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閃光の夢 5

 ユウト達が学園に帰ると校門の前に執事を連れたマントをはおった金髪で高身長美形な男がいた。

 その男はユウト達の姿を見つけると下から上へ舐めるようなにエレナとミリルを見た。

 エレナとミリルはかなりの美少女で普通に歩いていれば誰もが見つめてしまうのだが、男の視線は厭らしく不快なもので、エレナは普段出さないくらい不快な表情をしていた。

「若」

 執事が男に声をかけた。

 男はエレナとミリルを見るのを止めて、自信あふれるような堂々とした表情となり、

「すまない。未来の妻とそのメイドに見とれていた」

「あなたはもしかして」

「ああ。俺がアルヴィン・ヴァナンディだ。エレナ・ミルレスト」

 それを聞いた後、ミリルは挨拶をしようとするがエレナが手で制止させて、

「ミリル。その男に挨拶などしなくていいですわ。あと、気安く呼ばないでくださいな」

 エレナが不機嫌そうに言うと、執事は眉を顰めて何か言おうとしたが、男は目で執事を黙らせた。

「ほう、なかなか威勢のいいお嬢様だ。調教のしがいがある」

「若」

「ああ。そうだな。だが、俺達は結婚するのだから構わんだろう」

「結婚する予定もありませんわ。あと、わたくしには恋人がいますわ。ねえ、ユウトさん」

 エレナがそう言うとアルヴィンとその執事の視線がユウトに集まる。

「…」

 ユウトはエレナの言葉どころか何も聞こえていないかのようにアルヴィンを凝視していた。

「ユウトさん?」

 エレナがユウトの肩を叩くとハッとしてエレナの方を見た。

「どうしたのですの?」

「いや、あいつ見たことがある気がして」

 ユウトは笑いながらエレナにだけ聞こえる声で話す。

 エレナは笑っているユウトを見て寒気がした。

 そこにいるのがユウトではなくユウトの姿をした何かのような気がした。

 だけどそのことはエレナしか気がついていなかった。

「そのような間抜けが恋人だと。笑わせる」

 アルヴィンは侮蔑を含んだ笑みをしながら言う。

「そいつと別れて、俺と結婚しようではないか。俺は今年の魔法祭で魔王になると言われているくらいだ。そいつと俺とじゃあどちらが家の為になるかわかるだろう?」

「ユウトさんだって強いですわ」

 エレナがそう言うと、アルヴィンは眉を上げて、

「ほう。だったら試してみるか? 明日俺と俺の執事の2人で君とそいつ戦うということでどうだ?」

「構いませんわ」

 アルヴィンの提案にエレナはすぐさま了承した。

「そうか。だがまずは―」

 アルヴィンはユウトに向かって右手を突き出し圧縮した水を放った。

 それはユウトの胸部に当たりユウトは後ろに飛ばされて木に叩きつけられる。

「何をするのですの!?」

「すまないな。こいつの実力がわからないとこちらも手加減ができないからなその為にやったことだがこの程度もかわすことができないならかなり手加減しなければならないな」

 アルヴィンは笑いながら言う。

「ごほごほ」

 ユウトは胸を押さえて苦しそうにしていた。

「ユウト」

 後ろからついて来ていたフレイヤ達がユウトの元へ走る。

「ユウ君、大丈夫ですか?」

 リュッカの声にユウトは頷くが誰がどう見ても辛いというのはわかっていた。

「その東方人はお嬢様方に取り入るのが上手のようだが、これでわかったと思うがそいつより俺の方が強い。お嬢様方もそいつを捨てて俺の方に来ないか? 俺は最強の魔王と言われている3人倒して真の魔王になるのだからな。今なら特別待遇で迎えてやろう」

 アルヴィンは口を笑みで歪ませながら言う。

「断るわ」

「嫌ね」

「嫌です」

「嫌だ」

 4人とも間を開けることなく言い放った。

 アルヴィンは不快という表情をしたがすぐに表情を戻し、

「まあ。いい。明日の試合を見れば心も変わるだろう。まあ、そいつが試合に出れるかわからないがな」

「出るに決まっているだろ!」

 ユウトは起き上がり、真っ直ぐアルヴィンを睨んだ。

「ほう。では、明日の試合を楽しみにしている」

 アルヴィンは執事を連れて校門から学園都市の方へ向って行く。

 完璧に姿が見えなくなるまでユウトはアルヴィンを睨んでいた。

「エレナ、どういうことよ」

 フレイヤはエレナに問いかける。

「…」

「エレナ、答えなさいよ!」

 黙っているエレナにフレイヤは更に問いかける。

「あれはお嬢様の政略結婚の相手で―」

「ミリル」

 エレナが止めようとするが、

「お嬢様、ユウトさんが怪我をしてしまっているからには皆さんに説明するしかありません」

「…そうですわね」

「それであいつがエレナの政略結婚の相手って分かったけど、続きは?」

「はい。それで、その政略結婚を壊す為にユウトさんに恋人役をしてもらったのです」

「でも、どうしてそのことを秘密にしていたのですか?」

「それはお嬢様が皆さんを巻き込まれないようということで」

 リュッカの質問にミリルが答えると、フレイヤはため息をついて

「あたし達はチームなのよ。それくらい巻き込まれても平気よ。だから、今度はあたし達にも相談しなさいよね」

 フレイヤの言葉にエレナはハッとした表情になり、エレナはフレイヤ達の顔を見た。

 リュッカ達もフレイヤと同じように相談しなさいという表情をしていた。

「皆さん」

「よかったな。いい仲間に囲まれて」

 ユウトがエレナの肩を叩いて言うと、フレイヤがユウトの方を見て、

「あんただって何かあったら頼ってよ」

「ああ。何かあったらな」

 ユウトはそう言い部屋に向かった。


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