロボロになってまで私を。これは夢で、あなたが起きれば全てなくなるのよ』

「たとえ、夢だとしてもお前がそんな悲しそうな涙声で話していたら助けずにいられないだろ」

『でも、あなたは私のことなんかわからないはず』

「そうだな。俺はお前のことはわからないけどお前の心が助けを求めていることくらいはわかるんだよ」

『助けを求めている? 私の心が』

ユウトの言葉に驚いて後ろに下がろうとするが、ユウトはダガーを捨てて少女の手を掴んだ。

『ッ!!』

「お前がどれだけ絶望しても、俺がその絶望を斬り裂いてお前に手を差し伸べるからお前は俺の手を取ってくれ、そうしたら、お前を救ってやるから」

ユウトがそう言うと、捨てたダガーが輝き出し、全ての影を照らし消し去った。

『ユウト…』

少女は涙声で言う。でも今度の涙声は悲しさを含んだものではなく嬉しさを含んだものだった。

「ああ」

そうユウトが言うと、ユウトの身体が光り出した。

『もう時間なのね』

「そうか。なあ、また会えるか?」

『ええ。今度は夢じゃなくて現実で』

「そうか。じゃあ、またな」

ユウトが少女に別れを告げると、

『かっこよかったよ。まるで閃光の夢ね』

少女がそう返事をした。

次の瞬間、ユウトの意識が遠退いて行った。


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