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閃光の夢 1

ユウトはエレナの言葉に驚いていた。

ユウトは自分がまさか告白されるとは思っていなかった。

「エレナ? どうゆうことだ?」

「…」

「ミリル?」

ユウトの問いにエレナは答えないので、ユウトはミリルに訊いた。

「はい。ユウトさん、これを読んでください」

ミリルはエレナから羊皮紙を受け取り、ユウトに渡した。

ユウトはそれを受け取り、開けた。

そこには、アルヴィン・ヴァナンディと政略結婚をするようにと書いてあった。

「なるほどな」

「はい。その方とお嬢様は政略結婚しなければなりません」

「政略結婚か…。エレナの父からの提案なのか?」

「いえ、向こうの親が提案してきました」

「そうか。でも向こうに何かあるのか?」

エレナの家のミルレスト家は、王国では、身分や権力の強さが上なのは王族くらいしかいない。

それなのにエレナの父親が政略結婚をさせようとするということは、鉱山資源などの何か利益があるはず。

「向こうの家の次期頭首―、つまり、お嬢様の政略結婚相手が相当な使い手だそうです」

「そうか。ということは、魔王になるくらい強いということか?」

「はい。今年の魔法祭の魔王候補の1人としてあげられるくらいに強いそうです」

「なるほどな。それは結構な腕だけど」

ユウトはエレナの方を真っ直ぐ見て、

「エレナは、そいつと結婚したくないんだよな」

「はい」

「じゃあ、俺の答えは決まっている。エレナ、俺は君の偽彼氏になる」

ユウトがそう言うと、エレナは顔を上げて、

「ありがとうございますですわ」

「いや、別にいいよ。俺も結婚されてチームから抜けられると困るから」

ユウトがそう言うと、ミリルはくすくすと笑いだす。

「では、ユウトさん、これを見てください」

ミリルが2枚の羊皮紙を取り出し、1枚をユウトにもう1枚をエレナに渡した。

「お父様…」

エレナは羊皮紙を見て泣いていた。

「どうした?」

「いえ、大丈夫ですわ。これを見て少し涙腺が緩んだだけですわ」

「見せてもらってもいいか?」

「はいですわ」

ユウトはエレナから羊皮紙を受け取り、見た。

『私の可愛い娘、エレナへ

今回の政略結婚は領主としては、薦めるのだが、父としてはエレナには好きな人と結婚して欲しい。だからエレナ嫌なら、エレナが手紙で教えてくれた彼に偽物の彼氏をやってもらって、この結婚を破談にするんだよ。 父より』

愛に溢れた内容だった。

ユウトはその羊皮紙をエレナに返して、自分に渡された羊皮紙を見た。

「ははは」

羊皮紙を見た途端、ユウトは笑い出した。

「ユウトさん、どうしたのですの?」

「いや、エレナの父親に会ってみたくなっただけだから」

「そ、そうですの」

ユウトの言葉に何か勘違いしたエレナは顔を赤くしてもじもじする。

「まあ。とりあえず偽彼氏としてよろしく」

「はいですわ。でも、このことはフレイヤ達に言わないでくださいな」

エレナはチームメイトに心配させないようにという意味で言わないで言った。

「このことというのは、政略結婚だけでいいんだよな?」

ユウトが訊くと、エレナは首を横に振った。

「いえ、偽彼氏のことも黙っていてくださいな。皆さんにどうして偽をしているのか訊かれても困りますので、ユウトさん、皆さんに黙っていてくださいな」

「ああ。わかった」

ユウトは了承した。

ユウトは自分が探られて、ぼろが出ることで、エレナの政略結婚をチームメイトに知られ、心配されるのを防ぐためだ。

(でも正直、後処理が大変そうだな)

彼女ができたなどとチームメイトに言ったら、世にも恐ろしい方法でその発言を撤回させるか、理由を言わせるだろう。

そんな想像をしたユウトは震えたが、エレナの為だと自分に言い聞かせた。

「でも、とりあえず今は休ませてくれないか? 帰って間もないんだ」

「そうでしたわね」

「お嬢様、提案があります」

ミリルはエレナに耳打ちした。

それを聞いたエレナは顔を赤くして口を開いてぱくぱくしていた。

「はわ、はわ、み、ミリル。な、何を言うのですの!? そんなはしたないことわたくしできませんわ」

エレナがそう言うと、ミリルは悪戯っぽく笑み、

「では、私がやらせていただきますね」

ミリルはソファーの端に座って、膝の上を手で叩いた。

「ユウトさん、どうぞ」

「え? えーと」

ユウトが困惑していると、ミリルはもう1度膝を叩いて、

「ユ、ウ、トさん、どうぞ」

一言、一言を強調しながら言う。

「あっ、はい」

ユウトはミリルの勢いに押されて膝の上に頭を乗せた。

「どうですか?」

「え、えーと」

ユウトがどぎまぎしているとミリルは微笑み、

「どうぞ、自由に感想を言ってください」

「やわらかくて、その寝心地いいよ」

「それは、よかったです」

そう言い、ミリルはエレナに見せつけるように微笑みながらユウトの頭を撫でた。

ユウトはエレナの方をみた。

エレナは唇を噛んで、悔しそうにしていた。

それをミリルはエレナの表情を愉しんでいた。

(もしかして、ミリルって―)

「なあ。ミリル。お前って、いじめるのが好きだろ?」

ユウトはミリルだけに聞こえるような声で訊いた。

「はい、お嬢様をいじめるのは好きですよ。でも、ユウトさんにならいじめられたいですよ。もちろん性的な意味で、ですけど」

ミリルも小さな声で言った。

「そ、それって―」

「2人だけで、こそこそ話しをしないでくださいな!」

エレナが怒りながら言う。

「そうでしたね。では、お嬢様どうぞ」

ミリルはユウトを起こして、ソファーから立った。

そのときにユウトだけに見えるようにウィンクした。

ユウトはドキッとしたが、顔に出さなかった。


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