閃光の夢 6
アルヴィンは学園都市にあるホテルの1室でワインをグラスに入れながらくつろいでいた。
「おい」
アルヴィンは自分の執事を呼んだ。
執事はすぐにアルヴィンの元まで行き、恭しく礼をした。
「若、どういたしましたか?」
「これで、俺の身分も上がり、王への道も近づいてきたのだが」
アルヴィンはワインを一気に呑み、
「あの東方人が邪魔だ。俺を邪魔するあの東方人について調べてあるか?」
「はい。もちろんでございます」
そう言い執事は紙をアルヴィンに渡した。
「これだけか?」
「はい。あやつの情報はほとんど明かされてなく、唯一分かっていることは魔法が使えず、剣だけで戦っているそうでございます」
「魔法が使えないか。全く、東方人はそんなできそこないばかりだな」
アルヴィンは笑いながらワインのボトルからグラスに注いだ。
「そうでございますな」
「だが、その東方人の所為であのような小娘の家に媚びるように結婚しなければならないとは屈辱だ」
アルヴィンは顔をしかめながら言う。
「そうでございますな。あれがなければ若は今頃王になっているはずでございましたのに」
「そうだな。あのゴミがいなければ父も家も没落しなく、名前を変える必要もなかったのだがな。忌々しい東方人め」
アルヴィンのような東方人差別をする人間は今ではだいぶ減ってきたのだが、まだ根が深く多くの貴族が差別をしている。
アルヴィンの家は魔獣の乱獲、乱獲した魔獣を改造、合成魔獣の作成などといった法を犯したことをしてきた。
3年前、ある東方人を捕らえた。
その東方人はどんな怪我をしても数日で治るという体質を持っていた。
アルヴィンとその父はその東方人の少年を研究所に運び、研究者に再生能力を持つ魔獣を作らせようとした。
だが、しばらくした後、捕らえていた全ての魔獣が解き放たれて研究所にいた全ての研究員は殺され、研究所は壊滅した。
そのことが王都に伝わり大本であったアルヴィンの家は貴族としての爵位と領地を王国に没収された。
だが、アルヴィンの父は賄賂などをしていた為、王都の役人にパイプがあり、振興貴族として家を新たに創った。
「俺が王になったら全ての東方人を捕らえ、生き残った奴だけが出れるなどと言って殺し合いをさせよう」
「流石、若ですな。素晴らしいお考えをお持ちで」
アルヴィンとその執事は笑い合った。
次の日、ユウトの部屋でチームのメンバーで話しあっていた。
「ユウトさん。調子はどうですの?」
「肋骨は何本か折れているけど別に戦えないわけじゃあないから大丈夫」
「ユウ君。無理しては駄目ですよ」
「ああ。わかっている」
「ユウトさん」
「エレナどうした?」
エレナはユウトを真っ直ぐ見つめて、
「その、今回はありがとうございますですわ」
「いや、いいよ」
「そのお礼ということでわたくしがユウトさんの為にお茶を入れますわ」
そう言い、エレナは調理場の方に向かって行った。
数分後、ポットに紅茶を入れて戻ってきた。
そのポットからカップに入れた。
その紅茶は茶葉がいいのか色が良く出ていた。
「ありがとう」
ユウトはエレナからカップを受け取り、口をつけた。
「ッ―!!」
ユウトはカップを落とす。
「レイシア!!お前…」
ユウトは頭を抱えながらレイシアを睨んだ。
「ユウト君ごめんなさい。これはエレナが望んだことだから」
ユウトはエレナを見て、
「エレナ…」
そう言い倒れた。
「レイシア、エレナ。ユウトに何をしたのだ!?」
「何もしていないわ。ただ睡眠のポーションを紅茶に混ぜて飲ませたのよ」
「どうしてそんなことをしたのよ!?」
フレイヤはレイシアに詰め寄った。
「それはこれ以上ユウトさんに無理をさせないようにする為ですわ」
レイシアの代わりにエレナが答えた。
「このままだと、ユウトさんは試合に出ようとしますわ。そうすると対校戦でユウトさんの願いを叶えられなくなりますわ」
「でも、あんたはどうするのよ」
「1人で戦いますわ。あの程度ならわたくし1人でやれますわ」
「でも、負けたら」
「わかっていますわ」
「だったらどうして!?」
「ただユウトさんが願いを叶えて笑っていてくればいいですわ」
エレナは遠くを見るようにして言う。
「でも、それだとユウ君は願いを叶えても笑いません」
「そうですわね。でも、彼の為ですわ」
そう言い、エレナは部屋から出て行こうとする。
「エレナ」
レイシアがエレナに声をかける。
「一応あれは私のオリジナルのポーションで1口でも飲めば2日は寝ているけど、ユウト君はポーションに耐性があるからすぐに起きるかもしれないわよ」
「それでも構いませんわ。少しでも時間を稼げれば」
そう言いエレナは部屋から出て行った。




