氷の流星 6
学園都市はいつもと変わらず栄えていて、人が多くいた。
「ユウト。どこに行くのだ?」
「魔道具を見に行こうと思って、な」
「何か欲しいものでもあるのか?」
「いや。特にないけど掘り出し物があればいいなと思って、な」
「そうか」
ユウトは、魔道具が売っている店のある通りに向かっていると、
「きゃああああ」
悲鳴が聞こえてきた。
それを聞いたユウトは、表情を変えて剣を握り悲鳴の聞こえた方に向かった。
悲鳴が聞こえた辺りの店のショーウィンドは荒らされおり、窓ガラスは全部割られていた。
「何よ。これ」
レイシアはぽつりとつぶやく。
「盗賊?」
「ああ。そうだろう」
フレイヤとスティアは冷静に分析している。
ユウトは黙って荒らされた店の中に入った。
「いろんな属性が使われる形跡がある」
「あ、ああ」
崩れた棚の下に人が倒れていた。
「大丈夫か!?」
ユウトは棚を退かし下敷きになっていた人を助けた。
「何があった」
「ユウトさん。アレックスと名乗る盗賊が」
店の店主は身体を起こしながら言う。
「あいつらか!」
「ユウト!!」
店の外からフレイヤが声をかける。
ユウトは店の外に出るとフードを被った集団が屋根の上を走り逃げようとしていた。
「待ちやがれ」
ユウトも屋根の上に乗り、最後尾の人物の頭を掴み、屋根に叩きつけた。
「あ…ぐ」
押さえつけられた人物は呻くがユウトは気にしないで、フードをめくった。
黒髪でユウトと同い年くらいの少年だった。
「スティア!!」
「うむ」
他のメンバーを逃がさないようにユウトはスティアに声をかけた。
スティアは魔装具を展開し、矢を放ったが、炎を放って氷の矢を全て溶かした。
「くっ」
スティアは一瞬悔しそうな表情をするが、すぐにもう一度弓を引き、矢を放った。
でも、もうすでに矢が届かないところまで行ってしまった。
ユウトは少年を担いで屋根から下りた。
「すまない。ユウト」
「いや、俺も1人しか捕まえられなかったから」
「でも―」
「とりあえず、こいつからアジトを訊くとするか」
少年を地面に置いて、
ユウトは黄色の魔石を取り出して、その少年に近づける。
「ユウト。その役目は私がしよう」
「学園長」
騒ぎを聞きつけたルービナはユウトに近づき少年を風で浮かす。
「ユウト。あとで話がある。放送で呼ぶから学園長室に来てくれ」
「わかりました」
ルービナは少年を連れて行った。
ユウトは学園長室に1人で入った。
「ユウト。奴らの場所がわかった」
「どこですか?」
「ここから北に馬で1時間ほど行った辺りにある山の麓に小屋があり、そこに奴らがいる」
その言葉を聞いてユウトはどこにあるのか考えた。
「北ならイシス山ですか」
ユウトは小さい声で言う。
イシス山は小さい山だが、近くに森がありアジトを作るのには適している場所だ。
「では、行ってきます」
「それは、認められない」
「どうしてですか?」
「生徒を危険なところに1人で行かすわけにはいかない」
ルービナの言うことは確かなのだが、
(こういうときだけ生徒扱いしやがって)
ルービナはいつも何も言わないでユウトに任せている。
「1人は駄目ですか」
ユウトの強さを知っているからこそこういう逃げ道を作ってくれる。
「ああ。だからスティアだけを連れて行け」
「どうしてスティアだけですか?」
全員で行った方が成功しやすいはずだ。
でも、スティアだけということはルービナに何か考えでもあるのだろう。
「ユウト、彼女は強くなりたいと願っている。そして君もなんとかしてあげようと思っているのではないかね?」
「そうですけど」
ユウトはスティアに友人として手を貸してあげたいと思っている。
「2人で困難を乗り越えれば、彼女も何か見えるだろう」
「そんなことで彼女を危険な目に合わせるわけにはいきません」
「君が守ればいいことだろう」
「ッ―」
確かにユウトが守ればいい。
「それとも守る自信がないのかい?」
不敵な笑みを浮かべルービナは言う。
「いえ。そんなことはないのですが」
「じゃあ、この話は終わりにしよう」
「はい。では、行ってきます」
ユウトが学園長室から出て行こうとすると、
「待て、まだ他に話すことがある」
ユウトは振り返ってルービナの顔を見た。
「なんですか?」
「君の周りに魔王の末裔と魔装具が集まって来ているようだね」
「そうですね」
ユウトの周りには、フレイヤの赤色の銃、リュッカの青色の鞭、エレナの黄色のレイピア、スティアの水色の弓、レイシアの紫色の杖がある。
そして彼女達は、全員、魔王の末裔だ。
「彼女達の魔装具は特殊な物ばかりだが、特にスティアの弓は更に特殊でね。彼女の弓は今まで、初代の持ち主しか扱うことができなかった。だが、彼女は弓に選ばれた」
「ということは、あの弓はかなり劣化しているということですか?」
「そうなるな」
魔装具は魔力を込めて使えば使うほど、磨きかかるが、使われないと劣化していき本来の力を失ってしまう。
「どうやったら、元に戻りますか?」
「常に使い続けるか、君の剣のように真名を解放するかくらいしかないだろう」
「そうですか」
ユウトはそれを聞いて、考えていた。
(真名を知っているなら、もう解放をしているはずだよな)
解放していないなら、真名は失われているのだろう。
「そういえば、君に言っていなかったな」
「何を?」
「対校戦代表チーム決定、おめでとう」
「ありがとうございます」
ユウトは頭を下げた。
「では、無事を祈っている」
「はい」
ユウトはルービナに頭を下げてから、学園長室を出た。




