閃光の夢 2
「え、えっ?」
ミリルは、エレナの背中を押してさっきまでミリルが座っていた位置にエレナを座らせた。
「ユウトさんもどうぞ」
ミリルはユウトに微笑みながら言う。
「ユウトさん」
エレナは頬を赤くして上目づかいでユウトを見た。
「いいのか?」
「は、はい。も、もちろんですわ」
「じゃあ、いくぞ」
ユウトがそう言うと、エレナは緊張して身体を強張らせた。
ユウトはエレナの膝の上に頭を乗せた。
「ど、どうですの?」
「ああ、いいよ」
ユウトが感想を言うと、エレナは花が開いたように笑った。
「そ、そうですの。よかったですわ」
「お嬢様、頭を撫でてください」
ミリルの言葉に更に顔を赤くした。
「う、うう。分かりましたわ」
エレナは恐る恐るユウトの頭に触った。
「あ、あれ? 意外とやわらかくて撫で心地がいいですわね」
「そうですね。お嬢様」
エレナの言葉にミリルも頷き、賛同する。
「撫でるのはいいけど、俺は少し寝るぞ」
「わかりましたわ」
ユウトは瞼を閉じた。
寝るとは言ったが、一旦頭の中を整理する為だ。
自分の左手の甲に出た紋章と大弓。
紋章はまだ完成していない為、何を表しているのかユウトには分からなかった。
でも、紋章とスティア、大弓、スティアの弓が繋がっているのは確かというのは分かっていた。
(魔力を消費しなくてもマナ障壁を壊すことができるならなんでもいいか)
ガチャ
ドアを開ける音がしたのでユウトは片眼を開けてドアの方を見た。
「ユウト君。帰って来ている?」
そう言い、レイシアが入ってきた。
ユウトはチームメイト達に鍵を破壊されるのを防ぐために合い鍵を渡しておいた。
だから勝手にユウトの部屋に入ってくる。
勝手に入ってきたレイシアとユウトは目が合った。
レイシアは茫然としてユウトとエレナを見ていた。
「レイシア?」
ユウトが声をかけるとレイシアは目に涙を溜めて、
「うわーん、ユウト君がー」
そう言い、部屋の外に向かって走っていった。
すると、レイシアと入れ替わるようにフレイヤ達が入ってきた。
「ユウト、どうしたのよ。レイシ―」
フレイヤもユウトとエレナを見て固まった。
その後に入ってきたリュッカとスティアも固まっていた。
「あ、あんた達何しているのよ!!」
ユウトはフレイヤの声を聞いて、飛び起きた。
「みなさん。恋人同士の逢瀬を邪魔してはいけませんよ」
ミリルはあたふたしているエレナとユウトに助け船を出した。
「「「恋人!?」」」
3人ともミリルの言葉に驚きながらユウトとエレナを見た。
「ゆ、ユウト。ほんとなの?」
フレイヤは真っ直ぐとユウトを見つめた。
ユウトはエレナの顔を見た後、フレイヤを見ながら、エレナの肩を抱いた。
「ああ。俺とエレナは恋人だ」
ユウトに寄せられたエレナは顔を真っ赤にして俯く。
「「「―ッ!!」」」
フレイヤ達はビクッと身体を震えさせた。
「ユウ君、参考までに彼女のどこがいいのか教えてくれませんか?」
リュッカは笑顔で訊く。
リュッカはできるだけ笑顔で訊こうとしているのだが、ユウトにはかなり不機嫌だということがわかっていた。
「えーと、まず、料理が上手なところだな」
「料理なら私もできます」
「私もだ」
「あたしもよ」
ユウトの言葉にリュッカ達は張り合う。
ユウトは1度、こほんっと咳をして、続けようとした。
「あとは、優しくって、笑顔が可愛いところだな」
「う、うう」
エレナはユウトの言葉に恥ずかしくなって更に赤くなる。
「じゃあ、俺達これから出かけるから、これくらいでいいか?」
ユウトはそう言い、リュッカ達の返事を待たないでエレナの肩を抱いたまま部屋の外に向かった。
「お嬢様、ユウトさん、待ってください」
ミリルもユウトとエレナの後を追った。




