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氷の流星 9

盗賊が半分まで倒した時、

イシス山の方から狼の遠吠えが聞こえた。

(狼? いくら魔獣でもこんなに近く来ないはず)

魔獣でも魔力を持っていない獣の特徴と変わらない。

だから普通の狼と変わらず、火を恐れ、明りのあるところに近づいてこない。

そのはずなのだが、茂みをかき分ける音はどんどん近づいてくる。

「がう」

狼の群れが茂みから出てきた。

その狼の首には首輪が付いている。

(飼い慣らしてある)

狼の群れがユウト達の周りを囲む。

「お前らのペットか?」

「いや、お前らが兵士から借りてきた魔獣じゃないのか?」

ユウトの質問に偽アレックスが質問し返す。

「一生徒に軍が貸すと思うか?」

「ということは、第三者か」

「そうなるな。どちらにしろこの様子だと敵味方関係なさそうだな。スティア以外」

狼はスティアにだけ威嚇をしないでいた。

「スティア。心当たりは?」

「いや。ない」

「そうか。スティアはここから逃げろ。あの狼、火属性使うから。きっとこの辺り火の海となるぞ」

ユウトがそう言った瞬間、狼達は火を吐きながら辺りを焼いた。

それによって、辺りの木が燃え、炎がユウト達の周りを包む。

「おい。一時休戦だ」

「そうだな」

炎によって氷が解けた偽アレックス達は動けなくなった仲間を担いだ。

「俺が、剣で炎を吹き飛ばすから、お前らはそこを通って森を抜けろ。スティアはこいつらと一緒に森を抜けろ」

ユウトがそう言うと、スティアは心配そうな表情をして、

「君はどうするのだ?」

「俺はこいつらの相手をする。こいつらも易々と逃がしてはくれないようだしな。なあに、すぐ追いかけるって」

ユウトは微笑んでスティアの頭に手を置く。

「だが」

スティアは心配そうにユウトを見る。

ユウトはスティアの顔を見ないで、魔剣を両手で握り来た道の方を見た。

ユウトは剣を大きく振りかぶり、地面を切り裂いた。

その衝撃波によって木々は折れ、道ができた。

そこを盗賊達は通って、森を抜ける。

ユウトは右手で魔剣を握り、空いた左手で飛びかかってくる狼を殴り飛ばす。

「スティアも早くしろ!!」

ユウトが叫ぶが、スティアはその場から動かなかった。

「嫌だ。君を1人置いて行く訳にはいかない。その腕で何ができるのだ」

ユウトの左腕はだらりと垂れていた。

「別に平気だよ」

「だが―」

「来るぞ!!」

再び、狼達がユウトに襲いかかる。

しばらくの間、狼は一定の順序でユウトに飛びかかっていたが、

盗賊達が逃げると、狼は来た方に戻って行った。


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