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氷の流星 4

 ユウトが出て行ったあと、レイシアは魔道書の入っている鞄に抱きついていた。

「いいなー。見たいなー」

 まるで子供みたいに鞄を触っていた。

「ねえ。レイシア。あんたどうしてそんなにその中の魔道書に執着しているのよ。禁書でレアなのはわかるけど」

「はあ」

「なによ。そのかわいそうな子を見るような眼をして」

「だって、実際、かわいそうな子よ。グリモアの凄さを知らないなんて」

「リュッカ達は知っている?」

 フレイヤは、リュッカ達に訊くが、リュッカ達は首を横に振った。

「はあ。あなた達の無知さは呆れるわ。まあいいわ。説明してあげる。グリモアはその辺の禁書とは別格で全ての魔道書を全部つぎ込んでもこの魔道書の1冊にも届かないのよ。そのシリーズが全部あるのよ。それも近くに」

「「「「は、はあ」」」」

 興奮気味のレイシアにフレイヤ達は引き気味になる。

「あーあ。全部あるなんて、ユウト君」

 息を荒くしながら鞄に頬をすり寄せる。

 フレイヤ達は引いた。

「う、うわー。じゃ、なかった。どうしてそんな凄い魔道書があるのにユウトは使ってこなかったのはどうしてなの?」

「私達を巻き込んでしまうからよ。あれに書かれているのはほとんど、広域殲滅魔法で威力は街を軽く消す程度よ」

「軽く消す程度って」

 フレイヤは青ざめた。

 そんな危険なものがこんな近くにあるなんて。

「だから、ユウト君は使って来なかったのよ」

「でも、副会長相手に使うのだろ?」

 スティアは訊く。

「たぶん、ユウ君は使わないと思います」

「そうね。あれは、保険よね」


 ユウトは第1演習場で第1班と戦っていた。

 審判は学園長のルービナがやっている。

 ユウトが説明したら、ルービナはすんなりと承諾した。

 試合の状況は、ユウトは無傷で、第1班は3人が気絶していた。

「飼い犬に手を噛まれるというのはこういうことね」

 副会長は、自嘲気味になりながら言う。

「油断しすぎです」

「そうですね。あなたを嘗めていました。その他人の魔法を書き変えて私達に放ってくるなんてね」

 ユウトは相手が使う魔法を書き変えて違う魔法にして返していた。

「魔法が使えないなりに、いろいろ工夫しているんです」

「そんなの工夫なんてレベルではありません。さすが、魔王になると言われているだけはありますね」

 苦虫を噛みしめるような表情をしながらユウトを見る。

「で、どうする。このまま続けますか?」

「魔法で攻撃すれば、こちらに魔法を返され、魔装具だけの攻撃ではあなたには勝つことができない。ということは、このまま続けても私達が勝つことができない。ですが、私は副会長です。勝負を最後まで諦めるわけにはいきません」

 副会長のその言葉にユウトは口元をあげた。

「じゃあ、俺も本気で行きます」

 ユウトは白い魔剣を両手で握り、真っ直ぐ副会長に向ける。

 そして、ユウトの姿が消える。

「消えた!?」

「1人目」

 副会長はユウトの言葉が聞こえたが何が1人目なのかわからなかった。

 そして左後ろを確認する前に、

「2人目」

 今度は右後ろからユウトの声が聞こえる。

 後ろを振り向くとさっきまで立っていた2人が倒れていた。

「ラスト」

 ユウトの声が聞こえたと思ったら、自分の腹部にユウトの魔剣が刺さっていた。

「ッ!!」

 副会長の腕の力が抜ける。

 それを確認した後、ユウトは魔剣を副会長の身体から抜いた。


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