氷の流星 12
ユウトとスティアが凍った森を抜けると盗賊達はユウトとスティアが乗ってきた馬を連れて平原に立っていた。
盗賊達は逃げもせず大人しく捕まり、ユウトとスティアは彼らを軍に引き渡した。
ユウトとスティアが学園に戻ったのは、夜明ける頃だった。
「じゃあ、俺は学園長に報告に行ってくるから」
そう言い、ユウトが学園長室に向かおうとする。
「ユウト!!」
スティアがユウトに声をかける。
ユウトは振り返りスティアを見る。
「どうした?」
「魔女という者から伝言を頼まれていたのを忘れていた。
「魔女…。あいつに会ったのか?」
ユウトは眉をひそめた。
「直接会ったわけではないのだが、君が倒れている時に話しかけられたのだ」
「そうか。魔女はなんて?」
「私の剣を使えと、言っていた」
「そうか。伝えてくれてありがとう」
ユウトは遠くを見るような目で見ていた。
「魔女とは誰なのだ?」
「この世界の敵で、俺の取引相手だな」
「世界の敵…」
スティアは考えていた。
「あっ、これを返さないとな」
スティアはユウトの上着をユウトに渡した。
その上着をユウトは受け取り着た。
「やはり、君の方が似合っている」
「それは、どうも。じゃあ、行ってくる」
「うむ」
ユウトはスティアと別れて、学園長室に向かった。
ユウトは学園長室の前の廊下にいた。
ユウトはドアをノックした。
暫く待ったがルービナの返事はなかった。
(やっぱり、寝ているのか?)
夜明けたばかりで、ほとんどの者が寝静まっていて、起きているのは、街で1番の早く起きているパン屋くらいだろう。
(まあ。いるかどうかくらい確認するか)
ユウトはドアを開けて学園長室に入った。
そこでは、ルービナが乱れた髪を櫛で整えていた。
「ゆ、ユウト。入室を許可した覚えはないぞ」
「別に、いいだろ。俺とあんたの関係なら」
ユウトは腰を机の上に置いた。
「君の母親とは友人だったが、君とは、別に友人ではない」
「そうかよ。あいつら、捕まえたぞ」
「そう。ご苦労だった」
「あいつらのアジトに飛龍がきた」
ユウトがそう言うと、ルービナは眉をひそめた。
「それは、偽物達が飼っていた飛龍か?」
「いや、違う。だから俺としては軍の飼い慣らした飛龍と考えたけど、その様子だと違うようだな」
「ああ。軍が飛龍を出すなら君達を向かわせないからな」
「なると、飛龍を扱える勢力があるとしたら、それは、帝国くらいしかないか」
「だが、どうして帝国が偽物を襲うのか理由がわからない」
「ああ。偽物を襲う理由はわからない」
「ということは」
「ああ。俺とスティアを狙ったんだろ」
「だが、君達が行くことは他の者には伝えていない」
「兵士だろうが学生でもよかったのか、それとも俺達が来るのを予想できていたのか」
「前者は、飛龍の運用テストと戦力を削るのが目的か、後者は未来予知の魔眼か」
「ああ。魔眼の可能性が高いと思う」
「魔眼か…」
ルービナは昔を思い出すように窓の外を見た。
「何か、心当たりがあるのか?」
「いや、一応ないが…」
ユウトの問いにルービナはどこか煮え切れないような返事をする
「あんたらしくないな」
「そうだな」
「とりあえず、飛龍はスティアが狩ったから」
ユウトがそう言うと、ルービナは口を開けて驚いていた。
そのように驚いているルービナをユウトが見るのはこれで2度目だ。
1度目は入学試験でユウトと戦った
「1人でか?」
「ああ。俺はその時毒で倒れていたからな」
「君を倒すことができる毒についても気になるが、まずは、彼女が飛龍を1人でどうやって倒したかだ」
「直接は見ていないから詳しくはわからないが、矢で凍らせて殺したのは確かだ」
「ほう」
ルービナは興味津津のようだったが、ユウトは他のことを考えていた。
(あの炎のなかで凍らせるか…)
不可能ではない。実際、ユウトも炎を凍らせるということをしたが、あれはユウトの魔力を纏わせることで属性の特徴を強化させたのだが、それはユウトの魔力の純度が高いからできた。
だけど、スティアでは魔力の純度が足りないからできないのだとユウトは思っていた。
「ユウト?」
「すまない。考え事をしていた」
「それで、飛龍を倒す力は彼女にはなかったのだが、そんな短時間で強化か。君が何かしたのだな」
にやにやしながらルービナはユウトを見ていた。
「別に俺は何もしていない」
「そうか、そうか」
ルービナはにやにやして見ていた。
「勝手に想像するのは結構だが、帝国の動きを調べてくれよ」
憮然とした表情でユウトは言う。
「ああ。わかった。」
「じゃあ、報告は以上だ」
「そうか。では、ゆっくり休むといいと言いたいが、君のお嬢様達が許さないだろうな」
「ああ。あいつらといるとほんと退屈しない」
ユウトは苦笑いをして言う。
「どうだい? この学園にも愛着が湧いてきただろ」
「まあな」
ユウトは明後日の方向を見て、答える。
「ふふ」
ルービナは微笑みながらユウトを見た。
「なんだよ」
「いや、君も変わったと思って、な」
「そうだな。彼女達のおかげだな」
ユウトはそう言い、学園長室から出て行った
ユウトは汚れた身体を洗い、自室に戻るとエレナとミリルが立っていた。
「エレナ、ミリル、どうしたこんな時間に?」
ユウトが話しかけると、エレナは振り返りユウトを見た。
エレナの手には羊皮紙が握られていた。
「ユウトさん。わたくしの彼氏になってくださいな!!」




