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刺雷の騎士5

 次の日

 ユウトは試合会場である、第3演習場の控え室から試合会場に続く廊下にいた。

「んじゃあ。ウィル、カシャを頼んでもいいか?」

「おう」

「にゃー」

 カシャが『自分がいなくても大丈夫か?』って言う風に鳴く。

 ユウトはカシャの頭を優しく撫でて、

「大丈夫だよ。絶対勝ってくるから。あと勝ったらマルターニィのおっちゃんがご馳走作って祝勝会してくれるらしいから負けるわけないな」

 ユウトは今朝マルターニィに「がんばれよ」って言い背中を叩かれたのを思い出した。

「俺もそれ参加していいか?」

 ウィルは屈託のない笑顔でいう。

「もちろん」

「負けるなよ。ご馳走のためにも!!」

「おう」

 ユウトは気合の入った声で言う。

「じゃあ、そろそろ行ってくる」

 そう言いユウトは試合会場に向かって歩き出した。

「がんばれよ!!」

 ウィルはユウトの背中に声援を送った。

 そのユウトの背中の隣には月の光のような色をした髪を持つ少女の背中があった。

 ウィルが目をこすりもう一度よく見たらその少女はもうすでにいなくなっていた。

 試合会場に入ると生徒や教師で観客席は埋め尽くされていて、空いている席はなかった。

「すげえ人だな」

 ユウトが感心していると、

「お前なんかこの学園からいなくなれ!!」「早く負けろ!!」「魔法が使えない奴はここにいる資格はねえ」「FランクがAランクに勝てるわけねえんだよ」などといったことを言ってくる。

「さすがに傷つくぞ」

 ユウトは苦笑いをする。

「よく、逃げ出さないできましたわね。そのことだけは褒めて差し上げますわ」

 もうすでにエレナは試合会場にいて、ユウトを睨みつけていた。

「逃げたって、状況は変わんないからな」

「そうですわね。あなたはわざわざ、わたくしに負けにきたのですわ」

 エレナがユウトに向かって挑発をするがユウトは気にする様子もなくまっすぐエレナを見ていた。

(なんなのですの。この方のこの目は)

「2人とも準備はいいですか?」

 審判役の教師がユウトとエレナの2人に確認する。

「「はい」」

 2人は10メートルくらい離れたところに立ち、ユウトはロングソード型の白色の魔剣を、エレナはレイピア型の黄色の魔剣を腰から抜いた。

「それでは〈異端者〉のユウト・フィルナンスと〈刺雷の騎士〉のエレナ・ミルレストの模擬戦をはじめます。スペルバトル、ファイト!!」

 それと同時にユウトとエレナは駆けだした。

 ユウトとの距離が5メートルくらいになると、

サンダー

 雷は雷属性の第1階梯でその名の通り雷を作り出す魔法だ。

 エレナは自分のレイピアをトンっと触り、雷を走らせる。

刺雷十六連撃レビンスラスト

 空を16回突いた。

 するとそこから雷でできた刺突の斬撃が16本飛んでくる。

「うおっと」

 ユウトはぎりぎりのところでかわすが、エレナはすでに次の魔法を発動させていた。

双雷ツインサンダー

 双雷は雷を2つ作り出す、雷属性の第1階梯魔法だ。

 エレナはユウトの左右に雷を作り、ユウトを挟み打ちした。

(これで正面か後ろにしか行けませんわ。さあ、ユウト・フィルナンスこっちに来なさい)

 ユウトは左右からくる雷をかわすために正面に進んだ。

(かかりましたわ)

 エレナは待っていたといわんばかりに刺雷十六連撃をユウトに向かって放った。

 距離は3メートル確実にかわせない位置だった。

「うおおおおおおおお」

 ユウトは雄叫びを上げて、自分の魔剣を振り、雷でできた斬撃を全部消し去った。

(そんなの嘘ですわ。魔力がないのに私の作りだした雷を消し去るなんて)

 そしてそのままユウトはエレナに斬りかかった。だがユウトの魔剣はエレナに届くことなく、エレナから10センチの位置で止まっていた。

「さすがAクラスだな。マナ障壁の厚さと魔法のキレがすごいな」

 ユウトはそう言い、後ろに下がった。

「おい。刺雷の騎士ちゃんとやれよ!!」「AクラスがFクラスに押されてんじゃねえよ」

「そうだそうだ」

 観客席からやじが飛んでくる。

(ありえませんわ。このわたくしが格下の相手に苦戦するなんて)

 エレナは格上の相手には負けたことはあるものの、格下相手には苦戦したりましては負けたことがなかった。エレナの感覚ではユウトは明らかに格下だとなっていた。

(なんなのですの。この人は)

「なあ」

 ユウトが突然声をかけてくる。

「なんですの?」

「あんたの1番強い魔法を使ってくれよ」

「どうしてですの?」

「このまま続けてもあんたは観客に文句を言われるだけなんだからさあ」

(何を考えているのでしょう。まあいいですわ。私の有利なことは変わりませんし)

「よろしくってよ」

(何を考えていてもわたくしの魔法で打ち破ればいいのですわ。1番強い魔法を使えって言ったことを後悔させてあげますわ)

「サントルスト」

 エレナはルーンを唱えた。

雷嵐サンダーストーム

 雷嵐は雷属性の第3階梯魔法でその名の通り辺り一面に雷の嵐を発生させるという魔法だ。

 ユウトは自分の上に落ちてくる雷をバックステップでかわした。

 だけど雷嵐の真骨頂はここからで、最初の内は1本や2本だが、次第に落ちてくる雷の数が増えていき、エレナのクラスになると1度に最大10本落とすことができる。

 ユウトがエレナに近づこうとすると雷が落ちてきて、阻んでくる。そのせいでユウトはなかなか攻めることができなかった。

 そうしているうちに雷が10本落ちるようになって、さすがにユウトでもかわしきれなくなってきた。

「ッつ!」

 初めは左手、次は右足と食らう。

 試合会場にも魔法がかけられていて身体へのダメージはないが、痛みは感じる。

 マナ障壁がないユウトは直接雷を受けた時の痛みを感じながら、会場にかかっている魔法によって精神ダメージを受ける。普通の人なら左手に受けただけでも気絶してしまう。だけどユウトは立っていた。

「どうしてあなたは立っていられるの!?」

 エレナは驚愕している。

「俺は約束したんだよ。あの舞台で願いを叶えるまで負けないってな」

 ユウトはエレナをまっすぐ見る。

「だから俺はこんなところで倒れるわけにはいかないんだよ!!」

 ユウトはそう言い、エレナに向かって駆けだした。

(さっきよりも速いですわ!!)

 エレナはユウトを狙うが全く当たらない。

 右へ左へかわし、ついにユウトの魔剣が届く距離まで詰め寄った。

(まだマナ障壁がありますわ)

 そう自分に言い聞かせ、落ち着いた。

「刺突十八連舞」

 エレナがユウトに向かって技を繰り出そうしたがユウトは自分の魔剣でエレナのレイピア型の魔剣を弾きとばして、そのままエレナ斬りかかった。

「うおおおおおおおおおおおおお」

 ユウトの魔剣が切れないはずのマナ障壁を切り裂いて、エレナの胸を貫いた。

(嘘ですわ)

 エレナは自分を貫いた魔剣を見た。

 さっきまでとほとんど変化がなかった、うっすらと輝いていた以外は。

 それを見た後エレナの意識は落ちて行った。


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