刺雷の騎士4
2時間後、
「ユウト、今日の分はこれくらいでいいからもう終わっていいぞ」
「了解」
ユウトが斧と薪をしまっていると誰かがユウトに近づいてくる。
「よう。ユウト」
茶髪で目が茶色のユウトと同い年くらいの美形の少年がユウトに話しかけていた。
「ウィルどうしたんだ?」
ユウトに話しかけてきた少年は、ウィル・スクリプト。2年Cクラスの風属性の魔槍使い、生徒で唯一ユウトの親友だ。
「今日も勉強教えてもらおうともってな」
「そうか。だったら、もう少し待ってくれ」
「おう」
ユウトはすばやく片づけて、ウィルを連れて自分が暮らしている部屋に連れて行った。
さっきも言ったようにユウトはFクラスなので部屋が学校で用意されてない。だからユウトは自分で材料を集めて小屋を作った。
ユウトは小屋の中の椅子に座って、反対側に座ったウィルに向き合った。
「で、何を教えてほしいんだ?」
「今日の座学で魔力の回復についてと魔法の基礎についてのレポートを明日までに書いてこいって言われたから、それについて教えてほしいんだ」
「了解。じゃあ、教科書の対応のページを開いていくれ」
ウィルは教科書を開いた。
「ここだよ、これよくわかんねぇだよ」
ウィルは教科書を指さした。
「なになに。魔力は生命力を使って回復するか。これまだ分かりやすく書いてあるじゃないか?」
「いや、生命力ってなんだよ。わけわかんねえよ」
「そうか?」
「そうだぜ。生命力なんて聞いたことねえよ」
「んじゃあ。腹が減ったら元気がなくなるだろ」
「ああ」
「その元気が生命力だ」
ウィルはユウトが言っていることをノートに書く。
「じゃあ、物食ったり、寝たりすれば回復するのか」
「そうだよ」
「じゃあ、ユウト、それをどうやって生命力を魔力にするんだ?」
「物を食べたりしたら、生命力が体の中に溜まり、その生命力が空気中のマナと反応して身体の中に魔力に変えるってことしかわからないから。詳しく仕組みは教えれないよ」
「そっか。お前でもわからないことがあるんだな」
「そりゃあ、俺もまだ16だぜ。わからないことくらいあるさ」
「まあ、そうか。これで魔力の回復についてわかったよ」
「んじゃあ、次の魔法の基礎の話だな」
ユウトが次の課題について話そうとするとウィルが、ユウトの話を止めて、
「なあ、ユウト。お前明日の試合は大丈夫なのか?」
「ああ」
「でも、相手は刺雷の騎士だろ」
「問題ねえよ。それよりもお前が単位とれるのかのほうが心配だぜ」
それを聞いたウィルは笑い出し、
「そうだな。Cクラスの劣等生の俺と違って、お前なら勝てるか」
「絶対勝ってやるよ。お前の単位のためにも」
ユウトがそう言うと2人とも笑った。
「つーか、試合のこと知ってたんだな」
「新聞部の奴らが騒いでいたし、明日はお前の試合のためだけに授業がないんだからな」
「じゃあ、明日は教師、生徒全員来るのか?」
「全員かわからないけど。ほとんどの奴らは来るだろう」
「ふーん」
「これでお前の強さがわかって、扱いも変わるだろうよ」
「どうだろうな。ほら、続きやるよ」
「おう」
ウィルは魔法基礎の教科書を出した。
「で、どこがわからないんだ?」
「全部かな」
ユウトはそれを聞いて、椅子から滑り落ちた。
「お前、授業聞いているのか?」
「もちろん」
「だったら、少しくらいわかるだろ」
ウィルは胸を張り、
「俺はわからん」
「自慢するところじゃないぞ」
「だって、魔法基礎の先生よりお前の方が教えるのうまいし」
「そう言われるとうれしいけど、単にお前がやる気がないだけじゃあ」
「ばれたか」
「授業くらいちゃんとやれよ」
「いや、だって将来の目標とかないし、だから別にいいかなって」
「だったら、単位ちゃんととれるくらいはやれよ」
「はーい。ところでユウト、お前この学園を卒業したらどうするよ?」
「うーん。俺が街で働けるようなところはないだろうから、どこか山に籠もってくらそうかな」
「だったら、俺の村に来ねえか?お前は一応村を救った英雄に鳴っているだからさあ」
「それもいいかもしれないけど、今はとりあえず課題やろうぜ」
「おう」
「んじゃあ、まず魔法の属性についてやるぞ。ウィル、属性の種類について言ってみろ」
