闇を照らす 2
暫くすると、ユウトは泣きやんだ。
「泣くなんて久しぶりだな」
ユウトはそう言い笑った。
「ふふっ」
レイシアはユウトの笑顔を見て笑った。
「にしても、レイシアはどうして俺のところに?スープを作っていたんじゃあ?」
「もう作り終わったから、ユウト君を誘惑させに来たのよ」
そう言い、胸を強調するポーズをした。
「誤魔化すなよ」
ユウトが半眼でそう言うと、
「ユウト君が心配だったのよ」
いつもの軽いノリを止めて真面目な口調で言う。
「ユウト君が青い顔をしていたら癒しに来たの」
「そうか。…レイシアの評価を改めないと、な」
「1つ、今後の参考に聞きたいのだけど、ユウト君の中で私の評価はどうなっているの?」
「変態」
ユウトがそう言うと、レイシアはくすっと笑った。
「だけど、これからは鋭い変態お姫様に変更だな」
「あら、光栄だわ」
「にしても、よく見ているな」
「見てるじゃなくて視えるのよ」
「魔眼か」
魔力を目に込めることによって発動する魔法だ。
それぞれの属性によって出てくる効果が変わってくる。
「正解。まあ、ユウト君の魔眼に比べたら断然レベルの低い魔剣よ」
「でも、心が視えるのだろ?だから、的確に俺に言葉をかけられたのだろ?」
「心が視えるなんて、そんな高度な物じゃないわ。少し感情が視える程度よ」
「完璧には視えてないのか。じゃあどうしてあんなに的確なことが言えたんだ?」
完璧に心が視えていないのにあのタイミングで言えるなんておかしい。
「勘ね。これでも私この国の王女なのよ。人の顔を見れば大抵のことはわかるから。そこから、どの言葉をかければいいのかを選ぶだけよ」
「勘と経験か」
レイシアがどうして的確なことを言えたのかわかった。
「で、ユウト君。もっと私のこと知りたくなった?」
レイシアは、ぱちりとウインクとした。
ユウトは苦笑いをしながら、
「まあ…な」
「じゃあ、じっくりと、お・し・え・て・あ・げ・る」
そう言い、レイシアがぐいっとユウトに近づいた。
「レイシア?」
「じっとしてて」
黄昏色の瞳が真っ直ぐユウトを見つめ、
そして次第にユウトの唇にレイシアの艶やかな唇が近づいていき、あと少しで触れるところで、
「ユウト。何しているのかしら?」
フレイヤの低い声が聞こえる。
その声がユウトの意識を元に戻す。
「あと、少しだったのに」
レイシアは頬を膨らます。
「あんた。何していたのよ。ユウトの目の周り赤くなっているじゃない」
怒り気味にフレイヤはレイシアを睨む。
「ちょっと、人―」
ユウトはレイシアを庇う様に言うが、それを遮るように
「というのは、嘘で玉ねぎエキスを嗅がせて、視界を奪ったあとにキスをするよていだったのよ」
「レイシア!?お前―」
レイシアはユウトの言葉を手で遮った。
すると、フレイヤは、レイシアを睨むのを止めて、
「でも、ユウト、ちゃんとあたし達を頼りなさいよ。確かにあたし達はユウトに比べれば弱いし世間も知らないお嬢様かもしれないけど、あたし達はチームなのよ」
レイシアが言おうとしたことをフレイヤは理解して、ユウトが悩みを抱えているとわかったようだ。
ユウトは自分がどれだけチームメイトに心配されているのか、気がついた。
「ああ。そうだな」
ユウトはこれ以上チームメイトを心配させる訳にもいかないので、
パンッ!!
自分の頬を叩いて気合いを入れた。
「よし!!くよくよするのはもう終わり」
ユウトは立ち上がり、
「なあ。フレイヤはスープできたのか?」
「うん。できているわ」
「そうか。フレイヤ的には何点くらいだ?」
「100点ね」
フレイヤは即答した。
どうやらかなり自信があるのだろう。
「そうか。楽しみにしているぞ」
ユウトは微笑みながら、フレイヤに近づいて、頭を撫でた。
「ちょ、ちょっと。撫でないでよ」
口ではそう言っているが、赤いツインテールは嬉しそうに揺れていて、口元わ緩んでいた。
(ほんっと。分かりやすい子だよな)
ユウトはくすっと笑って撫で続けた。




