氷の流星 8
イシス山にユウト達は着いたのだが、目的の小屋は見つかっていなかった。
「ユウト、この辺なのだな?」
「ああ。学園長から聞いた話だとこの辺だったはずだ」
早く見つけないと日が暮れてしまう。
日が暮れれば、弓で狙うのは困難になる。
「スティア、暗闇で弓を扱ったことあるか?」
「いや、ない」
「そうか」
(早く見つけないと、そうしないとスティアが戦えなくなる)
ユウトが考えていると、
「ユウト。あれ」
スティアが何かを見つけて、指を指した。
光が見えた。
ユウト達に見えるように光が照らしていた。
「光か」
「うむ」
「罠だよな」
「ああ」
あそこに行けば、確実に盗賊団が待っているだろう。
「どうする?」
「スティア、俺は別に正面から行ってもいいけど」
「私も構わない」
「じゃあ、行くか」
ユウトとスティアは馬を近くの木に止めて、ユウトとスティアは装備を整えた。
「スティア、俺は前衛でスティアに前からくる攻撃を全部落とすから、あいつらを凍らせてくれ」
「ああ。わかった」
「カシャ、スティアを頼む」
「ニャー」
ユウトは、スティアにカシャを渡した。
「じゃあ、行くか」
「ああ」
ユウトとスティアは真っ直ぐと光に向かって歩く。
茂みが薄い場所を選んでユウトは先行する。
そのあとをスティアが追う。
(気配はところどころにある)
ユウトは、茂みの中から視線を感じ警戒をしながら歩く。
そして、ユウトとスティアは小屋の前に着いた。
「まさか、兵士が来ると思っていたが、学生が2人。しかも我々の同志とは」
茂みから少年が出てきた。
ユウトと同じくらいの年齢で、しかも黒髪の少年がユウトとスティアに仰々しく話しかける。
少年の後に続いてユウトと同世代の少年少女が30人くらい出てきた。
「同志?」
スティアは眉をひそめる。
「黙れ。西方人。貴様には話していない」
少年はスティアに怒気を含んだ声で言う。
「で、なんで、俺がお前らの同志なんだ? お前らとは初めて会ったはずだが」
「そうだな。お前とはこれが初めて会うな。だが、お前は俺達の同志だ。お前もあの病の被害者だろ? あの病によってお前も苦痛を与えられてきたのだろう?」
不敵な笑みを浮かべ少年は言う。
「ユウト?」
「…」
スティアの問いかけにユウトはスティアの顔を見ず、黙っていた。
「その様子だと、図星のようだな」
少年はにやりと笑い、ユウトを見た。
「さあ、ユウトよ。その女を捕らえて、我らの同志となるのだ」
「ちょっといいか? お前はアレックスを名乗っているのか? 俺が彼女を捕らえたとして彼女に何かするのか? それとお前らの目的はなんだ?」
「ああ。そいつの様子を見るにどこぞの貴族の娘だろう。その娘の家に身代金を請求する。身体は、傷つけはしない。我らの目的は、この国に叛旗を翻し、西方人共に後悔をさせる」
「そうか」
「では、お前の答えを聞こう」
そう言い、偽アレックスは、ユウトに手を差し出した。
ユウトは、スティアの方を向く。
「ユウト、君は…」
スティアからはユウトの顔が見えない。
「スティア、魔装具を俺に渡してくれ」
ユウトは、スティアに手を差し出した。
「ユウト…―!!」
ちらりと見えたユウトの顔を見て、スティアは気が付いた。
ユウトに魔装具を渡した。
ユウトはそれを受け取り、アレックスと名乗る少年の方を向く。
「さあ。それをこちらに渡せ」
「…」
ユウトは渡さないで、弓を引いた。
「穿て」
そして少年達の足元に矢を放った。
「何!?」
足元が凍り、少年達の足を氷漬けにした。
「甘いんだよ」
「どうして、お前は俺達を裏切った。お前もあの病の所為で迫害を受けてきたのではないのか!?」
怒りをあらわにして偽アレックスは言う。
「確かに俺も殺されかけたな」
「じゃあ、どうして!?」
「俺の復讐とこいつは関係ないからな」
そう言い、スティアに魔装具を返した。
「ユウト…」
心配そうにユウトを見る。
「あとで、話すから今は集中しろ」
「うむ」
スティアは、弓を引いた。
「お前ら、やれ!!」
隠れていた盗賊が出て来て、ユウト達に向かって弓を構えた。
「やっぱりか。スティア、全部落とすから、あいつらを撃ってくれ」
「うむ。わかった」
ユウトとスティアに向かって、矢が雨の様に飛んでくる。
それをユウトは1本ずつ斬り落とす。
「凄い。剣が視えない」
スティアは感心しながら矢を射る。
その矢は精確に1本ずつ盗賊の足元と魔装具を確実に撃ち、動きを止める。
「ッ―」
1本の矢がユウトの左腕をかする。
そこから1筋の血が落ちる。
ユウトはその矢も叩き落とす。
「かかったな」
偽アレックスはほくそ笑む。
「何!?」
「お前が食らった矢は魔獣でも数分で死ぬ毒を塗っておいた」
「ひ、卑劣な!!」
スティアが叫ぶ。
「スティア。今はこいつらを何とかするのが先だ!! 俺が前に出てあいつらの魔装具と意識を奪ってくるから、カシャ、スティアの守りは任せたぞ」
ユウトは左腕を気にしないで、偽アレックスに向かって駆けた。
「はああ!!」
ユウトは偽アレックスの魔装具に魔剣をぶつけた。
その結果、偽アレックスの魔剣はバラバラに砕け散った。
その勢いのまま、左腕を弓のように引き、偽アレックスの腹部に拳を撃ちこんだ。
「ぐぁ」
偽アレックスは、くの字曲がり飛んだ。
その後も、次々と魔装具を破壊していき、盗賊達を戦闘不能にしていく。