「えーと、火、水、土、風、雷、氷、闇、光だろ」
「それは黒魔だけだ。白魔の方も言ってみろ」
「えっ!?えーと、治癒?」
「残念。白魔は回復、補助、解毒、解呪だ。あと魔法には、黒、白どちらにも属さないものがあってそれは、番外魔法と言って、例としてはワープ系の魔法だ」
「なあ、ユウト。闇と光ってどんな魔法なんだ?」
「その2つは特によくわかっていない属性だからな。闇はものを隠すことしかわからないし、光についてはなにもわかっていないんだよね」
「でも、光属性を使う魔法使いもいるんだから。なにもわからないなんてあるのか?」
「ああ。光属性を使う魔法使いだってわからないでつかっているんだから」
「そんなんで大丈夫なのか?」
「大丈夫なんだろ。特に事件も起こってないようだし」
「そうか。じゃあ次頼む」
「次は魔法の発動についてだな」
「おう」
「魔法の発動は大きくわけて3段階の手順が必要になるんだ」
「魔法式の生成、ルーン詠唱、魔法名の宣言だよな」
魔法式は発生場所、威力、発射方向などを定めるもので、ルーンは属性、階梯、魔法の種類を表している。
「うん」
「だけどさあ、ルーン詠唱と魔法名の宣言はわかるんだけど。魔法式の生成がわからないんだよな」
「やっぱりか。あれは自動で生成してしまうからな。気づきにくいんだよね」
「じゃあ、手順に入らないんじゃないのか?」
「まあ、普通に魔法を使うんなら、魔法式の生成の知識はいらないかもね。でも自分で魔法を作ったり、アレンジしたりするときには必要な知識だから」
「一応全部省略できるんだよな?」
「全部じゃないぞ。ルーンの詠唱と魔法名の宣言が省略できる」
「なるほどな」
「じゃあ次行くよ」
「おう」
「次は魔法の階梯についてだ。ウィル、人が扱えるのは何階梯までだ?」
「第5階梯までで、それ以上は竜種、精霊種、幻獣種だけがつかえるんだっけ?」
「そうだ。これはそれだけ覚えていればいいから、大丈夫そうだな」
「じゃあ次はマナ障壁についてだな」
「マナ障壁は体内の魔力と空気中のマナが反応してできるバリアみたいなもんだろ?」
「そうだ。マナ障壁は自動で守ってくれるものだけど、魔法の攻撃は威力が高いと貫通するんだよね」
「それだとあんまり意味がないよな」
「いや、魔法のついてない剣での攻撃とかの物理的な攻撃を防いでくれるからだいぶ便利なものだとおもうがな」
「だけどさあ、あれって魔法以外にも貫通するもんがあるんだろ?」
「そうだね。強力な一撃や無意識の攻撃なんかは防げないね。あとは魔力が尽きたら防げないな」
「やっぱり、意味ないじゃないか」
「でも、強力な一撃とか無意識の攻撃なんか人間じゃあできないようなものだから人間相手には必ず魔法を使わないと攻撃が効かなくなるからかなりいいものだぞ」
「そうか」
「マナ障壁は魔力の多さで強度が変わるよ。多ければ多いほど強いマナ障壁が張れるし、少なければ少ないほど弱いマナ障壁になるからな」
「へえー」
「魔力の強さが出てきたからついでに言うと、魔力には量だけでなく純度があるんだ」
「純度?そんなの教科書に載っていたか?」
「載ってないよ。魔力の量は魔法の威力を高めるのに対して、魔力の純度は魔法の性質を強めるんだ。火なら熱と光を強めるし、水なら勢いを強め、不純物のなくすといったことが起こるんだ。ウィルも見たことないか、同じ魔法を同じくらいの強さの奴と撃ち合っても相殺されることもなくどっちかが勝つってところを」
「ああ、なるほど。その純度はどうすればあがるんだ?」
「普通に魔法を使っていれば自然に上がるから、魔法をどれだけ使ったのかによるよ」
「努力するしかないのか」
ウィルは頭を抱える。
「そうだね。魔力の量も純度も何回も魔法を使うことで上がるからがんばれ」
「おう。つーかお前もがんばれよ」
「俺はどれだけやったって変わらないんだからいいんだよ」
ユウトは少し自嘲気味に言う。
「つーか、ユウトお前どこでそんなこと知ったんだ?」
「知人にちょっと教えてもらってな」
ユウトは自分の白い魔剣を見た。
「とりあえずこれでレポートが書けそうだ。ありがとう」
「おう」
ウィルは手を一度挙げ、小屋を出て行った。
「俺も今日は早く休もう」
「にゃー」




